「人情紙風船」の山中貞雄監督が1935年に製作した代表作です。
矢場に居候し用心棒をしている丹下左膳と女将のお藤は、店で殺された男の息子・ちょび安を引き取ることに。ちょび安はとある壷を大事に持ち歩いていたが、この壷には百万両の隠し場所が塗り込められていて…
平成にもリメイクも製作されている名作をようやく観ましたが、わりとゆるゆるのコメディで脱力しました。しかし、内容よりも映像と音声の復元力のすごさにびっくり。フィルムが部分的に欠けているような作品でもこんなにクリアな音声に出来るとかヤバイ。女将の歌うシーンとか伴奏もついて、もはやミュージカルです。山中貞雄監督作品は「河内山宗俊」といいこれといい奥行きのある画面作りが特徴的で画面が平板じゃないのが魅力的でした。
物語も「河内山宗俊」と同じような構造で、どちらも金になるお宝を巡る展開と無頼の男がそのお宝を偶然手に入れた可哀想な境遇の若い人を助けるお話です。
これが山中貞雄の好きなタイプのお話なのかも。