どんなホラー映画よりも恐ろしい!軽い気持ちで観てはいけない強烈な作品だった「子宮に沈める」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

「終わらない青」の緒方貴臣監督が2010年に起きた大阪二児置き去り死事件を元に描く2013年の作品です。

 

夫に一方的な捨てられ、幼い子ども2人とアパートで新生活を始めた由希子は日々の長時間労働、資格試験、家事、子育てなどに汗を流す。しかし、学歴や職歴のないシングルマザーの彼女は社会から孤立し、孤独に追いつけられていき…

 

「シンデレラガール」が面白かったので緒方監督の代表作である本作を観てみたらとんでもなく怖い作品でした。

是枝裕和監督が2004年に製作しカンヌ映画祭で柳楽優弥が最年少で最優秀主演男優賞を獲得した「誰も知らない」と同様の題材が描かれていることでかなり損している作品です。

「誰も知らない」は子どもの視点で育児放棄を描いていましたが、この作品は室内で定点観測するように育児放棄の過程を見せていきます。

最初は幼い子どもたち二人を一人で育てる様子を見せ、やがて夫に捨てられ、夜の仕事を始めたことから生活は破たんし子ども顧みないようになっていき、残された子どものサバイバルが始まります。

ドラマチックな描写をとことん排除し、セリフによる説明もなく、すべてを行動で見せる徹底した演出が恐怖をあおります。

母親が消えてからの様子は見るのが辛すぎて、どんなホラーのどんな残酷シーンよりも心をえぐられます。

この作品が公開当時、全く映画マスコミで話題になっていなかったことが恨めしく思えます。

結婚や育児を控えている人は観るのに覚悟をした方がいいレベルの作品でした。

存在は知っていたけど「誰も知らない」みたいな映画なんだろうと見逃していたことが悔やまれます。