食品中の残留農薬に関しては、誰でも気になることですが、ではその具体的な実態となると、把握出来ていない方がほとんどなのではないでしょうか。

「通常食品は農薬まみれ」などと言う方も少なくないようですが、本当にそうなのでしょうか?

 実は、残留農薬検査の結果は各地方自治体から発表されており、それを見れば残留農薬の実態が分かるのです。
 ここでは、大阪府のホームページにある、食品衛生監視指導計画に基づく検査結果を見てみましょう。

 一番最近の平成21年度夏期国産野菜・果実等の残留農薬検査結果において検出された農薬は、ほとんどが基準値の1/10~1/100以下です。

 では、国内よりも気になる輸入農産物ではどうでしょうか。
 輸入農産物の残留農薬検査結果(平成21年9月実施分)においては、やはりほとんどが基準値の1/10~1/100以下という結果になっています。

 輸入農産物で最も悪名高い中国産の農産物だけを見てみても(上でリンクした9月分にはたまたま中国産はありませんが、他の月にはあります)、残留農薬の検出数は総数100件中14件、つまり14%で全体の検出率の半分程度であり、その量も基準値の1/10以下という優秀な結果となっています。

 つまり、「中国から輸入される野菜類は十分に管理され、また国内産・輸入物の全体としても農薬の使用は適切であるということを、科学的な客観データが明確に物語っている」ということなのです。


 以前の記事でも示したように(英国におけるオーガニック・パニック:うねやま研究室より)オーガニック食品と通常食品との間に、栄養価などのパフォーマンスの違いはないのです。そして、残留農薬においても通常食品に安全性の問題はありません。


「通常食品は残留農薬まみれ」などということは、無責任で非科学的な戯言なのです

 
 この記事は、「日経FoodScience」の《斎藤くんの残留農薬分析●市場流通品の農薬の残留実態を理解しておこう》を参考にしました。