こんにちは。
『0円引越』プロデューサーの合田英樹です。
【激動の1ヶ月編】23 あの引越会社が倒産に至るまで
★タイムリミットを向かえて破産に至るまで⑩
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こうなったら次の手段です。
なんと言っても、私は後に破産管財人室の責任者になることを約束していましたから。
前もって管財人(裁判所にて選任された弁護士)に、
「先生!ちょっと相談に乗って欲しいことがあるのですが…」
と、前振りだけしておきました。
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大阪本社での最後の説明会が終わったのは、翌日の午前0時を回っていました。
そうです。破産宣告当日になっていたのです。
しかし説明会に参加した者は全員最後まで残ってくれました。
何か煮え切らない、腑に落ちない顔で会社を出ていく者、
「お世話になりました。」と言って声を掛けてくれる者。
ほとんどのスタッフが、明日の仕事を残しての倒産だったのです。
今この時、同じ空気を吸っていた全員が、
翌日以降は再び顔を合わせる事も無くなるのです。
そんな思いを抱いた大勢の人達を目の前にすると、
感覚が麻痺してくるんですね!
悲しいとか悔しいとか…そんな感情は一切出て来ませんでした。
ただ一つ、怒りの感情が大きかった事だけは記憶しています。
会社が倒産するということは、
会社にも仕事にも人間関係にも…
全てに心を残しながらも、有無を言わさずある日突然に終わっていくのです。
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私は最後に○○社長の席に行き少し話しをしました。
「遅くまでお疲れさまでした。大丈夫ですか?」
もう社長ではありません。
これ以上は私が彼に強く出る必要もありませんでした。
○○社長は私に、
「お疲れさん。」
そしてこう聞きました。
「さっきの件、この後どうするつもりなんだ?」
私はしばらく考えて言葉を選んで伝えました。
「どう考えても納得いきません。」
「私の立場は関西の従業員と取引先の業者さんに精一杯のことをするだけです。」
「どんなことをしてでも、あの現金は返してもらいます。」
社長は悲しそうな目をして私に言いました。
「関東にも西日本にも、生活を抱えた従業員が大勢居るんだぞ。」
私は、
「それは関西にも名古屋にも言える事です。取引先の業者の方々にも言える事です。」
「社長が関東、専務が西日本だけを見て今回の処理をされた様に、
私は関西の従業員や取引先の業者さんを見て、これからの処理を進めます。」
「俗に言う、親亀コケたら子亀も…ってやつですね。」
「わかった…」
社長はそう言うと、最後に一言だけ私に伝えて来ました。
「オレは明日から当分の間、行方不明になるから。」
私が○○社長と最後に交わした言葉です。
「どうぞご自由に。もうあなたの事を追い掛けるつもりもありませんから。」
この時点で、私の中の踏ん切りがつきました。
私の中で、○○引越センターが終わりを迎えた瞬間でした。
最後まで職務を全うし、出来る限りの対応をしてくださったのは○○社長でした。
従業員の前に出て最後の最後まで逃げることなく…
まじめな○○社長の態度は最後まで変わりませんでした。
少し前に体調を崩されたと聞きました。
どこでどうされているかはわかりませんが、元気に過ごされている事を祈っています。
それに引き換え…
破産の前々日から姿を見せなかったナンバー2の専務。
って…これはもういいですね(笑)
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今回はここまでです。
次回からは破産宣告とその後を書こうと思っています。
管財人室での実務、解雇された従業員の就職斡旋とその通知。
実質8月~10月頭までの未払い賃金をどうするか?
読んでくださってありがとうございました。