今回紹介する本は、赤城毅/「書物狩人」シリーズのミステリー。
莫大な対価を払ってコレクターが収集する稀覯本をあらゆる手段を使って手に入れる「書物狩人」の話。
本や歴史に関する蘊蓄がたくさん出てきて楽しめます。
書物狩人 (講談社文庫)/講談社
¥679
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稀覯本の謎を繙く極上の書物ミステリー。ナポレオンの旧蔵書、バチカンが探すギリシア語写本――世界を揺るがす秘密をはらんだ本を、合法・非合法を問わず入手する「書物狩人」。書誌愛好家必読の1冊! どんな本でも依頼があれば手に入れる『書物狩人(ル・シャスール)』 依頼人も凄ければ、その金額も半端なく、価値のある本って必要な人にとってはどんな事をしても手に入れたいと思う程のモノになるんですね。 彼の活躍がきらめきます。 古書探偵というべきなのか、なんなのか・・・一言で言うと「カッコいい」探偵(笑)。本好きなら読みたくなるタイトルです。でも本についてというより稀少な古書を巡って、歴史や政治の謎に迫る感じ。もっと近代史や世界史に強ければより楽しめたのに、知識が足りないのは一重に私の勉強不足のせいです。 ストーリーは、そうだったのね、と意表を突かれる場面もあり。でも、銀髪ってやっぱりちょっとカッコつけすぎ!(笑)
書物迷宮 (講談社文庫)/講談社
¥価格不明
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世に出れば歴史の真相を覆しかねない本を、合法非合法を問わずあらゆる手段で入手するプロフェッショナル、“書物狩人(ル・シャスール)”。スペイン内戦末期に出版された、ロルカの幻の詩集獲得のためグラナダ地方を訪れたル・シャスールは、依頼人である老婦人を前に、この本に隠された驚くべき秘密を語り出す。シリーズ第二弾! 解らない事はル・シャスールが説明してくれるので知らない世界史の出来事でもすんなり読む事ができます。ル・シャスールがどんどん慇懃無礼になっていきますね(笑)。しかし押さえる所はキッチリしていて格好良いです。美学で行動する所も。ヒマワリ畑を眺めながらカンテ・ホンドを聴いてみたいし、コチェーツィヤのピンチをル・シャスールが救う、みたいなお話を読んでみたいなぁ。世界史と書物に関する知識が増えて一石二鳥! 価値ある書物の力はやはり凄い。そんな書物を手にいれる書物狩人の恐るべき手腕。スカッとする話もあれば、じんとくる温かい話もあり、今回も読みごたえ抜群であった。
書物法廷 (講談社文庫)/講談社
¥価格不明
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世界の米海軍基地を標的にした同時多発テロを未然に防ぎ、冷戦時代に行方不明となった水爆のありかを示す。一冊の書物が持つ恐るべき力を知り尽くし、いかなる困難な依頼をも達成してきた書物狩人ユーイチ・ナカライ。だが、無敵を誇るル・シャスールの前に、ついに強大な宿敵が現れる。シリーズ第3弾! ル・シャスール(書物狩人)こと准教授ナカライ・ユーイチ。4つのエピソードを収録している。第一話「クイナのいない浜辺」では、テロリストの依頼で爆発物を製造するプロフェッサーと異名を取る男にル・シャスールは接近する。ル・シャスールの依頼主は米軍。プロフェッサーと交渉して海軍の主要根拠地に仕掛けられた爆発物を解除するのが目的だ。実直な男が突然テロリストに協力することになった原因を突き止めて、ル・シャスールは交渉に臨む。第四話では、ル・シャスールの敵役ミスター・クラウン(道化師)が登場する。ミスター・クラウンの登場により、ますます面白い展開となってきました。失敗しない書物狩人、ル・シャスール。なんでもお見通しって感じで、読んでいても安心感があります。ネオ・ナチなんて、現代にもいるのでしょうかね…。
書物幻戯 (講談社ノベルス)/講談社
¥864
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世にでれば、国を、政治を、歴史を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて入手する、書物狩人。ある夏、ストックホルムで書物狩人の仲間が殺害された。その人物が死の直前に流した「破壊」の書物。依頼を受けて、本の内容と行方を探る書物狩人に宿敵、書物偽造師が立ちはだかる!壮大なスケールで描かれる未曾有の事件の真相とは?書物狩人(ル・シャスール)vs.書物偽造師(ミスター・クラウン)。アルカイダに渡った謎の書物が「報復テロ」を引き起こす!読み応え120%! 「書物」シリーズ第4弾、初の長篇。物語そのものは作家の私が軽井沢で出会った半井優一准教授から語られるという設定の、いわゆるスパイ小説である。 そう内容は濃くないですが、充実した内容です。序章と終章が好きですね♪ミスタークラウンとの対決。今後父親との問題とか解明されていくんでしょうね。とにかく主人公のル・シャスールが凄すぎです。こんなに上手くいくのか、超人的だと感じました。段々とタイムリーな話題になってきてニュースにも出てくる名前が幾つか出てきました。雑学部分が少なかったので、読みやすかったです。
書物輪舞 (講談社ノベルス)/講談社
¥950
