四柱推命でいう「空亡」に、前後の1年を加算したものが、いわゆる「大殺界」である。
というのが前記事の主旨です。
そして、空亡というのは60個の干支を作っていく過程で、常に余っていく二個の支のことを指す。
たとえば甲子から癸酉に至る10個のグループでは、戌亥が余る。
この余った戌亥が、空亡であり、これを空亡とする10個の干支のグループのことを、六星占星術では土星人と呼ぶ。
よく分からない人は、前記事を読んで下さい。
できるだけ分かりやすく書いているつもりです。
さて、この空亡を導き出すのは、生まれた日です。
その日の干支が何かということが問題です。たとえば私は「壬辰」の、午未が空亡に当たる生日です。
六星占星術では火星人に当たります。
火星人は、甲申、乙酉、丙戌、丁亥、戊子、己丑、庚寅、辛卯、壬辰、癸巳のグループです。
前記事で申し上げたように、この10個の生日グループは、午未というウイルスに免疫がない人達です。
ですから、午未が巡ってきたときに、インフルエンザ(=さまざまな運気的障害)にかかりやすいわけです。
じつは六星占星術にも大きな功績があって、このグループ分けされた6種類の人達の性格とか傾向とか、現代的な表現での研究を行っていると思われるのです。
ここがまったく当たらなかったなら、六星占星術は市民権を得なかったと思われます。
その意味では、これは四柱推命学をベースとした独創的な占術とも言えます。
しかし、いかに言っても、あくまでも6種類です。
血液型は4種類。それに二つ増えただけです。
私がよくいっているように、12星座占いは太陽が入っている星座のことだけで、他の星の配置は考慮の外にある。12分の1になっているだけ。
これでは不十分になるのは当然。
12星座でも不十分なのに、6ではさらに不十分です。
六星占星術の世界では、人間を6種類に類別します(プラス・マイナスを考慮しても12種類)。
そして6種類のうちの、ある星人は等しく大殺界が同時期に巡ってくるわけです。
よく考えてみて下さい。
たとえば今年は丑年ですが、これは水星人の大殺界に当たります。
つまり、地球上に存在している全人類の6分の1(水星人)が、この大殺界に当たっていて、何か事を起こせば悪い結果になる運気なわけです。
このようなことがあり得るでしょうか?
たとえば学校で、同じクラスにいる6人に1人が大殺界で、彼らはみんな今年運気が悪いのです。
受験に落ちるかも知れません。
が。
大殺界でも普通に合格します。
結婚しても幸せになる人がいます。
事業で成功する人がいます。
これは人類を6分の1に分けるというやり方が、そもそもおおざっぱだからです。
すべて当たるはずがない。
では、空亡理論の大本になった四柱推命では、これはどのように扱われているのでしょうか?
じつは、六星占星術とはまったく異なる厳しい判定基準があるのです。
①陽の干支の生まれの人は、陽の十二支の空亡を「真空」と呼び、凶害が大きいと考える。陰の干支の人は、陰の十二支の空亡を「真空」とする。逆に陽の人が陰年の空亡に当たっているときは「半空」といい、効力が半分と見る(壬辰の私は陽。空亡は午未ですが、真空は同じ陽の午で、未は半分の効力しかない)。
②空亡に当たる十二支が、生日の十二支と合、冲、害、破、刑などに当たっている場合、解空と見なす(空亡が解ける。完全ではない場合もあるが、成立すればあまり憂慮する必要はない)。たとえば、午に対して合になるのは未、冲は子、害は丑、破は卯といった法則上の決まり事がある。ほかにも三合なども有効)。
③その命式(四柱推命では、その人の四柱推命表をこう呼ぶ。西洋占星術でいうホロスコープ・チャートみたいなもの)にとって、凶星が巡ってくるとき、空亡と重なっていることを喜ぶ(つまり凶星の作用が無効化されるため)。
④命式の中に、空亡の支がほかにあるとき、その支の空亡は生涯その人に作用しない(午未空亡の生まれで、たとえば生年が午、生月が未だったら、その人は生涯、どんな空亡の作用も受けない。つまり、これって免疫があるってことですよね)。
⑤特殊な格に入る命式の場合、生涯空亡を受けない(強旺格など)。
ほかにもありますが、主だったところでもこんなに条件が付いているのです。
私の場合、⑤のケースに該当していると思われ、生涯、空亡を受けません。つまり私には大殺界はない、のです。
しかし、そんな特殊な例でなくても、②のケースを午未空亡の人間に当てはめるとどうなでしょうか?
