2巻の「マレー鉄道」では、昭南市(シンガポール)へ向かう汽車の中で、角松二佐が車内が暑いと不満を言いますが、草加少佐は「一等車はまだマシだ。スシ詰めの三等車に乗ってみるか?」とたしなめます。
ところがアニメの方では一等車から、「二等車はまだマシだ。」に変わっています。不思議に思って調べてみると、海軍兵学校のテキスト「礼法集成」(海軍士官のためのマナー心得)に以下のように記されていました。
チ 陸上における心得
三、海軍将校の対面を重んずるため、汽車は、二等以上に乗車するを例とす。
通常一等車は、将官クラスの軍人や政府要人が利用しており、二等車はそれ以下の士官が利用することになっていました。それで列車の等級は、一等車(コミックでの設定) → 二等車(アニメでの設定)へと変更になったのでしょう。
このように将校は、乗車すべき列車のクラスが定められているので、三等車に乗るのは不適切な行為となります。
アニメで角松二佐が「将校が三等車なんかにバナナを買いに行ったら、奇異の目で見られるだろう」と草加少佐を非難していたのも、この規定があったからなんですね
ただ中には家庭持ちで家計の苦しい将校もいて、その場合は節約のため背広を着て、こっそりと三等車に乗っていたという話もあります。