
三谷幸喜脚本と監督の新作映画です。
ヒット作を連発してきた三谷幸喜とは思えないほど劇場がすいていて、昼間の回なのに中規模のシアターに半分ほどの客入りでした。
でも週末の映画ランキングがトップだったので、ヒットしているみたいです。
2265年、木星と土星の間に作られたコロニーをつなぐギャラクシー街道が廃止の危機にあった。
その街道沿いのサンドサンドバーガーを営むノアはアースに帰ろうかと考えていた。
そんなとき、店にはノアのかつての恋人レイが怪しげな宇宙人連れで現れたり、リフォーム業者宇宙人メンデスが妻に言い寄ったり、巨大ヒーローのキャプテンソックスが三角関係に悩んでいたり、ギャラクシー街道を査察に来た役人は幻覚に悩まされ、アースの歯医者が宇宙の風俗のサービスに不満を抱いたりしていた…
物語は要約しようがないほど、デタラメな群像劇で例によって一日のある時間を描く三谷幸喜お得意のコメディですが、笑いの質がいつもと違い宇宙的なギャグセンスが貫かれています。
まずは三谷幸喜が一般受けしない宇宙SFコメディというジャンルに挑戦していることに注目です。
ある意味実写映画「進撃の巨人」より、野心的なSF映画です。
ポスターにはロマンチックコメディと書いてあるし、三谷幸喜も雑誌のインタビューでロマンチックコメディとして依頼されて作ったことを語っていますが、ロマンチックの定義を確かめたくなるくらいロマンチックとかけ離れた下ネタ満載の映画でした。
宇宙が舞台ですがSF要素は宇宙人とのカルチャーギャップ中心で、というかそれだけです。
宇宙を舞台にしながら、ぼったくり風俗に行った男の心情をかなりリアルに描いていたり、妻の子を宇宙人のおっさんが出産したり、ヒーローが三角関係に悩んだり、なかなかハードルの高い笑いが散りばめられています。
生々しい人間関係や下ネタをライトに描くため対象を宇宙人にしたような気がしてきます。
ただでさえ当てにくいSFコメディというジャンルをわかりやすいSF映画のパロディとかにあんまり逃げず(ウルトラマンやETのうっすいパロディはある)、微妙な下ネタを何度もぶちかます三谷幸喜の攻めの姿勢に感心しました。
この内容で映画ランキングトップをとるのはなかなかすごいことです。
笑えたかどうかは別として、三谷幸喜くらいしかこの豪華キャストでこんな映画を作らせてもらえないと思います。
ロマンチックコメディといいながら下ネタのせいでデートムービーにならないし、宇宙を舞台にしたコメディでも下ネタのせいでファミリー向けじゃないし、古いネタのパロディが多いけど、いい大人には敬遠されそうだし、この映画のターゲットって、すごく狭い気がします。
これをいずれゴールデンタイムに放映するであろうフジテレビが製作しちゃったところがまたなんかすごいです。
フジテレビは三谷幸喜に意見出来ないような力関係なんでしょうか?
こんなにお茶の間で流しにくい映画なかなかないと思います。
劇中に宇宙S〇Xが出てきた日本映画は「さよならジュピター」以来かも。
歯医者と最後までいくスペースコールガール役の田村梨果って誰?と思ってググったらミラクルひかるでした。
あのCコースが性〇為なら「ET」なんかとてもヤバイ映画になってしまいます。
あの触れるだけ系のHは「バーバレラ」からだそうですが、せめて衣装もバーバレラ風にセクシーにしてほしかった。
この作品は三谷幸喜史上一番のヒット作には間違ってもならないけど、一番のカルト作品なのは確か。
教訓、綾瀬はるかや優香が出ている映画は要注意だ!(好きだから観るけど)
追記、世間からの酷評が続く本作ですが、「pan」や「俺物語!!」が公開になった先週末も映画ランキングトップに!
なんだかんだ言ってもヒットさせる三谷幸喜はすごい。