タイトル「森ガールと盛りあガール」 69 | 可愛い君に愛を囁きたい

 電車に乗って、メールを打った。

「取り合えず、平塚駅に向かいました」

 すると、すぐに返事が返ってきた。

「じゃあ、鬼は桃花だから。捕まえてよ」

「あのね……」

「ちなみにもうすぐ平塚だから」

 それから逐一、ルカから写メが送ってくる。

 それらをヒントに探せってことのようだ。

 でも、平塚の駅の写真だし、

 バス停の写真だし、

 まあ、湘南平に行けばいるわけでしょ。

 いちいち、写メが送ってくる。

 そんなにヒント出さなくても分かるよ。

 大体ヒントって、さっきから何撮ってるの。

 花のアップ。

 野良猫の写真。

 小田原の蒲鉾。

 サザンサブレって、お土産屋の写真。

 ヒントになんないじゃん。

「急いで、急いで」 と、手招きする絵文字。

「走って、走って」と、走ってる格好の写メ。

 誰に撮ってもらってるんだ。

 バカメールだ。

「電車の中で走って」と、さらに写メ。

 バカメールばっかりだ。

 しょうがないんで、駅に着くたびに駅名の写真を送った。

「走ってる写メ、送って」って、一人で撮れないだろ。

 仕方ないので人差し指と中指で走ってる風の写メを送った。

 平塚駅に着くと、写メを送った。

 バス停を探す。

 時計を見て、湘南平行きって、何時と時刻表を見る。

「すくな」

バスが4本しかないじゃない。

それでもタイミングよく、バスが来るようだ。

「もうすぐ来るな」とバスを待っていた。

 すると、後ろから目隠しされた。

「誰だ」

 声ですぐに分かった。

「くだらない」

 振り返ると、ルカが立っていた。

 桃花は人目をはばからず、ルカに抱きついた。

「捕まえた」