「ソハの地下水道」の名匠アグニエシュカ・ホランド監督が、ポーランドとベラルーシの国境で“人間の兵器”として扱われる難民家族の過酷な運命描いた人間ドラマです。
「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じ、幼い子どもを連れて祖国シリアを脱出した家族は国境の森にたどり着いたものの、武装した国境警備隊から非人道的な扱いを受けた末にベラルーシへ送り返される。さらに再びポーランドへ強制移送へ。、一家は暴力と迫害に満ちた過酷な状況のなか、地獄のような日々を強いられ…
シリアからの難民一家がベラルーシからポーランドを経由して、スウェーデンを目指してやってきたもの、ポーランドの国境警備隊は難民たちを国境からベラルーシへ押し出し、ベラルーシもまた難民をポーランドへ押し返しという人間性を無視した暴挙を繰り返し、その成り行きを難民一家、国境警備隊員、人道的活動家、難民が沼で死ぬところを見てしまった国境警備隊の精神科医の視点で描く作品でした。
アニエシカ・ホランド監督はいろんな立場から人間的な目線で描くことで観客に自分事として考えるようにドラマを見せていきます。
最後はウクライナ難民200万人を受け入れるポーランドを見せて、ベラルーシとの国境で起きている蛮行を問います。
もうちょっと話題になるべき傑作だと思いました。