一昨年の1月に90歳でお亡くなりになった半藤一利さん。
文藝春秋の社員から、ジャーナリスト、作家、戦史研究家になった。この方の昭和史は実に詳細でわかりやすい。映画にもなった「日本のいちばん長い日」はこの方の代表作だ。
この方の「昭和史」を毎日一巻ご本人の朗読で味わっている。全18巻まである。この方の語り口調は江戸弁が混じる名調子で、誠実さを感じさせ、内容はかなり詳細で客観的だ。平和への舵取りができなかった日本の上層部の過ちへの無念さがあちこちににじんでいる。
明治38年、日露戦争の勝利で沸き立つ日本は、その時点から誤った道を歩みはじめたと半藤さんはみている。日露戦争までは、日本はかなり幸運だった。ツキも加わって、そこまでの日本の指導者は世界に恥ずかしくない胆識と実力を備えていた、と言っていい。しかし、そこから昭和の戦後まで、日本指導層は国際協調力を欠いたグランドデザインによって、破滅の道を突き進むことになる。天皇陛下を戴く日本がどのようにして軍国主義化していき、満州国を建て、日中戦争を起こし、ノモンハン事変でソ連と戦い、独伊と同盟し、英米と対立し、太平洋戦争に突き進み、敗戦となったのか。
昭和天皇、天皇側近、内閣政府、陸軍、海軍、新聞社、国民世論、それぞれの立場で誰がどういう動きをしたのか、を詳細に述べている。
今9巻まで来たが、あと半分残っている。
入浴しながらこの「昭和史」を聴くのが、いま一番の幸せかなー。いずれ総括的なことを書いてみたい。