2016年 おしまい | れぽれろのブログ

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美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

2016年も本日でおしまい。
本年最後の更新となります。
皆様にとって2016年はどのような年だったでしょうか?


自分にとっては、2013年~2015年が変化と激動の年であったのに対し、今年は平穏で何事もなく推移した1年でした。
昨年秋に転職&引っ越しを経験したこともあり、仕事の方は新しいことがたくさんで、バタバタと慌ただしく大変でしたが、それ以外は平穏無事な1年だったように思います。
7月には強烈な腰痛に襲われましたが、1時的なものだったのか1ヶ月でみるみる回復し、現在は何事もなく日々を過ごしております。(前屈するとまだ腰が痛みますが、前屈など生きていく上でどうでもいいことですので、気にしない 笑。)
また大都市の周辺部から中心部に引っ越した結果、どこへ行くにも移動時間が短くてすみ、多少の時間的余裕もできた1年でした。
しかし、移動時間の余裕が増えたからと言って、人間新しいことを始めるのかというとそんなことはなく、ダラダラする時間が増えるだけですので、あまり重要な変化ではないとも言えます(笑)。


ということで毎年恒例、自分の関心のあるテーマごとの今年のまとめ。
余計な脱線も含みつつ、以下に記載します。

 


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■美術


美術館・展覧会について。
今年は全部で19件の展示・イベントを鑑賞し、このうち14件について、カテゴリ「美術館・展覧会」にて感想を記事化しました。


今年の個人的ベスト3は以下です。
 ・杉本博司 ロスト・ヒューマン (東京都写真美術館) → 
 ・国宝 信貴山縁起絵巻 (奈良国立博物館)
 ・岩佐又兵衛展 (福井県立美術館) → 


杉本博司は東京まで見に行った展示で、今年の現代美術展の中で最も印象的な展示です。
岩佐又兵衛も福井まで見に行った甲斐があり、超代表作が並ぶ素晴らしい展示でした。
信貴山縁起絵巻は海外出張直前に鑑賞したこともあり記事化できていませんでしたが、これも興味深い展示でした。
感想を少しだけ書き留めておくと、信貴山縁起絵巻は院政期の長大な絵巻物で、全編をまとめて鑑賞したのは自分は初めて、とくに細部の人物描写が非常に面白く、楽しく鑑賞しました。
中世以降の絵巻がだんだん様式化・装飾化していくのに対し、これだけ人物が生き生きと描かれているのは絵巻物史上でも非常に珍しいように思います。
その他、粉河寺縁起絵巻などの同時代の絵巻や破邪絵(これは一種の無残絵のよう)など、院政期美術の面白さを堪能できる展示になっていました。


その他、岐阜県美術館(→ )、岡山県立美術館(→ )、森美術館(→ )を初めて訪れたのも今年の思い出。
海外の美術より日本美術の鑑賞が多かったのも今年の特徴です。


あと、今年の大うっかり。
伊丹市立美術館で秋に開催されていた「ウィリアム・ホガース “描かれた道徳”の分析」、これは絶対に鑑賞すべき展示なのですが、忘れていました。
伊丹はときどき興味深い展示をやるのですが、なぜかチェックが漏れがちで、すっかり抜けておりました。
ホガースは好きな画家で、「当世風結婚」(→ )の原画(版画)を見られるチャンスだったのに、残念です。

 


■音楽


演奏会について。
今年は10件の演奏会を鑑賞し、9件について記事化しました。
とくに良かったのを1つだけあげるなら、
 ・マーラーの交響曲9番/ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団 → 

でしょうか。
クラシックの中でも1,2を争うくらい好きな楽曲を素晴らしい演奏で鑑賞できましたので、印象深いです。


あと、感想を書き忘れていますが(書いたと思ったけど忘れてたようです)、ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団の古典交響曲(プロコフィエフ)、交響曲9番(ショスタコーヴィチ)、「春の祭典」(ストラヴィンスキー)も面白い演奏会でした。
これはラインナップを見てのとおりファゴットが大活躍するプログラムで、しかもアンコールに「火の鳥」の「子守歌」(ストラヴィンスキー)をやるという、ファゴットづくしのプログラムで楽しかったですね。
あとこの演奏会の「春の祭典」に関する解説、この楽曲の初演時の観客の騒動についてはクラシックファンの中では有名な話ですが、これは楽曲に対する反発や無理解に由来するのではなく、ニジンスキーの振付に対する抗議だったという、既存の説を覆す考えが書かれていました。
確かに20世紀ゼロ年代にマーラーやシュトラウスを経験した聴衆がハルサイのリズム如きで騒ぐはずはないとも思いますし、納得の解説、今後の史的研究を期待したいです。


その他音楽について。
今年はカツァリスのサイン入りCD(→ )を除き、CDを1枚も買わなかったという珍しい1年になりました。
聴衆のCD離れが進む世の中と並行して、自分の中でもCD離れが進んできているようです。