午未空亡の火星人グループは、以下の干支の生日の人達ですが、②の「合、冲、害、破、刑」などを午未との関係で洗い直してみると、
甲申 乙酉 丙戌 丁亥 戊子 己丑 庚寅 辛卯 壬辰 癸巳
赤字で表記したものは、すでに生日の中に空亡をある程度中和してしまう要素を持っているものです。
10個のうち、半分の5個です。
つまり火星人の中でも、半分の人はもともと大殺界の影響をあまり受けない人達なのです。少なくとも①の「真空」はほぼ解けています。
ほかにも大運との関連で空亡が解けてしまう場合もあります。
また③のケースなど、空亡の凶作用をもってほかの凶を消すということに着眼しており(毒をもって毒を制す)、四柱推命学がいかに高度に完成されている占術であるかの証明です。
数多くの類例の観測なくして、このような理論は完成され得ないはずです。
②の部分に着目してみただけでも、空亡をもろに受ける人は半減してしまうのに、①③④⑤などの項目をさらに加えて考慮したら、さらに減少することは間違いありません。
ということは?
空亡(大殺界)をもろに食らってしまう人というのは、じつは少数派なのです。
空亡が解けている状態では、大殺界に当たっていても「良い運気」になっていることがあります。
では、なぜ、これほど「当たった」と騒がれるのか。
もちろん現実に空亡が作用して、悪いことを経験する人がいる。これが第一にあります。
しかし、空亡というのは四柱推命という大きな理論のごく一部に過ぎません。
空亡に当たっている年、その空亡が解けていたとしても、他の要因で悪い運勢になっていることはあります。
たとえば前述の③のケースです。凶星は空亡と同宿してくれれば、凶が消されますが、なまじこの空亡が解かれてしまうと、その凶星の力が復活します。
そういった運気にあった人は「ああ、大殺界だ」と錯覚します。
このケースが結構多いのです。
またもともと空亡を受けないような人でも、人生の中のどこかの大殺界ポイントで、たまたま別な要因で運気が悪いことはあります。
こうした事例が積み上がってくれば、「大殺界を受けた」かのように思える人が、かなりの数に上ることになります。
大殺界は12年の内の3年間に設定されています。
ここに落とし穴があって、要するに人生の内の4分の1の期間なのです。
このどこかに「悪いことが起きる確率」は、かなりあります。長い人生の中で見たら、誰でも一度や二度はそういうことがある、とは皆さん、お思いになりませんか?
とまあ、このようなところで、ビリーブさん、納得頂けましたか?
ちゃいちゃいさん、さらにぐっどじょぶになったでしょうか?
terumoさん、タロットはふかーいですよぉ。

四柱推命学は非常に高度な占術です。
その精妙さ、理論的な骨組みの強固さは、西洋占星術に匹敵します。
だから1人の人間をこの二つの占いで占えば、ちゃんとした占術家なら、だいたい同じ結論に達します。
そうでなければおかしいのです。その人は1人なのですから。
空亡がどうのこうの、大殺界がどうのこうの言うよりも、やはり本家のちゃんとした人に解読してもらう方がいいと思います。
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注・私は四柱推命は補足的に使用しているだけで、「本家」にはほど遠いです。