Spotifyで聴く、NHK「みんなうた」 (80年代編) | れぽれろのブログ

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最近諸々の流れからSpotifyに加入しました。Spotifyはスウェーデンの企業による音楽配信サービス。様々な音楽をストリーミングで聴くことができます。月額980円で聴き放題。無料でも聴くことができるようですが、無料の場合は広告が入るなどの制約があります。他の音楽定額配信サービスに比べて、楽曲数・音質・使い勝手がどれくらい良いのかは比較していないので分かりませんが、AppleやAmazonに不信感を持つ(笑)当ブログとしては、使いやすいサービスではあります。

今回はSpotifyで聴くことのできる、NHK「みんなのうた」で使われた楽曲を並べてコメントしてみます。
過去記事で何度か書いているように、自分は昔「みんなのうた」が好きで、Spotifyでは懐かしく思い出される曲もたくさん見つかります。すべての楽曲が見つかるわけではありませんが、検索してみるとそれなりの確率でヒットします。任意の楽曲名で検索してヒットする率は、感覚的におよそ30~40%くらいでしょうか。意外といろんな曲が見つかることに驚きます。
残念なのは放送時のオリジナルのミュージシャンによる楽曲が少ないことです。検索でヒットする場合でも70~80%は別の歌手による別テイクやカバーです。それでも懐かしい曲が見つかると楽しくなります。また、別ミュージシャンによるカバーでも、意外と面白い編曲のものもあります。

今回は80年代編。以下に80年代に放送された20曲を並べてコメントしてみます。最初の6曲は放送時のオリジナルミュージシャンによる楽曲、残りの14曲は別ミュージシャンによるものです。別ミュージシャンのものは複数見つかる場合もありますが、多くはできるだけオリジナル版に近いものを取り上げました。
作詞・作曲や初回放送年月などの情報は、みんなのうた総合データベース(→こちら)(旧「みんなのうた缶」)の情報を参考にしました。(「みんなのうた缶」ページはNHK「みんなのうた」に関する非常に充実したWebページで、ゼロ年代のころは自分はよく参照していたページです。そういえば一時期メルマガも読んでいました。残念ながら現在は休止中ですが、データベースは今でも参照可能です。)
ご関心のある方はリンク先から楽曲を聴いてみても面白いかもしれません。会員登録すれば無料で聴けると思います。

 

 

まずは放送時のオリジナルミュージシャンによる楽曲が見つかるものから。

 

 

・アップルパップルプリンセス/竹内まりや

作詞:柴田陽平 作曲:加瀬邦彦 うた:竹内まりや 初回放送:1981.12

いかにも80年代らしい?ナンセンスソング。サビは何度も口ずさんでしまいます。
歌は竹内まりやだったのですね。小学生当時は分かってませんでしたが、みんなのうたは意外な大物ミュージシャンが登場していて驚くこともあります。


・いたずラッコ/水森亜土

作詞:須田あきら 作曲:須田あきら うた:水森亜土,東京放送児童合唱団 初回放送:1986.6

続いてはラッコの可愛い映像が延々流れる楽曲。
水森亜土の独特の歌い方が楽しい。この方はDr.スランプの歌でもお馴染み。


・メトロポリタン美術館/大貫妙子

作詞:大貫妙子 作曲:大貫妙子 うた:大貫妙子 初回放送:1984.4

80年代みんなのうたの定番曲と言えばこの曲。少し暗い雰囲気がかえって印象に残るのは、みんなのうたあるある。フレーズの最後の音程を微分音的に上げる歌い方が好きで、真似して歌いたくなります。大貫妙子の歌唱はよいですね。
アニメの最後で女の子が閉じ込められる絵はドガの「ダンス教室」。歌詞にも登場する「ヴァイオリンのケース」は、実物のこの絵の中にも描かれています。


・みずうみ/大貫妙子

作詞:山川啓介 作曲:グリーグ うた:大貫妙子 初回放送:1983.6

こちらも大貫妙子の歌唱による1曲。グリーグの組曲「ペールギュント」の中の「ソルヴェーグの歌」を編曲したクラシック由来の曲です。4拍子で短調の曲調の中、中間部の3拍子で長調の部分が印象的な曲で、大貫妙子の歌唱にぴったりマッチ。個人的にお気に入り度が高い1曲です。