 

あと、今年はプリンスや冨田勲など、音楽関係者の訃報が多かった1年だったように思います。
個人的に思い出深い方々として、ピエール・ブーレーズ、ニコラウス・アーノンクール、ネヴィル・マリナー、ゾルタン・コチシュ、中村紘子、キース・エマーソン&グレッグ・レイクの各位が亡くなられており、皆様のご冥福をお祈りしたいと思います。
そして、音楽批評家の宇野功芳さんも本年に亡くなられました。
音楽の聴取形態が録音からライブへ、所有から体験へ重心が移る中、ある種のシンボリックな訃報であったように感じます。
そもそも自分の音楽体験は宇野批評的なもの(楽曲や録音への個人的愛着を語り、歴史を重視せず、詩的表現とともに価値判断を行う)への違和からスタートしていたりするのです。
しかし、我が家の本棚には宇野さんの本が3冊ほどありますし、なんだかんだ言って宇野批評は面白い(笑)ので、思い出に残る方ではあります。
ご冥福をお祈りしたいと思います。

 


■本


昨年秋に大阪府立中央図書館まで車で15分という好立地に引っ越して以降、図書館に入り浸ることが多くなりました。
読書メーターに登録して本を最初から最後まできっちり読むという方針はどこへやら、今年はまた本を読み散らかすという読書形態に戻ってしまいました(笑)。


そんな中読書メーターに登録した本は計27冊。
今年出版された本の中で印象的なのはとくに良かったのは以下の2冊。
 ・世界システム論講義-ヨーロッパと近代世界/川北稔 (ちくま学芸文庫)
 ・柳田国男-知と社会構想の全貌/川田稔 (ちくま新書)
お2人の名前がややこしい(笑)ですが、この2冊をあげておきたいと思います。


今年出版の本以外で面白かった本として、以下の3冊をあげておきます。
 ・音楽史と音楽論/柴田南雄 (岩波現代文庫)
 ・日本近代史/坂野潤治 (ちくま新書)
 ・戦後入門/加藤典洋 (ちくま新書)


ここ最近の出版に対する印象として、ちくま新書の素晴らしさをあげておきたいと思います。
少し大きめの本屋さんに行ってちくま新書の棚の前に立ってみると、分厚い総論的な本がたくさん並んでいることに気付かれると思います。これは素晴らしい!
上記に取り上げた本も5冊中4冊がちくまの本です。

来年もちくまに期待したいと思います。


あと、今年は講談社文芸文庫の「戦後短篇小説再発見」を継続して読み、感想を記事化する予定で、とりあえず5冊を読みましたが、感想は4冊分(→ )で飽きました(笑)。
各巻の傾向が似ているということもあり、記事が似通ったものになってしまうので、4回くらいでいいかなと思っていますが、来年も気が向けばまた記事化するかもしれません。


■旅


今年は岐阜、岡山、福井、東京に遊びに行きましたが、やはり仕事で行った台湾(最終日にお休みをもらって観光できた)が最も印象的です。(→

西国三十三所は、穴太寺、華厳寺、勝尾寺、岡寺、善峯寺の5か所を訪れました。
とくに勝尾寺(→ )が楽しくて、だるまワンダーランドと化している様子がたいへん面白かったですね。

 


■社会


今年の世界的重大事件と言えば、やはりブレグジットとトランプです。
冷戦末期以降、世界は危機とその回復をゆらゆらと何度か繰り返していますが、8年前のオバマ登場の頃の世界中の安堵はどこへやら、今年は再び危機の方に大きく振れた年として記憶されることになるように思います。
EUの理念を機能させることの困難性が明らかになったこと、そして頻発するテロも大きな問題です。
そんな中での日本、自分にとっては相模原殺傷事件(→ )が最もショッキングな事件でした。

このような世界の中、最近読んだ宇野重規さんの「保守主義とは何か-反フランス革命から現代日本まで」(中公新書)にあるように、理性を肯定しつつも感情をより重んじるというエドマンド・バークの理念は非常に重要であると感じます。


差し当たり日本においては災害が最も大きなテーマかもしれません。
頻発する地震(→ )に対してどう構えるかということも、重要な課題です。

 


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さて来年ですが、このブログの今のレイアウトにも少し飽きてきたので、タイトルバックも含めて久しぶりに少し変更してみようかな、などと考えております。
そして30代も終盤に差し掛かってきている中、プロフィール画像がいつまでも可愛らしいピグ画像でいいのか(笑)という気もしてきておりますので、ひょっとしたらプロフィール画像も来年は変更するかもしれません。

 


当ブログにアクセスして頂いてる皆様、来年も一つよろしくお願い致します。


さようなら、2016年。
全ての皆様に感謝。
幸せを明日に・・・良いお年をお過ごしください。