肖像画の場合、通常は人物を正面から描きます。
たまに横顔の場合もありますが、普通は後ろ姿が描かれることは少ないです。
しかし、人物を後ろから描いた絵画も探してみればいろいろと出てきます。
いくつかを並べてみます。
・窓辺の人物/ダリ
まずはシュルレアリスム画家、ダリの描いた後ろ姿から。
この作品は、19世紀の新古典主義の画家アングルに影響を受けた作品であると
言われており、とくにシュルレアリスム的な雰囲気はありません。
言われており、とくにシュルレアリスム的な雰囲気はありません。
しかし、古典的な描き方であっても、ダリが描くと不思議と身体表現の
面白さが際立ちます。
面白さが際立ちます。
この人物、モデルはダリの妹なのだそうです。
妹を描いた絵にしては、妙に艶めかしい雰囲気がするのは、
気のせいでしょうか・・・?
気のせいでしょうか・・・?
・雲海のうえの旅人/フリードリヒ
後ろ姿といえばこの人、19世紀中盤に活躍したドイツロマン派の画家、
フリードリヒです。
フリードリヒです。
フリードリヒは、大自然の中にぽつんと佇む人物、といった作品を
比較的たくさん描いています。
比較的たくさん描いています。
そして、描かれる人物はほぼ後ろ姿ばかり。
これもその中の一枚、雲海を見下ろす山上に佇む人物。
彼は何を想うのか・・・。
・クリスティーナの世界/ワイエス
アンドリュー・ワイエスは20世紀アメリカの画家。
北米の草原の中にぽつんと後ろ姿の人物・・・。
このモデルの女の子は足が悪く、立って歩くことができない方なのだそうです。
遠くに描かれた家、その方向に向かって動き出す・・・。
画家の視点、画面のバランス、女の子の佇まい・・・
個人的にすごく好きな絵です。
・画家のアトリエ/フェルメール
世界一有名な後ろ姿といえば、このフェルメールの作品の
背を向けた画家ではないでしょうか?
背を向けた画家ではないでしょうか?
この絵は画面構成、光の描写、色彩、布や金属の質感など、
見どころの多い絵ですね。
見どころの多い絵ですね。
この後ろ姿の絵描きは、フェルメール自身の姿であるとも言われています。
・ヴァルパンソンの浴女/アングル
続きましては裸体です。
フランス新古典主義の画家アングルは、裸体画をたくさん残しています。
先ほどのダリの作品に影響を与えた画家でもあります。
たくさんの裸体が犇めき合う「トルコ風呂」などの作品が有名ですね。
この作品も裸体画ですが、なぜか後ろ姿。
アングルはどういうわけか腰かけた後ろ姿のこのポーズが好きなようで、
同一のポーズの作品をいくつか残しているようです。
この裸体の感じ、腰回りの感じ(?)が、アングルの理想なのかもしれません。
・髪をくしけずる女/ドガ
髪を梳っている女性の後ろ姿。アングルと同様、裸体画です。
ドガは印象派のメンバーと共に活躍した画家ですが、
印象派手法を続けた画家ではありません。
印象派手法を続けた画家ではありません。
ドガにはいくつかの魅力がありますが、そのうちの一つは身体表現。
自分はドガの描く人物のポーズが何だかすごく好きです。
自分はドガの描く人物のポーズが何だかすごく好きです。
ドガもアングルの影響があるらしく、この作品も言われてみれば、
上記のアングルに雰囲気が似ている気もしてきます。
上記のアングルに雰囲気が似ている気もしてきます。
・巨人
最も巨大なバックショットといえばこの絵。
この「巨人」はずっとゴヤの作品と言われており、自分もずっとそう理解して
いたのですが、数年前にこの絵はゴヤの作品ではないということが
明らかになったそうです。
いたのですが、数年前にこの絵はゴヤの作品ではないということが
明らかになったそうです。
・・・今さら言われても困る(笑)。
逃げまどう(ように見える)人々と動物たち、その上空に巨大な巨人の影・・・。
巨人は災害や戦争などのアレゴリーなのでしょうか。
何だかカタストロフ的で、怖い絵ですね。
ということで、後ろ姿を7つほど並べてみました。
後ろ姿、なかなか魅力的な絵が多くて、面白いです。