骸骨の絵画 | れぽれろのブログ

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人は死ぬと骨になる。
ガイコツは死や虚無の象徴。
美術作品では、作品にシンボリックな意味を持たせるなどのために、
よく画面上に骸骨が登場したり髑髏が配置されたりします。
そんなガイコツ絵画を集めてみました。


・ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像/ベックリン

ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像

アルノルト・ベックリンは19世紀末の画家。
いわゆる象徴派の画家で、世紀末美術のカテゴリで登場します。
「死の島」なんて絵が有名ですね。
そんなベックリンさんの自画像には、
なぜかヴァイオリンを演奏中のガイコツが描かれています。
耳元で何かをささやいているようにも見えます。


・首吊り死体を奪い合う骸骨たち/アンソール

首吊り死体を奪い合う骸骨たち

ジェイムズ・アンソールは19世紀末~20世紀のベルギーの画家。
アンソールといえば、仮面と骸骨。
骸骨の登場する絵をたくさん描いている方です。
死の象徴たるガイコツが死体を奪い合う。
死体が死体を奪う・・・?
画面左右からは仮面の群れも部屋に侵入しようとしています。


・燻製にしんを奪い合う骸骨たち/アンソール

燻製にしんを巡る骸骨の戦い

同じくアンソールからもう一枚。
今度は魚のニシンを奪い合っています。
骨だけなのに食べ物を食べたいのでしょうか・・・。
ガイコツなら胃袋もないのに、食べたものはどうなるんだろ(笑)。


・頭蓋骨を持つ若者/ハルス

頭蓋骨を持つ若者

17世紀ごろ、西洋美術ではヴァニタスという画がよく描かれました。
ヴァニタスは静物画のジャンルのひとつで、画面上に髑髏を描き
人間の死や人生の儚さといった感情を寓意的に現わしたものです。
この絵は17世紀オランダの画家フランス・ハルスの作品。
ハルスは表情豊かな肖像画が有名ですが、
そんなハルスも、当時の潮流であったヴァニタス風に
髑髏を持った青年を描いた作品が残っています。


・死の勝利/ブリューゲル

死の勝利

ピーテル・ブリューゲルは16世紀ベルギーの画家で
いわゆる北方ルネサンスの画家。
斜め上から画面を俯瞰し、群衆が登場する絵をたくさん描きました。
これはその中の一枚。たくさんのガイコツが群れを成しています。
骸骨の集団は、ペストなどの疫病の寓意などと言われています。


・死と乙女/バルドゥング

死と乙女

やせ細ったガイコツ男が白肌の裸の女の子にキスを迫る。
ハンス・バルドゥング・グリーンは16世紀ドイツの画家。
そんなに有名な画家ではない(と思う)ですが、
この死と乙女の絵は結構インパクトがあって好きです。
女の子のものすごく嫌そうな表情が、なんともいえず好きです(笑)。


・相馬の古内裏/歌川国芳

相馬の古内裏

画面いっぱいのガイコツ。
近世末期の浮世絵師、歌川国芳の有名な絵です。
この絵、とにかく骸骨が巨大で、インパクトがありますね。
近世日本画ならではの大胆な構図。


・波上白骨座禅図/円山応挙

波上白骨座禅図

座禅を組む骸骨。何やら不思議な絵です。
さらにこの骸骨、波の上に座っています。
18世紀京都の絵師、円山応挙の作品です。
デフォルメの要素が強い日本画の中で、
応挙は比較的写実の要素の強い絵が多いですが、
そんな応挙も、このような不可思議な作品も残しています。


骸骨が登場するような絵はまだまだたくさんありますが、とりあえずこの辺で。
ガイコツのイメージは死、基本的には恐怖や虚無の表象ですが、
瞳のない目や、唇がないので笑っているように見える口元など、
なんとなくユーモラスな雰囲気を与えてしまうのもガイコツさんの特徴。
いろんなイメージを掻き立てられるので、ガイコツ絵画は面白いです。