岐阜県美術館 | れぽれろのブログ

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前回の続き、4月16日の土曜日、谷汲山華厳寺を後にし、

国道157号線に沿って南へ走り、JR岐阜駅付近から西へ。
谷汲山から50分あまり走ると、岐阜県美術館に到着しました。


岐阜県美術館は岐阜市の中心にある美術館で、
最寄り駅はJR西岐阜駅。
付近には岐阜県図書館・岐阜市科学館もあり、
図書館・美術館・科学館が並ぶ文化スポットとなっているようです。
岐阜県美術館はルドンの作品を多く所蔵していることで有名。
今回も一部ルドンの作品を鑑賞することができました。


外観はこんな感じ。


この日は企画展示はなく、全フロアを使った所蔵作品展となっていました。
国内の西洋画・日本画、西洋絵画から現代美術まで幅広く所蔵されており、
様々な作品を楽しむことができました。


ちなみにドアにガラスの上にはこんなのがいます。


ルドンの版画作品「蜘蛛」です。
この蜘蛛くん、ミュージアムショップでグッズも販売されており、
岐阜県美術館の顔になっているようです。
可愛くデザインされ直しているグッズもあります。
何でもゆるキャラ化する日本、ルドンも思いもよらない変化で
びっくりしていることだと思います(笑)。
ちなみにこの「蜘蛛」の展示はありませんでした。


チケットの半券はこれ。


ルドンの版画「ゴヤ頌」Ⅱの、人間の顔を持つ植物が使われています。
何とも不気味な半券です(笑)。
この作品も展示はありませんでした。

 

 

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展示は、日本の洋画、西洋画、ルドン、工芸、日本画、現代美術の

各ブースに分かれ、様々な作品が展示されていました。


日本の洋画は明治期の作品が中心。
浅井忠、藤島武二、青木繁らの作品が並んでいます。
岸田劉生の1914年の自画像が印象的。
そんな中、面白かったのが山本芳翠です。
明治期の洋画家で、浦島太郎を西洋ロマン派風に描いた

「浦島図」などが有名な方。
この日は3作品が展示されていましたが、「灯を持つ乙女」など、
バロック期の画家ラ・トゥールのような光の描写が面白く、
西洋美術を模索しながら受容する様子が興味深いです。
「浦島図」も岐阜県美術館所蔵とのことですが、

この日は展示はありませんでした。


西洋絵画は19世紀後半から20世紀前半の作品が中心。
モローの初期作品「ピエタ」は、後の世紀末的幻想性よりも
ロマン主義の影響が強い作品。
ドニの「なでしこを持つ赤い女」は色彩が綺麗です。
エコール・ド・パリの作家、スーティン、パスキン、キスリングの

3作品が並んでいます。
面白いのがキスリングの「花」。
キスリングは肖像画が有名な方で、静物画は初めての鑑賞かもしれません。
花瓶に生けられたた花はすごいボリュームで

(どうやって花瓶に生けられているのか 笑)、
身体のボリュームを際立たせるキスリングの肖像画の描き方に

共通するものを感じます。
晩年のピカソやブラックの作品もあります。


続いてはルドンの特集展示。
例の怪奇的な版画作品を鑑賞したかったのですが、
この日の版画の展示は肖像画のみでした。残念。
その代り、カラフルな油彩画がたくさん展示されており、
「アポロンの戦車」「眼をとじて」などの有名な作品が鑑賞できました。
花を描いた作品も素敵ですね。


日本画は動物を描いた作品の特集展示となっていました。
昭和期の作品が中心で、自分が知らない画家ばかりでした。
大橋翠石の「虎図」、虎は西洋画のように描かれていますが、
金屏風に描かれる配置とバランスは日本画のもの。
篠田栢邦の「晩秋小景」も、一部は西洋的な遠近法でありながら、
細部は日本画的にも見え、折衷具合が面白いです。
昭和期以降の日本画についてはあまり詳しくないので
いろいろと調べてみたくなってきました。
その他、池田虹影の「家鴨」など、可愛らしくていいですね。


最後は現代美術の作家さんの作品が並ぶスペース。
三尾公三が最も面白く、青を主体とした画面の中に、
マグリット風のデペイズマンと、後期ダリ風の幾何学的構成と
現代的な写実的描写が入り混じる、面白い画面になっています。
そして宮島達男のインスタレーション「opposite circles」。
かつて大阪のサントリーミュージアムで鑑賞した「MEGA DEATH」
(夥しい数の数字LEDが表示される)を思い出させる作品で、
この作品も円形に表示された赤と緑のLEDの数字が
一定の周期でカウントアップされています。
数字をぼんやりと眺めながら、数字が指し示す表象は何なのかと
あれこれ想像したりしていると、どんどん時間が経って行ってしまいます。
まさに時のカウントアップ。


今回の所蔵品展示は「ナンヤローネNo.0」と題された試みも

合わせて実施されていました。
各ブースの中にいくつかの小物が置かれており、
指定された5つの展示作品から得た印象をその小物の中から選定、
最後に自分が選んだ5つの小物と展覧会の印象を絵にし、

展示するという企画です。
この企画に取り組んでおられる方もたくさんおられ、
皆さんの絵を鑑賞するのも楽しかったです。

 

 

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恒例の屋外彫刻撮影シリーズ

 

 

 

 

こちらは後期ルノワールの彫刻作品です。

 

これは何だろう?

天野裕夫の「バオバブ・ライオン」という作品。

耳やら足やらが一体化し、屋外彫刻の中でも異彩を放っています。

 

頭の上(?)には悪魔のようなものたちが。

 

カラス発見。

食事中のようです。葉に隠れて口を動かしています。

 

 

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夕方、岐阜県美術館を後にし、岐阜駅前でレンタカーを返却。
この日は温泉付きのビジネスホテルに宿泊、

夕食は飛騨牛のすじ煮込み料理を頂き
温泉に浸かってのんびりと夜を過ごしました。
温泉の効果か、翌日は肌がつるつるになりました。
ちょうどお花見シーズンとゴールデンウィークの中間、
のんびりと旅行するならこれくらいの時期がちょうどいいですね。

 

 

・おまけ


岐阜羽島駅前の表示。

円空さんのゆかりの地でもあるようですね。