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世にでれば、国を、政治を、歴史を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて入手する、書物狩人(ル・シャスール)。防衛省から消えた旧ソ連にまつわる機密本。チャウシェスクによる言論統制下で書かれた小説と正誤表。切り裂きジャックの真犯人に繋がる『黒い光』。宿敵、書物偽造師(ミスター・クラウン)の企てに立ち向かいつつ書物狩人が、稀覯本に隠された物語を解き明かす!古書が秘す不可思議を時を超えて明察せよ!機密本、魔法書、正誤表……。書物狩人が謎を追う!「書物」シリーズ第5弾!物語は4話から成っている。第1話は、防衛庁第六文書庫から消失した本にまつわるもの。第2話は或る男が万引きした本がマッカーサーの作戦にヒントを与えたものであったことから、男は危ない体験をする。第3話では、或る本の完全版を探すよう依頼を受けたル・シャスールが、隠されたダイヤを巡る争奪戦に巻き込まれる。第4話はジャック・ザ・リッパーにまつわる書物を巡る物語。作品のストーリー自体も面白いが、歴史の勉強もしたような気分になれる本なので、ちょっとお得な気分。作者は各国で公開されている歴史的文書も現地で読んだりしているようなので、裏付けを取って書いているんだろうなと思う。どこまでが歴史の事実で、どこからが作者の創作なのか調べてみるのも面白い。ジャックの正体について新説(?)を呈示している。物語をより盛り上げる意味でル・シャスールが絶対安全で危機に陥らないことがちょっと不満かな…。
書物審問 (講談社ノベルス)/講談社
¥886
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蜜閉された「書物城」で稀覯本が“殺されて”いく……「書物」シリーズ第6作目で2度目の長編!世に出れば、国を、政治を、歴史を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて入手する、書物狩人。スコットランドの渓谷に囲まれた「書物城」に、ル・シャスールを始めとして、指揮者、実業家、将軍と呼ばれる4名の人物が招かれる。招いたのは城主のシャルケンだった。4名とも1冊ずつ秘蔵の本を持ってきており、順にシャルケンに見せることになっていた。ところが、一日目の夜が明けると、城の吊り橋が破壊され外部との交信がいっさい不可能になってしまう。さらに、「指揮者」の持参した書物が城の屋根の上から吊されるという事件が起きる。以後、次々と書物が処刑されていく。すべては「城主」の企てなのか?書物狩人が、城と稀覯本に秘められた謎に挑む!今までとはちょっと変わった「閉ざされた山荘」もの。今回はミステリテイストで主人公が犯人は誰か推理していきます。今回書物は旧ソ連の秘事とある天才数学者の悲劇が鍵となっています。事件解決後、仲間と別れを惜しむシーンは横溝正史の映画っぽくてなかなかよかったです。
書物奏鳴 (講談社ノベルス)/講談社
¥929
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裏面史がもたらす復讐劇に書物狩人(ル・シャスール)が立ちはだかる! 毒薬、銃撃etc.稀覯本がもたらす「壮大な仕掛け」満載!世に出れば、国を、政治を、歴史を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて入手する、書物狩人(ル・シャスール)。蝶にまつわる希少な図鑑を譲るにあたっての三つの条件。ド・ゴール暗殺を防いだ計略に触れた機密文書。
そして宿敵・書物偽造師(ミスター・クラウン)が仕組んだ奇想天外な罠――。書物狩人が、稀覯本に秘められた謎に挑む!「書物」シリーズ第6弾!今回はできの良い作品が多かったように思う。作者もマンネリに陥らないように工夫していることがわかる。第1話は蝶のコレクションにまつわる復讐物語。第2話はフランスを舞台にしてド・ゴール側のスパイだった男にシムノン『男の首』を届けるル・シャスールが、男を処刑しに来た男たちと闘う。第3話は語り手が妙齢の女性になっているおかげで趣がある。第4話「狩られた狩人」ではル・シャスールが危機に陥る。上質の短編集、めちゃ面白かった。書物を通して隠れた歴史の一端に触れていくスタイルがぞくぞくする 。 ル・シャスールのやさしいところや人と関わるシーンが印象的。面白かった。
書物紗幕 (講談社ノベルス)/講談社
¥864
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世に出れば、国を、政治を、歴史を揺るがしかねない秘密をはらんだ本を、合法非合法を問わず、あらゆる手段を用いて入手する、書物狩人(ル・シャスール)。長崎県五島列島の旧家に伝わる「呪いの書物」の鑑定のために招かれた書物狩人と書物偽造師(ミスター・クラウン)。 彼らが島に着いた深夜に、旧家の家族が殺害される。 書物に宿る祟りなのか?そして因縁の二人に最後の戦いが――。 「書物」シリーズ完結! 「この髪の銀にかけて、彼を破滅させる責務があるのです」。明かされる宿敵・書物偽造師(ミスター・クラウン)との因縁。そして書物狩人(ル・シャスール)の最期――!?その書物の内容はキリシタン版『ノストラダムス予言集』だった。その夜、キリシタンの旧家の人間が殺害され、それを皮切りに事件が続発する。 ついに書物狩人vs.書物贋造師、因縁の直接対決!のわりには、意外とこじんまりとした地味な展開になってしまった気が…微妙な読了感。ミスター・クラウンにしては、簡単に追い詰められてしまった感あり。舞台が日本の旧家だったせいか、火サス風に感じちゃった。予言書をめぐる殺人事件。全体的に緊迫した雰囲気で、食い入るように読みました。それにしてもル・シャスールの髪は、過去の出来事のショックで白髪になったのではなく、遺伝だったのか…。 またひょっこりルシャスールが現れてきそうなラスト。このエンディングはシャーロック・ホームズへのオマージュだと信じてる。