タイトル「森ガールと盛りあガール」 103 | 可愛い君に愛を囁きたい

「あれが桃花なのか」

ルカはその日以来、夜な夜なうなされるようになった。

でもなんであんなになってしまったんだ、桃花のやつ。

大学にも出てこないで、コンテストに向けて、練習をしていたらしい。

大樹の影響か。

大樹と付き合ってたしな。

「じゃあ、なんで僕を呼んだんだ」

それからしばらくして、ネットの芸能ニュースに大樹って、結婚したというニュースが流れた。

すでに赤ちゃんまでできていると書いてある。

これか……。

このせいで桃花がおかしくなったんだ。

桃花のやつ、遊ばれたのか?

それでやけになって……。

会場に来てたっけ、黒岩大樹。

そう考えれば、最後のあの睨みつけるような視線の意味も理解できる。

隣にいた女が大樹の相手に違いない。

桃花は大胆にもステージ上からラブコールをしたのだ。

大樹の婚約者を前に。

可哀想に……。

そもそも桃花と大樹は付き合っていたのだろうか。

今にして思うと、桃花の片思いだったような気さえしてきた。

桃花を慰めたほうがいいんだろうか?

でもどうやって慰めればいいか分からない。

それに今の桃花は僕の知ってる桃花とぜんぜん違う。

違いすぎる。

あれは間違いなく、僕がもっとも苦手なジャンルの女だ。

そう、あれはどう見てもヤンキーだ。
無理だ、絶対に無理だ。

もう、桃花とは喋るのも無理かもしれない。