宮澤賢治生誕100年のときに作られた宮沢賢治の伝記映画。父親役にはあの人が!「宮澤賢治 その愛」 | キネマ画報

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1996年に生誕100年を迎えた宮澤賢治の半生を「午後の遺言状」の新藤兼人が脚本、三たびの海峡」の神山征二郎が監督して描いた伝記ドラマです。BS松竹富士で放送されていたのを観ました。

 

大正2年、岩手県立盛岡中学校に在学中の宮沢賢治は中学を卒業して実家のある花巻へ戻った賢治は、冷害による飢饉に苦しむ農民の生活を目の当たりにして、厳しい現実に強くうちのめされる。家業である質屋を継ごうとしてもうまくいかない賢治は、最愛の妹・トシの勧めで盛岡の農林高校へ進学。賢治は土壌の改良や研究に勤しみながら、仏教にも深く信仰を寄せるようになり…

 

日本映画界の大御所新藤兼人の脚本で「ハチ公物語」など実録映画の神山征二郎監督による宮澤賢治物語で安定感ある仕上がりです。

父親は仲代達矢だし、宮沢賢治も三上博史で本人には全く似ていないですけど、演技力は申し分なく方言だって気になりません。

タイトルの愛の対象は妹であったり、入院先の看護婦さんだったり、詩人の会に参加してくる女性だったりですが、詩人の会の女性は彼の『注文の多い料理店』のファンとしてやってきて、賢治はぐいぐいくる彼女を遠ざけようとしたりします。

そのあと大島に渡って友人の妹といい感じになりながらも病に蝕まれ…という感じで、タイトルに愛とはあっても恋愛模様は発展しません。宮沢賢治をトレンディ俳優だっの三上博史が演じている時点で賢治感はないし、賢治に愛を求める物語を綴るのも無理がある気もしますが、それを日本映画界の手練れたちが力技で感動物語に仕上げています。

去年の「銀河鉄道の父」も菅田将暉が宮沢賢治を演じていたけど、もうちょっと本人に近いビジュアルの素朴顔のキャストが演じたらダメなんだろうか。

 賢治の父をこのときに仲代さんが演じて、「銀河鉄道の父」では仲代さんの無名塾出身である役所広司が演じているのは雰囲気も似ていて師弟愛を感じました。