「TATTO〈刺青〉あり」の高橋伴明監督が作家戸井十月を主演に起用した1982年製作のピンク映画です。ディレクターズ・カンパニー第1弾作品で助監督周防正行、製作進行黒沢清、長谷川和彦監督は手配師役で出演。音楽宇崎竜童(チョイ役で出演も)、泉谷しげる(巡査役で出演も)というそうそうたるスタッフです。
男は走り、食べ、動物的に女を襲う。ある夜、少女に出会った男は彼女が同じ世界に生きる者であることを肌で感じる。彼女はやがて男の子どもを身籠り…
スタッフも凄いですが、若き日の大杉漣さんがマザコンの青年役で出ていたりハゲ役のイメージが強い諏訪太朗さんに髪があったりして新鮮です。
戸井十月演じる男がひたすら暴力的でしゃべることすらなく「爆裂都市」のキ○ガイ兄とほぼ同じです。「シティーハンター」並みにモッコリしては女性を襲うばかりですが、長田勇市カメラマンの撮影はあくまで美しく隠微さがかけらもありません。部屋でHするシーンの光の使い方とか凄いです。こうすれば全裸でもほがしなしで見せられるのかと勉強になります。
家にいるときは全裸で寝ていて、そこにいろんなセールスが来ますがガン無視されて帰るという展開が合間合間に繰り返され笑わせます。高橋恵子さんも聖書を持ってきて、二人のHを見せつけられたりしています。
食べるものは全て万引きで肉屋でステーキを盗むくだりは傑作です。普段からランニングしているから逃げ足がめっちゃ早いです。
ラストのデタラメさもバカバカしくて嫌いじゃないです。