・リンゴの森の子猫たち/飯島真理

作詞:松本隆 作曲:筒美京平 うた:飯島真理 初回放送:1983.6

NHKのアニメ「スプーンおばさん」のエンディングでもある楽曲。この曲を聴くとスプーンおばさんがタップダンスしている映像が目に浮かびます。なんとこの曲は松本隆&筒美京平の黄金コンビによる楽曲だったのですね。


・ヒロミ/原田潤

作詞:伊藤アキラ 作曲:平尾昌晃 うた:原田潤 初回放送:1980.4

この曲は見つからないだろうなと思っていましたが、驚くべきことにありました。「下着みえみえ見えるのミ」「胸はぺちゃんこ干物のヒ」「悪口は愛の裏返し」などと、少年が悪気もなく歌っていますが、現在なら完全にキャンセル案件・炎上案件です 笑。これが普通に許されていたのが80年代。作曲者も意外と大物です。


ここからはオリジナルとは異なるミュージシャンによるカバー版です。


・コロは屋根のうえ/MARASICA

作詞:大貫妙子 作曲:大貫妙子 うた(放送時):大貫妙子 初回放送:1986.12

またしても大貫妙子の楽曲ですが、こちらは本人による歌唱はSpotifyには残念ながらなし。オリジナルに比べるとピアノ伴奏のシンプルな編曲ですが、歌唱はわりと良い感じでオリジナルの雰囲気を感じることができます。


・ラジャ・マハラジャ/くまいもとこ

作詞:福田三月子 作曲:吉川洋一郎 うた(放送時):戸川純,東京放送児童合唱団 初回放送:1985.2

インドに対する誤った?妄想音楽 笑。オリジナルの歌唱は戸川純。長調のAメロと短調のBメロで歌い方を変えつつ歌う戸川純の歌唱が魅力的な1曲でしたが、こちらの音楽もオリジナルに対しそれなりに忠実に再現されています。放送時の切り絵風のアニメも印象に残っています。


・まっくら森の歌/ビューティフルハミングバード

作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子 うた(放送時):谷山浩子 初回放送:1985.8

ここからは谷山浩子4連発。ですが、残念ながらオリジナル版は1曲もありません。80年代のみんなのうたは谷山浩子抜きには語れず、この「まっくら森のうた」はおそらく、みんなのうた愛好家を越えて有名な楽曲なのではないかと思います。暗い雰囲気こそ印象に残るというのは、ある種みんなのうたの王道です。こちらは編曲も歌い方もオリジナル版とはかなり異なっています。


・おはようクレヨン/山野さと子

作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子 うた(放送時):谷山浩子 初回放送:1987.6

こちらもオリジナルは谷山浩子。いろんな色のクレヨンが朝ごはんの食卓に変身する可愛い1曲。アニメも印象的な1曲です。
歌は童謡の歌い手で有名な山野さと子。この方は歌い方を器用に調整される方で、諸事情によりオリジナル曲を使用できないみんなのうたの楽曲をいろいろ歌われている方。この曲でもオリジナルの雰囲気を損ねずにうまく再現されています。


・しっぽの気持ち/山野さと子

作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子 うた(放送時):谷山浩子 初回放送:1986.8

続いても谷山浩子。恋する気持ちを歌っていますが、恋心があなたのしっぽになりたいという謎の願望に変わる様子が楽しい(恐ろしい?)1曲になっています。アニメでは2匹の猫が登場し、最終的に本当にしっぽになる様子が描かれていました。こちらも歌唱は山野さと子となっています。


・恋するニワトリ/忍足敦子

作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子 うた(放送時):谷山浩子 初回放送:1985.2

谷山浩子4曲目。こちらは風見鶏に恋してしまったというニワトリを描写した、可愛くも切ない1曲。「貝殻食べても鉄にはなれず」「一人で卵を産みました」あたりの歌詞も切ない。サビのニワトリの鳴き声を模したシンコペーションの部分(こっこっこーここー♪ の部分)が楽しくて、子供のころから繰り返し歌っていました。谷山浩子によるみんなのうたの楽曲ではこの曲が一番好みかもしれません。(谷山浩子はゼロ年代に「そっくりハウス」というこれまた怪しげな音楽があるのですが、これはまた別の機会に。)


