タイトル「森ガールと盛りあガール」 160 | 可愛い君に愛を囁きたい

可愛い君に愛を囁きたい

みぃたんと忍者たなかーず

「手紙ちょうだいね」

「だって、手紙じゃ、桃花、口から火を吹いてやくじゃない」

「えっ、そんなことしたっけ?」

「ルカのラブレター読みもしないで、ライブで焼き捨てたでしょ、覚えてない?」

「覚えてない」

 可哀想に、あんな熱烈なラブレター。

 部室のパソコンに下書きが残ってるのに。

 読んだら、きっと感動するのに。

 それを目の前の友人が教えもしないなんて。

 ルカ、可哀想。

 だって楽しんだもん。二人の喧嘩。

「喧嘩したら、フランスにパソコン使って、テレビ電話してね」

 そうしたら、見つかるかもしれないからさ、ラブレター。

「うん、そうする」

 愛海がフランスへ旅立った。

 愛海の個展を訪れたフランス人。

 実は世界的な画商だったらしい。

 冷やかし程度に訪れた愛海の個展を見て、最初はこの程度かと思ったらしい。

 しかし一枚の絵を見た瞬間衝撃を受けたのだという。

 それこそが妖精を食らう気持ち悪い絵。

 何でもフランスの業界紙に愛海を賞賛したらしく、すでに愛海の全ての絵を買い上げているらしい。

 留学以前にプロになることを薦められたが、技術を磨くためにフランスの美大に籍を置くことになったようだ。

 そういう話になってると聞かされて、桃花は大変なことを思い出した。

 愛海に桃花の絵を描いてもらったことがある。

 その絵は今無造作に本棚の上に飾ってある。

 この絵、いくらになるんだろう?

 桃花は取り敢えず絵を額に入れることにした。