タイトル 「天使の羽」 1005「私さあ……、 言うよ。 ねえ、聞いてる?」 鈴音は虚ろな目で呟いた。「どうしても練習に 集中できない原因があるの」 そしてグラスに手を伸ばし、 さらにチューハイを飲んだ。「ペース速すぎだよ」 翔太は鈴音のグラスを取り上げた。 鈴音はそれを奪い返す。「ほっといて。 誰のせいでこうなってると思うの」 そう言って、鈴音はグラスを一気にあけた。「えっ、俺のせい」「そうよ、あんたのせいよ」 座った目で鈴音は翔太をにらみ付けた。