
「π」「レクイエム・フォー・ドリーム」「ファウンテン」と作品を作るごとにストーリーよりイメージに比重が大きくなってきていたダーレン・アロノフスキーが、ここにきて人間ドラマ「レスラー」を作るとは!
しかもミッキー・ロークが主演。
80年代の人気レスラー、ランディは今も細々と現役レスラーとして活動を続けている。
しかし、週末の小さな団体リングだけでは生活できず、平日はスーパーでパート。
それでも生活は苦しく住まいのトレーラーハウスから締め出されることも。
そんな彼の気晴らしはストリップ。
お気に入りのキャシディは、40代で客からは母親世代といわれるほど。
彼女は、8歳の子供を抱えるシングルマザーであることに負い目を感じ、好意を寄せるランディになかなか心を開かない。
ある日、ランディは試合後意識を失い病院で目覚める。
彼は心臓のバイパス手術をしたため、レスリングをすることは死に繋がる危険な行為となる。
80年代の歴史に残る名試合の再戦が決まったところだったのに。
彼はレスラー生活に見切りをつけ、普通の生活をしようと奮起するが…。
ストーリーはモロ浪花節だけど、そこはアロノフスキー!
見事に映像で愛すべきランディのダメ人間ぶりを描きます。
生きることに不器用なレスリングバカらしいその生活ぶりを感情的になりすぎず、ある程度距離をおいてベタベタになることを巧みにさけてます。
レスラーとストリッパーという裸で勝負する仕事を選んだ二人。
その哀しみまで肉体で表現してます。
80年代に全盛期だったミッキー・ロークと80年代末に(90年代の始めだっけ?)アカデミー女優に仲間入りしたマリサ・トメイ。
そんな二人が「80年代最高!90年代最低!」と盛り上がるシーンにぐっときました。
今年観た映画の中で最もお気に入りの1本です。