いま、書店や図書館、出版社など本にまつわる場所が舞台の小説が人気を博している。
出会い、運命、ドラマのそばにはいつも本がある。
なぜ、人は「本」のなかにも「本」にまつわる物語に惹かれ、また求めるのか?
なぜ、作家はそれを書くのだろうか・・・。
総合的書籍構成編集人・・・・Arika*
注目を集める古書ミステリー。
ポイントは「本」にまつわる薀蓄のみならず、人の手にとった形跡が残されること。
古書、図書館の蔵書があるところに必ず謎あり!
新旧、「本がある場所」を舞台にしたミステリー7冊
古本屋探偵の事件簿/東京創元社
¥価格不明
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稀少本を集めれば事件がやってくる!
神田の古書店通いが止められない人には身につまされる思いも。
神田の古書店「書肆・蔵書一代」主人須藤康平は、「何でも見つける」と自称する本の探偵。そこには様々な珍書、奇書探求の依頼が舞い込んでくる。自身も稀覯本の蒐集家として知られる著者が、本に対する執念や偏愛をつづったミステリー。紀田順一郎が1982年に第1弾を発表した古書の世界を舞台としたミステリである須藤康平もの4編を1冊にまとめたもの。神田神保町が古書街として活気があった頃の様子がうかがえ、出版業界の裏側を垣間見ると思って読んだほうが楽しめます。神田の古書店通いが止められない人には身につまされる思いも。それにしても、古本屋、印刷家、愛書家、蔵書家…怖い世界もあるもんです
せどり男爵数奇譚 (ちくま文庫)/梶山 季之
¥886
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『ビブリア古書堂の事件手帖』と併せて読みたい。
せどりとは古書業界の用語で、掘り出し物を探しては安く買ったその本を他の古書店に高く転売する人のことをいう。ある種の人間にとっては、本は魔物だ。これに魅入られたら、もう逃れようがない。せどり男爵と呼ばれる主人公が本にまつわる事件を解決していく。『ビブリア古書堂の事件手帖』にも、本書の主人公にちなんだ人物が登場する名古書ミステリー。1974年刊の再刊。
淋しい狩人 (新潮文庫)/宮部 みゆき
¥637
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本に刻まれた謎と人生に祖父と孫が迫る!
とある作家が「淋しい狩人」という未完の作品を残したまま失踪。その結末を書けるという人物が現れるが……。老店主のイワさんと孫の稔が切り盛りする東京下町の古書店が舞台。イワさんと稔が本にまつわる事件を解決していくブッキッシュミスタリーの連作短編集。名手が描く本にまつわる人間模様。短いストーリーの中にも意外な展開がちりばめてあり、とくに最後の「盛り上がり」から結末に向かう部分は他の長編作品に負けず劣らず楽しめました。視点の移り変わりが巧妙で、そこに、この世の中は様々な人がそれぞれの目線で生きている、なんて当たり前のことを改めて感じさせる、書き手の力量を感じる作品なので是非宮部ファンは一読を。
れんげ野原のまんなかで (創元推理文庫)/東京創元社
¥756
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図書館だからこそ出会う小さくて温かい謎!
新人司書の文子が配属されたのは、ススキ野原のど真ん中にある利用者もまばらな図書館。訪問者こそ少ないが、そこにやってくるのは奇妙な人ばかり。頼もしい先輩の助けを借りて謎に挑む文子だが・・・・・・。静かな図書館の魅力を伝える連作ミスタリー。図書館好きの読者に領ける部分が多いはず。
古書店アゼリアの死体 (光文社文庫)/光文社
¥700
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ロマンス小説専門店が舞台の笑える謎解き!
度重なる不幸から逃れ、海の見える町にやってきた真琴。そこでも、身元不明の死体を発見。散々な目に遭ったあと、偶然訪れたロマンス小説専門の古書店に採用されるものの、そこにもまた死体が・・・。冒頭の怒涛の展開、すっかり引き込まれて面白いです。『古書店の死体』といいながら、古書店の死体がなかなか出てこない(笑)。最後の最後まで「うっ、そうきたか」と。本当に上手いなぁ・・・。『ヴィラ・マグノリアの殺人』の続編(?)的な話ですが、これから読んでも、まったく問題がありません。 魅力的な登場人物とユーモア溢れる軽妙な会話が見所。金持ち道楽で古書店を経営という設定が羨ましい?
死の蔵書 (ハヤカワ・ミステリ文庫)/早川書房
¥1,080
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海外古書ミスタリーはスリリングでハード!
無価値な古本の山の中から、数百ドルの値打ちの本を探し出す”古本掘出し屋”が何者かに殺された。捜査にあたったのは古書に関しては博覧強記を誇る刑事。世界的なヒットを記録した古書ミスタリーでシリーズ化した。最新の文庫には「『ビブリア古書堂の事件手帖』の次に読んでほしい本」という帯が。
殺人を呼んだ本 (角川文庫)/角川書店
¥555
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NintendoDS
「赤川次郎ミステリー 夜想曲 本に招かれた殺人」の下地となった作品。
清々しい、本と幽霊の物語 !
林の中に人知れずひっそりと佇む私立野々宮図書館は、殺人現場にあった本や殺人犯の愛読書や首吊りの踏み台に使われた本など、事件に関係のあった本ばかり所蔵しており、館内には幽霊が出るとも言われている。そんなわけあり図書館に住み込みで勤めることになった松永記子は、案の定幽霊を目撃したばかりが、5年前の一家心中事件やアイドルのマンションで起きた殺人など、本にまつわる5つの事件に巻き込まれてゆく・・・・・。
赤川次郎ミステリー 夜想曲 ~本に招かれた殺人~/マーベラスエンターテイメント
¥4,104
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NintendoDSの「赤川次郎ミステリー 夜想曲 本に招かれた殺人」の下地となった作品。ゲームではホラーチックになっていますが、この作品を読む限りでは、赤川次郎氏特有の軽快な文体もあり、ホラーの要素が薄まり、ユーモラスで清々しさを残す作品となっています。それぞれの事件の真相のみならず、生者のふりをして登場人物に扮れ込んでいる幽霊の正体も意外性充分。犯罪をめぐる人間模様から、本に染みついた怨みや執着や愛情を浮かび上がらせてゆく幻想的な連作ミステリー。