「愛なのに」の監督による丁寧に作られたある変態の物語「女子高生に殺されたい」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。


古屋兎丸の同名漫画を「愛なのに」の城定秀夫監督が映画化した作品です。4月公開ながら早くもAmazonプライムにあったので観ました。

女子高生に殺されたい願望、オートアサシノフィリアの高校教師東山春人は理想的な殺され方を実現するため、9年かけて綿密に計画を練っていた。ついにその計画を実行に移した春人だったが…

劇場では2回観て2回とも寝落ちしてしまいました。
原作にないキャラクターをたくさん出して、彼が誰に殺されたいのかをサスペンスにしたり、映画なりのアレンジがかなり加えられた構成になっています。「愛なのに」のヒロイン河合優実はこの作品でも主要キャラとして出演しています。
現在、大河ドラマにも出演中の南沙良がやはり群を抜いてヒロイン感があり、ミスリードを誘うキャラたちを無効化しています。
低予算映画の帝王とも言える城定監督ですが、この作品は映像的にもメジャー感があり美しいキャストをより美しく見せています。
その美しさは主人公の変態性溢れる甘美な願望を際立たせるためにも必要不可欠。
原作は漫画ですが、耽美な描かれ方は谷崎や乱歩の変態性欲系の作品のよう。
大島優子が主人公の元恋人のスクールカウンセラー役で主人公田中圭とのベッドシーンもあります。女子高生に殺されたい主人公にとっては恋人とのHも義務的なものでしかない描かれ方が凄いです。
南沙良は多重人格者だったり、河合優美は地震の予知が出来たり、一筋縄ではいかないキャラになっています。
田中圭は完璧な変態役ですがステレオタイプではなく、その勤勉さ故に計画を応援したくなります。
南沙良の多重人格あたりからサイコサスペンスの様相を帯びて来ます。
こんな変態的な一歩間違えばコメディな題材で堂々たるメジャー作品を監督する城定監督は凄いです。