中南米の絵画 | れぽれろのブログ

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美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

美術というとやはりすぐに思い出すのは西洋美術、あるいは日本美術です。
それ以外の地域の美術作品というのは、少なくとも日本では
結構疎遠だったりします。
調べようと思っても、なかなか適当な本がなかったりします。
最近の現代美術の展覧会では、東アジアや東南アジアの作家さんの
現代美術作品が展示されることも時々ありますが、
それ以外の地域となると、なかなか展示も少ないです。

そんな中、意外と面白い絵画作品があるのが中南米、
ラテンアメリカの作家さんたちです。
ということで、自分が知っている方々の中から、
面白いと思う中南米の作家さんを何人か挙げてみることにします。



・フリーダ・カーロ

折れた背骨

メキシコの女性画家です。
中南米の画家の中で、最も有名な画家はこの方なのではないかと思います。
カーロは自分自身の姿に似た女性の肖像をたくさん残しています。
これは「折れた背骨」という作品。
彼女は事故で背骨のけがを負い、後々まで痛みに苦しんだそうです。
金属的な脊椎が露出し、体に釘が刺さっています。
何とも痛々しい感じ・・・こんなに「痛み」を感じさせる絵もなかなかありません。
なお、彼女の夫のディエゴ・リベラもまた画家だったりします。


・レメディオス・バロ

この方もメキシコの女性画家です。
シュルレアリスムにカテゴライズされる画家(だと思います)。
この方の生まれはスペインですが、後にメキシコに移住し、
メキシコで活躍しました。
このぐるぐる巻きの謎めいた建築物の絵は、
同じく中南米のコロンビアの作家、ガルシア=マルケスの「百年の孤独」という
小説の表紙に使用されている絵として、有名です。
(ちなみに、自分の持っている「百年の孤独」は、青と白の古い装丁です・・・。)

バロはこれ以外にも面白い作品をたくさん製作しています。
以前にも作品を少し並べたことがあるので、参考リンクを貼っておきます。



・レオノール・フィニ

イリヤの骨

続いてはアルゼンチンの画家。
この方も女性のシュルレアリスム系の作家さんです。
フィニも幻想的で魔術的な作品をたくさん描いています。
独特の姿態(とくに下半身)を持った作品が有名だと思いますが、
骨が登場する作品もなぜかたくさん描いています。
これは「イリヤの骨」という作品。
何だか不思議な形状の植物とセットで、画面上にでーんと骨が描かれています。
自分は結構この骨が好きだったりします。
(彼女は渡欧した後で活躍するので、厳密には南米の作家とは
言えないかもしれませんが・・・。)


・ホセ・クレメンテ・オロスコ

ケツァルクアトルの到来

南米と言って忘れてはいけないのが、20世紀前半のメキシコ壁画運動です。
上に登場した、ディエゴ・リベラも壁画画家。
これらの画家の壁画作品は、メキシコ革命を礼賛したような作品が多いですが、
オロスコの作品は、どちらかというと文明に対して批判的な雰囲気が強く
この作品「ケツァルコアトルの到来」も、ヨーロッパ人の到来を
批判的にとらえたようにも見える作品となっています。


・ダビッド・アルファロ・シケイロス

悲劇のこだま

シケイロスもメキシコ壁画運動の画家の一人。
この「悲劇のこだま」という作品、一度見たら忘れられないくらい
インパクトのある作品です。
自分はシケイロスの作品はこの作品くらいしか知りませんが
なかなかに忘れがたい一作です。


・フェルナンド・ボテロ

ボテロ

痛々しい絵が多いですが・・・。
続いては明るい絵、コロンビアの画家・彫刻家であるボテロの作品です。
彼が製作する作品は、どの人物もコロコロと太って
可愛らしい容姿になっています。
この絵も幸せそうなカップルで、良い感じですね。
ボテロは彫刻作品もたくさん残していますが、やはりコロコロと太った体型の
作品となっています。


・大岩オスカール

www.com

南米と言えば、日系移民の子孫が住んでいる土地でもあります。
大岩オスカールはブラジルの日系2世の画家。
自分は実はどのような作家さんなのかはあんまり詳しくないのですが、
この「www.com」という作品は2003年の作品で、
兵庫県立美術館に所蔵されており、妙に面白いので印象に残っています。
吊るされ運ばれているのは、真っ赤な色の国家たち。
お肉のような色の国土が運ばれている、どういう状況なんだろう・・・。
この作品が製作された2003年は、イラク戦争の年です。
国家というものがあれこれと議論され、見直されていた時期でもあります。
ひょっとしたら何か関係があるのかもしれません。



ということで、中南米の作家さんを並べてみました。
もし機会があれば、他の地域の作家さんも取り上げてみようかなと思っています。