「乱れる」の成瀬巳喜男監督と高峰秀子のコンビによる1952年の作品です。
観光バスのバスガイドをしている清子には全員父が異なるという三人の兄姉がいた。長姉の縫子が、清子に両国のパン屋綱吉との縁談を持って来た裏には金儲けのうまい綱吉を利用しようという腹が見えすいていた。身内の醜さにうんざりし下宿して自立生活をはじめた清子を、癒しは、隣に住む国宗周三とその妹つぼみとの交流だけで…
二女の夫が死んでその保険金にあやかろうと近づいてくる親族と二女の夫の愛人とが入り乱れ、ヒロインの縁談とかもからみうんざりするような人間関係が展開します。
高峰秀子や香川京子が共演していて、浦辺粂子がいて昭和だなあって感じです。
林芙美子が原作ということですが、リアリズムで描かれるドロドロしたホームドラマでこれを映画館で観たいと思う当時の感覚がなかなかわかりません。テレビがない時代はこういう橋田ドラマみたいな内容が映画でも受けていたのかなという感じ。
１９５０年代の日本人はやっぱりまだ戦争を引きづっているんだなあというのがよくわかりました。