「死刑台のエレベーター」といい「ゴースト」といい、なぜ今海外の古い名作を日本でリメイクしたのか?
2作品とも一般人のユーザーレビューで評価がさんざんです。
そして、両作品ともに旧作を知らない人に突っ込まれているポイントがオリジナル作品を踏襲している部分だったりします。
オリジナル作品に敬意を表して残した部分にもかかわらずそこが欠点になっているのです。
ダメな部分として指摘が多い「死刑台のエレベーター」の行き当たりばったりな若いカップルの犯罪や、「ゴースト」がラブストーリーからドタバタコメディになり、急にサスペンスになるところだってオリジナルのまんまです。
どちらもそういう荒っぽい部分を持ちながらも、なんか勢いで押し切っていて、そのインパクトの強さが作品の魅力だった気がします。
しかし、リメイクではオリジナルの持つ魅力に匹敵する武器がなかった。
だから批判されちゃうのだと思う。
その点、「十三人の刺客」をリメイクした三池崇史監督は超然としてます。
様式美すら感じさせるソリッドな見せ方が魅力的だった工藤栄一監督作品と対照的な演出をしています。
いきなりオリジナルにない暴君の犠牲になった女性を裸で登場させたりして、思い切ったエログロアプローチでどこから観ても三池作品に仕上げてます。
名作のリメイクを成立させる近道は強力な作家性なんじゃないかと思います。
余談ですけど、今年観た作品の中では「死刑台のエレベーター」より「ゴースト」より、オリジナルに思い入れが強い「座頭市 THE LAST」の方が観ていて苦痛でした。
作家性が強かった阪本順治監督がとうてい座頭市とは呼べないこんなぬるすぎる時代劇を作ってしまったことがショックですらありました。
また来月には実写版「ヤマト」、来年には実写版「あしたのジョー」があります。
「死刑台のエレベーター」や「ゴースト」以上に自分にとって気になるこの二作は、一体どんな仕上がりになっているでしょうか?