「アサヒ 宵音(よいね)」は、2010年7月13日より全国のイオングループ各社で限定販売されている、麦芽100%のプレミアム・ビールです。
 販売数量も42,000箱(1箱は大びん633ml×20本で換算)と限定されており、無くなり次第販売終了となります。
・アサヒビール ニュースリリース『アサヒ 宵音(よいね)』数量限定で新発売 


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「アサヒ 宵音(よいね)」
 原材料は麦芽、ホップ。アルコール度数7%。
 350ml入りで¥198(税込)でした。この製品はメーカー側での価格設定はされておらず、販売するイオングループの各店舗での設定となるようです。
 私は地元清水のジャスコで購入しましたが、プレミアムビールで税込¥198は、バーゲン価格と言っていいでしょう。

 
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 色は、普段見慣れている日本のビールよりも濃いめの黄金色です。
 口に含んでまず感じたのは、明確な果実香とフルーティな風味です。酸味と甘味、それと共にピルスナーらしい苦みがあります。この苦みは、アフターに程良い感じで、しかし明確に残るタイプのものです。

 味を構成する各要素のバランスが良く、ボディはフルボディ寄りのミディアムボディです。
 特筆すべきは、そのフルーティな風味でしょう。一気に喉に流し込むのではなく、ワインのように口に含んで噛むようにして味わってみて下さい驚くほどのフルーティさが口中に広がります

 もし、ピルスナーとしての苦みの芯がなければ、ドイツのヴァイスビア/ヴァイツェンのような風味です。下面発酵のピルスナーが上面発酵のヴァイスビア/ヴァイツェンと見まごうような風味を持つというのも面白い話ですが、私の拙い舌には、そのように感じられたのです。

 味の要素のバランスの良さは、7%というアルコール分を感じさせません。フルボディ寄りのミディアムというボディのしっかり感は、ベルギーのトラピストビールで感じるような豊穣感に近いものがあります。
 つまり、原材料の麦芽でしっかりとした土台と明確な味の柱を構築することを主体とし、変なアルコール感で誤魔化そうとはしていないのです。質実剛健な味造りと言えます。

 拙ブログでは以前に、同じくアサヒのプレミアムビールである「アサヒ ザ・マスター」を取り上げました。
・やれば出来るじゃん:麦芽100%ビール「アサヒ・ザ・マスター」
 この時、「ザ・マスター」でもそのフルーティさを素晴らしいものと特記していますが、今回の「宵音」のフルーティさは、「ザ・マスター」を凌駕しています

 ビールでフルーティな風味と言えば、ベルギーのホワイトビールやドイツのヴァイスビア/ヴァイツェンという、小麦麦芽を用いた上面発酵エールの代名詞のようなものですが、大麦麦芽を用いた下面発酵ピルスナーの「宵音」のフルーティさは、それらに勝るとも劣らぬものだったのです。

 販売窓口がイオングループに限られ、数量も限定されている「宵音」ですが、だからこそ是非一度、販売終了する前に味わっていただきたいと思うのです。
 そしてその時は、喉ごしではなく味わいを楽しむように、口の中で噛みしめてみて下さい口中に広がるフルーティな風味に驚愕し、そして麦芽が構築するボディのしっかり感と味のバランスの良さに、うっとりと感心することでしょう


「宵音」の特徴は、

・喉ごしではなく、ワインのようにじっくり味わうタイプのビール
・良質な原材料によるしっかりしたボディ
・味のバランスの良さと特筆もののフルーティな風味
・アルコール度数は高くても、鼻につくような妙なアルコール感は皆無 

といったものです。

 つまり「宵音」は、アサヒビールの屋台骨を支える「アサヒ スーパードライ」の真逆をいくようなビールなのです。
 最も売れているビールと真逆の製品を作ると、非常にクオリティの高い、素晴らしく旨いビールになってしまった、というのは何とも皮肉なことです。一方、「宵音」を作る土台は「スーパードライ」が稼ぎ出していると思うと、これはこれで何やら複雑な思いがします。

 
 それはともかく、イオングループの店舗に販売が限られているいわゆる「企画もの」という先入観から、私は当初「宵音」にはあまり期待していなかったのですが、それは嬉しい誤算でした。
 このビールは「傑作」です