タイトル「森ガールと盛りあガール」 159 | 可愛い君に愛を囁きたい

可愛い君に愛を囁きたい

みぃたんと忍者たなかーず

「どうして、山ちゃんを信じられたの?バリバリのヤンキーだったんでしょ」

「そうね、すぐに山ちゃんは更正できると思ったわ」

「差別じゃないけど、更正させる可能性には個人差があって、それぞれにのりしろみたいのがあるのよ。それが山ちゃんにはいっぱいあった」

 弁護士は禁固刑になると司法試験さえ受けられないはずだ。

 とすれば執行猶予がついたであろうことは間違いない。

 司法試験を通っても、弁護士会に入れなければ、弁護士にはなれないはず。

 そう考えると、罪自体はそれほど重くはないのだろう。

「それに私は彼は被害者に近いと思ってる」

 やっぱり何かある。

 例えば事件を事前に阻止しようとして、仲間を刺してしまったとか。

 ドラマの見すぎか。

 こんな安っぽいストーリーを思いつくのも、私がテレビの影響を受けてるからだ。

 これも環境犯罪誘因説の一つかもしれない。

 桃花はなんで捕まったかまで聞くことができなかった。

 いや、聞きたくなかった。

 それは二人が本当に信頼しあっていると感じたからだ。

 全てを知ってしまうと、夢が覚めてしまいそうで、きれいな純愛を汚してしまいそうな気がしたからだ。

「出会ってしまったのよ。私が側にいてあげれば、きっと彼はよりよく立ち直れると思った。だから、超えてはいけない一線を越えてしまったわ。結婚はしたけど、私は保護観察官はやめたわ」

 なぜ二人は結ばれたのだろう。

 保護観察の身にありつつ、誘惑に負けたというのか。

 そんなにイケメンでもないし、何かしらの犯罪を犯してる年下の男とどうしてそんな関係になったんだろう。

 気になることばかりなのに、答えを出したくなかった。

 複雑な愛情を語りつくすには、一夜では足りないに違いない。

 桃花はつくづく自分の恋愛が単純で、平凡で良かったと思った。

 平凡以上の幸せはきっとない。

 愛子さんを見てるとそう感じてしまう。

「だから私は私の人生をかけて彼の人生を変えようと決めたのよ」