ストレンジ・トイズ(河出書房新社):パトリシア・ギアリー | 夜の旅と朝の夢

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ストレンジ・トイズ (ストレンジ・フィクション)/河出書房新社

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今回は、河出書房新社から出版されているシリーズ「ストレンジ・フィクション」から、『ストレンジ・トイズ』を紹介します。前回から少し間が空いてしまいましたが、今回で本シリーズの既刊本は全て紹介したことになります。

作者のギアリー(1951-)はアメリカの女流作家。調べた感じでは、本書以外に邦訳はなさそうです。

本書は3部構成の長編小説。全てペットという女性が「わたし」という語り手となる一人称小説のスタイルをとっていますが、それぞれ年齢が違います。

第一部では、ペットは9歳。両親と、二人の姉ディーンとジューンがいます。しかし、ディーンは、いわゆる不良少女で、何かと問題を起こしています。今度も何かをやらかしたらしく、家にはいません。

ペットは、とある事情(というか妄想?)のため、ディーンの部屋に入り込み、ディーンが書いたと思われるノートを発見します。そのノートにはこんな言葉が書かれています。

「危険! ページをめくるなら、その代償を支払う覚悟をせよ!(P29)」
しかし、ペットはページをめくってしまいます。

「最終警告! この書を盗む者、また資格なくして読む者は呪われる!(P29)」
「古代の魔法と秘密―世に知られざること(P29)」

まあ、取るに足らないノートですが、ペットは本当に家族に呪いがかかったと思い込んでしまいます。そんな中、ディーンの仕出かしたことで家族に危険が及ぶこととなり、一家は自動車で旅に出ることに。

旅の途中でペットはディーンの呪いと関連する夢とも現実ともつかない奇妙な体験をして・・・

第一部のラストで大変な出来事が起こります。そして、第二部と第三部は、それぞれ、ペットが16歳と29歳、その大変な出来事の清算の話になります。

全体としては、現実と幻想の中間辺りを漂うダーク・スピリチャル的な物語って感じですかね。

あと、決してつまらなくはないんですけど、少し奇想に走り過ぎている感じを受けますね。まあ、逆に言えば、奇想好きには納得の物語とも言えますけどね。好みと合いそうでしたら、読んでみてはどうでしょうか。

今まで読んだ『ストレンジ・フィクション』
1. ドクター・ラット
2.エステルハージ博士の事件簿