「バスがさ、一日4本しかないからさ、待ちわびたよ」
ずっと、平塚駅で待ってたらしい。
二人でバスに乗り込んで、一番後ろの席に座った。
「間に合わなかったらどうしようかと思ったよ」
「そうだ、何、落書きしてるのよ」
「だって、寝顔見てたら、いたずらしたくなったんだ」
「油性マジックで書くから、まだ少し残ってるんだからね」
「ああ、だから、そんなにメイク濃いんだ」
「そうよ。タレ目メイクでごまかしたわよ」
バスに揺られて、終点の湘南平についた。
なんか恋人みたいだ。
本当の恋人同士みたいだ。
ルカといると、恋人気分を味あわせてくれる。
いつだってラブラブデートだ。
夢に見てた恋愛。
それを叶えてくれるのはやっぱりルカのほうだ。
ルカとの気まずい関係はすっかり修復していた。
ただ平塚駅で捕まえてから、湘南平にむかうまで、ルカは桃花の手を握ろうとしない。
ルカは遠慮してるのかもしれない。
桃花のほうから手を握った。
ルカは少し驚いたようだったが、嬉しそうに微笑をかえした。