・コンピューターおばあちゃん/POLYSICS

作詞:伊藤良一 作曲:伊藤良一 うた(放送時):酒井司優子(東京放送児童合唱団) 初回放送:1981.12

こちらは実はオリジナル歌唱版もSpotifyで見つかるのですが、完全に個人的な趣味でポリシックス版を貼り付けます。オリジナル版とはかなり異なりますが、これはかなり楽しい編曲。こういう歌詞の語感重視のナンセンスソングを演奏させるとポリシックスの右に出る者はいない?笑 歌はキーボードのカヨ。ギター&ボーカルのハヤシがおばあちゃん役で一瞬登場してるのも楽しい。ちなみにオリジナル版の編曲は坂本龍一とのことです。


・キャベツUFO/宇野澤雛奈・倉持美海

作詞:工藤順子 作曲:工藤順子 うた(放送時):工藤順子 初回放送:1984.6

キャベツと一緒に出荷され、キッチンに迷い込んだ青虫2匹。彼らに不思議な力が作用する…。
歌っているのは子供たちでしょうか。編曲はオリジナル版にかなり近いです。工藤順子は「風のオルガン」も良い曲なのですが、こちらはSpotifyにはなし。


・バナナ村に雨が降る/早乙女梨紗・玉野凛

作詞:銀色夏生 作曲:乾裕樹 うた(放送時):EPO 初回放送:1987.8

バナナの雨とイチゴの雨が降り注ぐ2つの村を歌った楽曲。なかなかメロディが複雑な1曲ですが、個人的にはお気に入り度が高い楽曲です。これも歌唱は子供たちでしょうか。
作詞は銀色夏生。銀色夏生といえば「ああおかしいね」「ポケットの中で」も名曲なのですが、こちらはSpotifyにはなし。


・まるで世界/KERA

作詞:別役実 作曲:池辺晋一郎 うた(放送時):山田康雄 初回放送:1984.4

作詞が別役実、作曲が池辺晋一朗という、たいへん豪華な楽曲。シュルレアリスティックな歌詞が楽しい。世界が世界として存在することの不思議さが表れた歌詞になっています。個人的に80年代みんなのうたのベストといえばこの曲になります。
こちらのバージョンはアレンジがきつくてオリジナル曲の軽快さがなくなっていますが、これはこれで歌詞の雰囲気にマッチしているように思います。


ここからは70年代以前の楽曲ですが、80年代にアレンジ版が放送された楽曲4曲です。

・白い道/芹洋子

作詞:海野洋司 作曲:ヴィヴァルディ うた(放送時):北原ミレイ アレンジ版初回放送:1985.2

ヴィヴァルディの協奏曲「四季」より「冬」の2楽章が原曲。これもお気に入り度が高い曲です。70年代はハイファイセットの歌唱だったようですが、自分が知っているのは北原ミレイによる80年代版です。


・小さな木の実/椎名林檎

作詞:海野洋司 作曲:ビゼー うた(放送時):斉藤昌子 アレンジ版初回放送:1983.10

こちらもクラシック由来の1曲。この曲は70年代、80年代、90年代と3度にわたって別バージョンが放送されているようです。みんなのうたの有名定番曲。
今回は椎名林檎によるアレンジ版をチョイス。これも完全に個人的な趣味です 笑。椎名林檎はゼロ年代に「りんごのうた」「二人ぼっち時間」という名曲がありますが、これはまた別の機会に。


・わたしの紙風船/六文銭

作詞:嶋岡晨 作曲:越部信義 うた(放送時):紙ふうせん アレンジ版初回放送:1983.4

70年代版はフォークグループ赤い鳥による歌唱、80年代版はその後継?である紙ふうせんによる歌唱。こちらは同じくフォークグループである六文銭による歌唱です。ラストの長調への転調が印象的な楽曲です。


・小犬のプルー/倍賞千恵子

作詞:林權三郎 作曲:柳沢剛 うた(放送時):石川ひとみ アレンジ版初回放送:1982.12

小犬との悲しい別れを歌った曲。これも個人的にお気に入り度の高い1曲です。イントロとアウトロが長調で歌唱部分が短調。各フレーズの前半が4拍子で後半が3拍子というトリッキーな楽曲。倍賞千恵子による歌唱は石川ひとみ版より声楽的な歌い方です。
3番の歌詞「悲しい目をした秋の午後」は、このバージョンではなぜか「悲しい目をした日暮れ時」になっています。



ということで、20曲を並べてみました。
あれこれ探して聴く作業は楽しいです。80年代以外の楽曲も機会があれば並べてみようと思います。