タイトル「森ガールと盛りあガール」 161 | 可愛い君に愛を囁きたい

可愛い君に愛を囁きたい

みぃたんと忍者たなかーず

四月になると山ちゃんと愛子さんの結婚式がしめやかに行われた。

私はルカを愛子さんのように愛せるだろうか。

そんなことを思いながら、早く結婚したいと思った。

 ブーケトスは逃さないわよ。

 そう思いながら、ブーケを待ち構えた。

「ああ、僕も弁護士目指そうかな」

 ルカがため息のような小声で言った。

「はあ?」

 思わずルカのほうをむいてしまった。

 その瞬間、無常にもブーケは他の人にとられてしまった。

「だからさあ、弁護士になりたいなあって」

「無理。絶対無理よ」

 結婚式が終わってからも、ルカと弁護士を目指すという夢で衝突していた。

 簡単な立食パーティ風の披露宴。

「どうして無理って決め付けるんだよ」

 桃花は父親の弁護士事務所で弁護士を目指す連中を何人も見てきた。

 弁護士を目指しながら、事務所の仕事をこなし、仕事に追われ、勉強する暇もなくし、気がつくと夢も見なくなってしまう連中を。

 だから弁護士にだけはなりたくない。

 まして弁護士を目指すなんて夢物語は応援するに値しない。

「変な影響受けないでよ。私、貧乏は嫌だからね」

「何だよ。どうして貧乏になるんだよ」

「弁護士目指すって浪人生と一緒よ。ルカなんて十年浪人してもきっと、弁護士事務所で雑用してるわよ」

「なんだよ、糟糠の妻になってくれないんだ」

「難しい言葉使わないでよ、そうこうの妻って何よ」

「いいよ、どうせ、君は売れっ子ミュージシャンだし、そのうち、僕なんか捨てられるんだ」

「ネガティブ!その性格がダメなんじゃない。弁護士なんか目指したって、2,3回失敗したら、どうせ僕なんかって言うでしょ」

 ルカは黙り込んだ。

 ああ、私って、ダメだ。

 愛子さんにはなれない。

 ルカのやる気を最初っからへし折ってる。