「ルカにちゃんと伝えたいの。本当の私を私のままで好きになってほしいの」
しばらく間があった。
ルカは桃花を受け入れられるかどうかを考えていたのだ。
「でも、無理だよ。そんな桃花好きになれないよ」
やっぱり無理だ。
だって桃花は僕のことを好きじゃない。
今はただ失恋でそう錯覚してるだけだ。
じゃなきゃ、こんな変な服、桃花が着るはずがないよ。
桃花はショックだった。
本当の自分を正直にさらけ出したのに、その自分を否定されてしまったからだ。
ルカも所詮、私の外見を好きになっただけなんだ。
「分かった、もう諦める」
桃花はすっかり肩を落としていた。
「大体、僕はヤンキーが苦手なんだ。ずっといじめられてきたからね」
だから、ヤンキーじゃないんだって。
「ヤンキーは怖いんだ」
もう、説明するのも面倒臭い。
ヤンキーとヘビメタは別だってば。
「森ガールの方が似合ってるよ」
全然分かってないよ。
でももういい。
多分、もういい。
「分かってる。でもね、私、ルカのこと好きだから。本当の私も知っててほしかったんだ」
「ごめん」
「やっぱ、森ガールにはかなわないのか……」
なんだろう、この服着てると、悲しいのに涙も出ない。
じっと我慢してるのに、自分を裏切れない。
「桃花がヤンキーじゃなかったら……」
もういい、ルカの中で、ヘビメタもパンクも、ヤンキーもきっと同じなんだ。
「ごめん、桃花」
「何度も誤るなよ、惨めになるだろ」
決定的だ。
とうとう本当に失恋してしまった。
いいじゃん、それならそれで。
そうよ、私はヘビメタに生きるから。
男なんて、男なんて……、男なんて、最低だ!