大映のセクシー路線軟体動物シリーズの代表作を改めて観てみると…「でんきくらげ」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

「女体」の増村保造監督が1970年に製作した夜の軟体動物シリーズの第3作です。

 

洋裁学校へ通う十九才の由美を女手一つで育てあげた母親のトミは男っ気がとぎれたことがほとんどなかった。吉村もそんなトミの何人目かの男だったが、吉村はある晩由美を犯す。帰宅したトミは興奮のあまり、吉村を包丁で刺殺し、刑務所へ入った母親のもとへ由美はせっせと通ってはげまし続けたが、自分の生活のためにトミの勤めていた場末のバーを手伝うようになる。トミは由美を案じて、バー勤めをやめるように説くが、由美の決心は固かった。由美に目をつけ追い回すやくざの風間から彼女を救ったのは、銀座の高級クラブのマネージャー野沢だった…

 

「いそぎんちゃく」「続・いそぎんちゃく」に続く軟体動物シリーズ第3作増村保造監督が渥美マリと組んだ作品です。大映のセクシー路線の代表作品ですが前半のシチュエーションが東映の夜の演歌シリーズとほぼほぼ同じでびっくりでした。

邯鄲に言うと身持ちの悪い母の恋人に処女を奪われたヒロインが母がその男を殺したせいで転落し、夜のお店で働くようになり、ある男との出会いが彼女をたくましくしていくというような流れです。

前半にヒロインが悪い男たちの性暴力にさらされるときのリアクションが今の松本人志の性加害の状況と重なって見えたりして、この時代から女性への性加害の実態は変わりないんだなあという印象。

しかし、ヒロインはそこからたくましく男たちを手玉にとって好きな男には一途に迫り、強く生きて行く姿が描かれ観ている方は少しほっとします。

増村保造監督のこの頃の作品は極めてエロティックな場面があるけど、肌の露出がそれほどでもなくむしろ隠されていることでこっちがかきたてられるチラリズムの原型みたいなものを感じます。

ヒロインの渥美マリの棒読み演技は増村監督の手掛けた大映ドラマの「スチュワーデス物語」の堀ちえみの原型みたいに見えます。