QED百人一首の呪(しゅ) | 前立腺がん闘病封じ込め記

前立腺がん闘病封じ込め記

前立腺がんの診断を2020年1月に受けた。PSA値640超、Gスコア8、多発的骨転移ありだった。手術・放射線は適応にならない。それでもあわてない、あせらない、あきらめない日々を送る。



QEDとは、quod erat demonstrandum の略。ラテン語で「証明終了」の意味。


高田崇史氏のQEDシリーズ、「百人一首の呪」を読んだ。作者の歴史と和歌への並々ならぬ知識の豊富さに脱帽した。


延々と百人一首の蘊蓄が主人公の桑原タタルによって語られる。文京区の富豪の屋敷で起こった殺人事件の謎解きにもちろんこの百人一首の知識が役立つ。


藤原定家が選定した百人一首は単なる名歌を集めたものにあらず。そこには百首全体で一つの大きな意味を表す意図があるという。このことは、和歌の研究家が様々な意味を配列から読み解くことが試みられてきた。


この本の作者も独自のあるいは過去の研究者の説を踏まえて「呪」を表すものとしてとらえている。


ミステリーとしての謎解きとは別に百人一首と曼荼羅との関係や意味を楽しむことができる。


この本を読んでいる数日間、頭を百人一首に浸しながら、藤原定家の苦悩と後鳥羽上皇の無念さに思いを馳せていた。


あゝそういえば、文京区の事件は、そういうことだったのね。ということで、事件解明と百人一首の謎が融合するところが、さらに憎い結末となっている。