タイトル「森ガールと盛りあガール」 104 | 可愛い君に愛を囁きたい

キャンパスでルカが一人で歩いてると、桃花が走ってあらわれた。

息を切らしてる。

よっぽど走ってきたのだろうか?

息を整えると、いきなり聞いた。

「ねえ、ルカ、本当の私を見てどう思った」

「どうって?」

あれはやけになってやったことだ。

慰めてやるべきなのか、元彼として?

でも桃花はもう森ガールじゃない。

ただのヤンキーだ。

今の服装にしたってヤンキーみたいじゃないか。

そう、桃花はダメージジーンズに、チェーン。

ライダースのジャケットにドクロ柄に包帯がまいてるようなTシャツ。

リベットいっぱいのベルト。

つま先のとんがった靴。

「だって、それって桃花じゃないだろ」

「そんなことないよ、今の私が私だよ」

支離滅裂だな。よっぽど失恋が辛かったんだ。

「ルカの知ってる森ガールは、本当の私じゃないの」

 行き着く先がこの服なんて。

 誰に対して怒ってるんだろう。

 大樹への嫌がらせだろうか。

ルカは同情した。

「本当の私はこんな感じなの」

 完全に精神を病んでる。

「これでもしルカが好きでいてくれるなら」

自分が病気だと気がついてないのかもしれない。

だとしたら、それを教えてあげないと。

「だって、そんなの桃花じゃないよ。ただのヤンキーじゃないか」

その言葉にカチーンときた。

「ヘビメタとヤンキーは違うんだからね」

 桃花は怒りをぶつけた。

 しかしその姿をルカは同情の目で見ていた。

「ヘビメタをヤンキーと一緒にしないでくれる」

「ごめん」

とにかく自分が変だということに気がついてないんだ。

それならそれに気付かせてあげないと。

僕が桃花にしてあげられること。

それはもうそれくらいしかないのかもしれない。