いつまでも迷子であり続ける人のための手帳です。これ一冊あれば、貴方もきっと迷子になれる。
「いつもインコを肩にのせている神秘的な少年」になろう、と考えたのだ。ぎゃー。何なんだ、それ。よせ。やめろ。でも、夢見る私はもう止まらない。ピーコちゃんを肩にのせて、おそるおそる玄関のドアを開けてみた。(本書より)
「北海道新聞」好評連載ほか、人気歌人の最新エッセイ全57篇。
変な人だなぁと思いつつも共感できることが多いです。
そして、これに共感している私も変な人なのだろうかと少し不安になったりして。
インコを肩にのせるのがなぜ神秘的なのかはわからないけど、「なんかちょっと違う自分」を演出したい願望はわかる気がするんです。
この本でいちばん印象に残ったのは、じゃんけんの掛け声の件。
子どもの頃、転校が多かった穂村さんは転校先の学校でみんなが
「ジス·コッ·ピッ!」と言う中で1人だけ
「ジッ·ケン·エス!」と叫んでしまい凍りついた、とありました。
え、それ、どこからどこへ転校したの?
ページを繰っても答えはどこにもなく、気になってネットで調べてしまいました。
そしたら出るわ出るわ。
各地の独自なじゃんけんのかけ声。
その種類の豊富さにびっくりです。
ちなみに千葉県は「ちっけったっ」と書かれていたけど、チーバくんのお口のあたりでは聞いたことがないです。
じゃんけんぽん、って言ってます。
そして肝心の「ジスコッピッ」と「ジッケンエス」は、どこにも見当たりませんでした。
いったいどこの方言なんだろう…
このエッセイにはいくつか短歌も掲載されていて、やっぱり言葉のチョイスが秀逸で、短歌って面白いなあと思わせてくれます。
穂村さんはもう立派に現代短歌の第一人者としての地位を確立しているんだから、そろそろもっと自分に自信を持ってもいいと思うんですけどね。
でも自信たっぷりな穂村さんには私は共感できないんだろうなあ。
ずっと世界音痴で人生迷子の穂村さんであり続けて欲しいです。