「ほんとなの、早瀬さん」
「う、うん、本当だよ」
この女に仕返しするんじゃなかったの。
なのになぜ、そんなこと。
言ってやればいいじゃない。
今からメイクラブしようとしてたって。
なのに言えなかった。
桃花の言葉に少しホッとしたのか、葉月は笑顔になった。
「どうしたの、その服装。別人みたい」
葉月は桃花の森ガールファッションに食いついた。
急に声が高くなってる。
この声、つくってるのかと思うぐらいブリブリのハイトーンだ。
「いや、これはね……」
「元彼の趣味らしいよ」
戸惑い、声をなくしてる桃花を見て、すぐに大樹がフォローした。
「へえ、早瀬さんって怖いイメージしかないのに、彼の趣味に合わしたりするんだね」
なんだろう、この茶番な会話。
これでいいんだろうか。
私はこの女を踏みつけにして、大樹を奪い取るんじゃないの。
なのに、仲良しムード満天だ。
どうせ、いつか修羅場になるんだし、ここできっちりさせといたほうが。
茶番な会話を繰り返すうち、私の中で闘争心がメラメラ燃え出していた。
しかし大樹ってやっぱり冷たい。
葉月とは別れてるんだし、これから付き合う私より、葉月を優先したのは許せない。
桃花は大樹に対しても不満が爆発しそうだった。