「ミッドナイト・エクスプレス」の名匠アラン・パーカー監督が1980年に製作した青春群像劇です。当時は本国アメリカではドラマ化もされた人気作品ですが、日本ではマイナーな存在。
ニューヨークのマンハッタンの芸術学校。ここではたくさんの若者たちが、俳優、ミュージシャン、ダンサーとして成功することを夢見る青春の日々を送っていた…
パフォーミングアーツスクールのオーディションから卒業までを追う青春群像劇でスラム出身で読み書き出来ないけど、才能に溢れる黒人ダンサーや女優の息子だけど、ゲイなのを精神疾患だと言われ親と疎遠な俳優の卵、亡き親友の夢を代わりに実現しようとするプエルトリコ青年や、地下室で電子音楽作りをするのが好きなタクシードライバーの息子、普通過ぎるのを悩むユダヤ人の娘や、成功を焦るあまり、映画製作者を名乗る男の性加害の犠牲になる娘などかなり現代的なエピソードが満載でした。
単純な成功物語じゃないし、メロドラマもないし、美男美女の話じゃなかったから公開当時日本では受けなかったのかも。
中盤くらいに俳優クラスのメンバーで「ロッキーホラーショー」を観に行くところとか、時代を感じさせます。あれは今で言うマサラ上映や応援上映みたいなもんだったんだなと思ったりも。
アイリーン・キャラがオーディションを語る性被害にあう役で脱がされていたのにはびっくり。
確実にあの時代の空気を取り込みつつ、現代にも通じる普遍性もあって、地味だけと味わい深い傑作だと思いました。