こんにちは。
『0円引越』プロデューサーの合田英樹です。
【激動の1ヶ月編】22 あの引越会社が倒産に至るまで
★タイムリミットを向かえて破産に至るまで⑨
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「確かに今の会社には現金がありません。」
参加者に言った後、○○社長に こう告げました。
「各地方の支払いを本社で一括でしているなら、
何故その地方からの売上入金が止まってるんですか?」
「東京の法人部で管理している売掛金が、何故この数カ月止まってるんですか?」
「これって意図的に東京や中四国、九州に現金をプールしていますよね?」
「東京、中四国、九州は普段通りに給料が支払われていますね!」
○○社長は何も答えられませんでした。
しかし、説明会に出席していた者は全てを悟ったと思います。
関西、名古屋、そして取引先の業者の方を捨てても、
そのほかの地方を存続させようとしていたことを。
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私「おい! この金返せよ!」
社長「???」
私「元々が本社に送金するべきお金でしょ?この金返せよ!」
社長「今日は日曜日だから今すぐは無理です。」
私「だったら指示を出せよ!各支社に指示を出して送金させろよ!」
社長「・・・」
私「各支社が自主的に送金するなら、この件は管財人に黙っとくけど…どうする?」
社長「明日の朝、各支社に指示をします。」
私「おい!勘違いするなよ。あなたは明日の破産宣告を受けた後、社長ではなくなるんですよ。」
「社長でもない奴の指示に従うと思うのか?」
社長「それは何とも…」
私「だったら今すぐ、社長として各支社に指示を出せよ!」
そう言われると社長は携帯電話で各支社長に電話を入れ始めました。
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しかし当然のことながら、どこの支社長も電話には出ません。
当たり前と言えば当たり前です。
各支社ともに、この○○社長を見捨てていたことは、火を見るより明らかです。
最後の資金留保をこの社長の判断でさせておいて、
計画通りに事が運んだ時はこの社長を切り捨てる計画だったのでしょう。
この○○社長、とても人が良い人物でした。
甘言に弱く苦言を遠ざけ…そう言う取り巻き連中に囲まれていたのです。
そんな取り巻き連中(連中と言っても1人だけでしょうけど…)が進言した、
関東、中四国、九州が生き延びる方法に乗ったのでしょう。
しかし事情をよく知る首謀者は、事が終われば必ず切られるのです!
そういった意味で今回は、○○社長を操っていた人物を後ろに見ながらの攻防でした。
奴ならこの手段に出てくるだろう、と、考えながらの交渉でした。
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社長「だれも電話にはでません。」
私「だったら個人保証させてやろうか?今すぐ書類を作るから、このお金を個人で保証してみるか?」
社長「・・・」
当時の私は、戻ったお金をどうするとか、どこに入金させるとかなんて考えていませんでした。
【この現金が戻れば、従業員への未払い給与債権や、
取引先の再生債権の還元額が若干でも増えるかも】
この思いが強かったのです。
そしてもう一つ何度も言いますが、
この現金、元々は各支社に留め置かれるべき現金では無かったのです。
私「無理だとは思うけど、明日の朝一番に指示を出して下さい。」
社長「わかりました。」
私「これでお金が戻らなかったら…それなりの方法で回収しますから、
そのつもりで居る様に各支社に伝えて下さい。」
しかし結果的に言うと、翌日の回収は不可能でした。
この時、裁判所が破産宣告日を当初予定の火曜日から月曜日に変更した理由がわかりました。
「余計なお金の動きを防ぐため」という説明でした。
こうなったら次の手段です。
なんと言っても、私は後に破産管財人室の責任者になることを約束していましたから。
前もって管財人(裁判所にて選任された弁護士)に、
「先生!ちょっと相談に乗って欲しいことがあるのですが…」
と、前振りだけしておきました。
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今回はここまでです。
読んでくださってありがとうございました。