タイトル「森ガールと盛りあガール」 105 | 可愛い君に愛を囁きたい

「ルカにちゃんと伝えたいの。本当の私を私のままで好きになってほしいの」

 しばらく間があった。

 ルカは桃花を受け入れられるかどうかを考えていたのだ。

「でも、無理だよ。そんな桃花好きになれないよ」

 やっぱり無理だ。

 だって桃花は僕のことを好きじゃない。

 今はただ失恋でそう錯覚してるだけだ。

 じゃなきゃ、こんな変な服、桃花が着るはずがないよ。

 桃花はショックだった。

 本当の自分を正直にさらけ出したのに、その自分を否定されてしまったからだ。

ルカも所詮、私の外見を好きになっただけなんだ。

「分かった、もう諦める」

 桃花はすっかり肩を落としていた。

「大体、僕はヤンキーが苦手なんだ。ずっといじめられてきたからね」

 だから、ヤンキーじゃないんだって。

「ヤンキーは怖いんだ」

 もう、説明するのも面倒臭い。

ヤンキーとヘビメタは別だってば。

「森ガールの方が似合ってるよ」

 全然分かってないよ。

 でももういい。

 多分、もういい。

「分かってる。でもね、私、ルカのこと好きだから。本当の私も知っててほしかったんだ」

「ごめん」

「やっぱ、森ガールにはかなわないのか……」

 なんだろう、この服着てると、悲しいのに涙も出ない。

 じっと我慢してるのに、自分を裏切れない。

「桃花がヤンキーじゃなかったら……」

もういい、ルカの中で、ヘビメタもパンクも、ヤンキーもきっと同じなんだ。

「ごめん、桃花」

「何度も誤るなよ、惨めになるだろ」

決定的だ。

とうとう本当に失恋してしまった。

いいじゃん、それならそれで。

そうよ、私はヘビメタに生きるから。

男なんて、男なんて……、男なんて、最低だ!