近江を歩く -岩間寺- | れぽれろのブログ

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3月17日の土曜日、西国三十三所の第12番札所である岩間山の正法寺、通称岩間寺に行ってきました。

西国三十三所のお寺には、いわゆる難所と呼ばれるお寺が何か所かあります。
代表的なのは第4番の施福寺と第11番の上醍醐、この2所は山上まで車で行くこともできず、徒歩での山登りが必要です。
その他、近畿の中心に住む人にとっては、東の端の華厳寺(第33番)、北の端の成相寺(第28番)、南の端の青岸渡寺(第1番)、西の端の圓教寺(第27番)なども訪れにくい場所ですね。

個人的な「難所」、最も訪れるのが面倒くさいと感じ、なかなか行く気が起こらなかったお寺が、岩間寺です。
理由は月に一度しかバスが出ないからです。
岩間寺は滋賀県大津市の南西、京都府との境目にある岩間山の中腹にあるお寺、最寄り駅はJR石山駅か京阪石山寺駅ですが、駅前からの路線バスは通じておらず、月に一度だけ、毎月17日の縁日と呼ばれる日にJR石山駅からシャトルバスが出るため、訪れるにはこのバスを利用する必要があります。
このシャトルバスが1日に5本、本数も少ないです。

そして、自分が最も嫌いなのが、混雑することです。
自分は基本的に遊びに出かけるのは土日のみです。

月に一度しかバスが出ない、しかもその日が土日と重なる、となると、やはり混雑の予感がします。
17日が土日と重なるタイミングが少ないことと、この混雑が面倒臭いので、岩間寺はずっと後回しにしていたお寺なのでした。

17日を避けて車で訪れるという手段もあります。
第二京阪から京滋バイパスを抜け、大阪からは1時間半くらいで着くと思いますが、車で滋賀県まで行くのもそれなりに疲れますし、自分はどちらかというと公共交通機関でのんびり行く方が好きなので、土曜日と重なった3月17日に、岩間寺に行ってみることにしました。


結果・・・やはり17日を避けて車で行けばよかったと後悔しています(笑)。

JR大阪駅から新快速に乗り、JR石山駅で下車。
1日5本のバスのうちの3本目、朝10時台のバスに乗ろうと思い、岩間寺行のバス乗り場に着くと、既に大行列ができています。
70人定員のバスとのことで、行列の全員は乗ることはできず、70人でシャットアウト、自分も乗ることはできませんでした。
バスは人間をぎゅうぎゅう詰めにして出発、乗れなかった人たちは次のバスまで待ちぼうけ。
ふと後ろを見ると、次のバスに乗ろうと集まってきた人の大行列ができています。
まるでテーマパークの人気アトラクションのようです。
数十分後、なんとか次の4本目のバスに乗ることができました。
バスはやはり70人でシャットアウトで、乗れなかった人は次の5本目(最終)のバスに乗ることになりますが、5本目に乗れないと、諦めて帰るしかないのでしょうか?
ということで、すし詰めバスに揺られて約30分、お寺に辿り着いた時点で既に疲労感はマックスです。


岩間寺(正法寺)は真言宗醍醐派のお寺、第11番札所である醍醐寺(上醍醐)と同宗派のお寺のようです。
ご本尊は千手観音、苦しむ衆生を救済しに毎日お寺を離れて出かけるとのことから、汗かき観音とも言われるのだとか。
岩間寺の開基は奈良時代初期の722年、元正天皇の勅願寺院とのことで、後年の後白河天皇の尊崇も厚かったのだそうです。
前回訪れた第15番今熊野観音寺に続き、またしても登場する後白河天皇。
ぼけ封じで有名なお寺のようですが、変わったところで雷除けというご利益も売りにしているようです。
雷除けとは何やら珍しい。
雷はそうそう我が身に怒らない災厄ですが、祈願する人はいるのかな?


入口はこんな感じ。

山門は見当たりません。
山門なしで、2体の仁王様がお出迎え。


少し歩くとすぐに本堂に辿り着きます。



本堂。

夥しい人の群れ。
この写真では少しわかりにくいですが、建物の内部でさらなる大行列ができています。
中に入ってお参りするまでにまたやたらと時間がかかりそうなので、参拝は諦めました。
やはり縁日を避けて車で来た方が良かった・・・。


本堂以外にもいくつかのお堂があります。

こちらは大師堂。

岩間山を開山した泰澄大師をお祭りしているお堂のようです。


不動堂。

不動明王をお祀りしているようです。
この日は縁日だからか、中からお坊さんの唱える般若心経のループ詠唱が聞こえてきます。


芭蕉の池。

古池や 蛙飛び込む 水の音
石碑にはこの句と「発祥の地」という文句が刻まれています。
この池を見て芭蕉はこの句を詠んだのでしょうか?ほんまかな?


五社権現堂。

お寺の奥に神社があるパターンは多いですが、このお寺ではこのお堂がその役割を果たしているようです。
本地垂迹説に基づき、
 熊野大権現=阿弥陀如来
 蔵王大権現=弥勒菩薩
等の解説がなされています。


敷地の奥に向かいます。

案内板。

さらりと「上醍醐寺」と看板に書かれていますが、山を越えて京都府まで歩く必要があり、訪れるには山道をおそらく7kmほど歩くことになります。
ちなみに八大龍王堂の方は目と鼻の先にあります。
距離感のギャップが甚だしい案内板です(笑)。


これが八大龍王堂。

 

さらに奥に向かうと、鏡をお祀りしている謎のお堂が。

このお堂はパンフレットにも載っていません。
この周辺は人も誰もおらず、ようやく混雑から解放。
とりあえずこのお堂にお参りしてきました。


崖の下にもちょこんと謎のお堂があります。



山奥の道。

この道をずっと歩き続けると、醍醐寺に到着するようです。


こちらはお砂ふみ道場。

西国三十三所の観音様をかたどった石碑が計33体並んでいます。
これも他のお寺でも何度かみたパターンです。

1番の青岸渡寺に始まり、すべてのお寺の観音像があります。


個人的に好きな、第14番三井寺の如意輪観音像。


 

お寺の入口に戻ると、仁王さんの反対側に白姫龍神なる石がありました。

泰澄大師が加賀の白山にて修行中に、白馬に乗った美女を見たとの由来に基づく石のようです。
女の人がこの神様をお参りすると、美女になるのだとか。ほんまかいな。


恒例のぼけ封じ観音。

前回訪れた第15番今熊野観音寺とほぼ同じ作りです。


ということで、岩間寺でした。
第16番の清水寺ほどではないですが、それでも想像していた以上に混雑していました。
特定の日にアクセスが集中するお寺、訪れる際には注意が必要なお寺です。


岩間寺から京阪石山寺駅までは、約6.5km。
帰りもすし詰めバスに乗るのは嫌なので、下山はたぶん楽だと考え、歩いて帰ることにしました。
この日はお天気も良く、気温はやや低めでしたが歩いているとポカポカしてきました。
3月中旬にしては、花粉もいくらかマシな日です。
心地よく下山し、お散歩を堪能。

ちょうど4kmほど歩いたところの喫茶店で一休み、美味しいランチを頂きました。
かなりボリュームのある日替わりランチ、大学生の頃の学生街の喫茶店を思い出します。
それもそのはず、あとで調べると、付近に滋賀大学の大津キャンパスがあります。
なんとなく懐かしい感じがする定食とコーヒーを堪能。


帰り道には西国第13番の石山寺が。

2年と4か月前に訪れたお寺に再開。


お寺の前の木。

これはもう桜が咲いているということのかな?


西国三十三所、残り3所。