ワイルド アット ハート 18 | 空中楼閣

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主にス キ ビ二次ブログです。
原作者様および、出版社様各所には一切関係はありません。
管理人は敦賀蓮至上主義の蓮キョのみの扱いになると思います。

※ ワタクシ、某パークには高校の修学旅行以来行った事がありません・・・(^_^;)故に、デートシーンは私の想像で書いていますので、おかしな箇所が多分あります。それをふまえてお読み下さい。


ワイルド アット ハート 18




中間テストの結果が良かったご褒美だとオフを利用して蓮に連れて来てもらった有名な夢の国・ネズミ―ランドでキョーコは終始はしゃぎ回っていた。ともすればふらふらと迷子になりそうなキョーコの手をしっかりと握り、蓮は苦笑しながらも柔らかな笑みを絶やす事がなかった。

人気でいつも長蛇の列が出来るアトラクションの事前予約を無事取る事が出来た。


「さて、どこに行きたい?」
「あそこっ!!」


蓮に聞かれてキョーコが真っ先に指指したのは、このテーマパークのシンボルともいえる白亜の城だった。


「クス、シンデレラ城だね。行こう」
「うんっ!」


シンデレラ城に入ったキョーコは大興奮だった。
壁一面に描かれている物語のイラストに、キョーコは足を止め食い入る様に見入った。


「うわ~!昔見た、ビデオと同じだぁ・・・それにとっても綺麗~」
「そうだね。あ、キョーコちゃん。この絵をこっちから見てごらん?」
「なんですか?・・・・うわぁー!絵が変わった!!」


一歩先を行っていた蓮がキョーコの手を引き自分が立っていた場所に立たせた。不思議そうに言われた通り壁の絵を見たキョーコは驚きの声を上げた。そこには先ほど見えなかったものが加えられていたからだ。


「目の錯覚を利用した手法だね。あっちから見た時とこっちから見た時のイラストが若干変わっているんだ」
「すごいっ!!まるで魔法だわっ!!」


実際その通りで、壁の絵には先ほど見えなかった魔女がシンデレラに掛けている魔法が見える様になっていた。


「クス、この部屋には他にも魔法みたいな仕掛けがあるみたいだよ」
「本当ですか!?」
「うん。あ、キョーコちゃん!あの椅子に座って?写真を撮ってあげるよ」
「うわぁ~!!嬉しいww」
「クス、ここにもある仕掛けがあるんだよ」
「え!?なんですか?」
「それは後でのお楽しみ。ほらほら、座って。キョーコちゃん、顔が硬いよ。もっと笑って」


首を傾げながら言われた通り椅子に座ったキョーコを蓮は持参したデジカメでパシャパシャと何枚もベストショットが撮れるまでシャッターを押し続けた。


「うん、これがいいな」
「何がですか?」
「ほら、見てごらん」
「?え!?どうして????」


撮ったばかりデジカメの画面を見たキョーコは驚きの声を上げ、先ほどまで座っていた椅子の方と画面を交互に見た。そこには何の変哲・・・と言うのは語弊があるが、メルヘンチェックなセットの中央に、これまた玉座の様な椅子があるだけだったはずなのにデジカメの画面にはキョーコの周りに魔法の様にキラキラとした模様が映っていたのだ。


「これもここの売りなんだ。目には見ないけど、こうして写真を撮るとそれが映し出されるんだよ」
「へぇ~!すっごーい!!」
「昔は、ここの地下に行けるアトラクションツアーもあったらしいけど・・・今は残念ながら無くなってしまったんだよ」
「そうなんですか・・・残念です」


その後も大興奮でシンデレラ城を巡ったキョーコは大満足だったのは言うまでもない。




「きゃあぁ!!楽しかった~!!」
「クス、それは良かった。確かに本格的だったな・・・」


事前に予約を入れていたため、人気のアトラクションにさほど待つことなく堪能したキョーコは大満足な様子でにこにことゲートから出て来た。


「結構、水掛かったけど大丈夫だった?」
「はいっ!掛かったって言ってもちゃんとガードしましたから。それに、久遠さんの方こそ私を庇っていましたけど、大丈夫でしたか?」
「俺は大丈夫。でも、次のアトラクションの予約までまだ時間があるし、ちょっと休憩しようか?」
「そうですね。お昼も過ぎちゃってますし、お腹空いちゃいました」


恥ずかしそうにえへへと笑うキョーコに、空腹中枢の麻痺している蓮はそういえばと腕時計を見ると、時計の針は1時を指しており、昼食時を大分過ぎていた事に気が付いた。


「ごめん!お腹空いてたよね、本当うっかりしていたよ」
「ううん!!私も忘れていたの!楽しいと時間もあっという間なのね!」
「そうだね。何を食べようか?食べたいもの、ある?」
「うーん・・・いろいろあって、迷っちゃうな・・・次に予約しているのって、何時でしたっけ?」


パンフレットを開いて近くにあるレストランを確認すると、その種類の多さにキョーコは迷ってしまった。


「次の予約は4時だからまだ時間はあるよ。そうだな・・・ここなんてどう?パンケーキが美味しいんだって」
「そうなんですか?じゃあ、そこにします」


蓮は今日の為に、仕事の合間を見てはキョーコが好きそうな場所のリサーチを重ねていたのだ。もちろん、陰の功労者には社の協力も大きくあった。


「きゃあぁぁ!!ネッキ―の形になってるぅ~!!かっわいい~~ww」


近くにあるカフェに入り、蓮おすすめのパンケーキをオーダーしたキョーコは、その実物を見て歓喜の声を上げた。
そんなキョーコを見て、蓮は調べておいて良かったと本当に思い柔らかな笑みを浮かべた。
蓮がそのパンケーキを勧めたのには訳があった。味も良いと評判だった事もあったが、そのパンケーキは園内のキャラクターの形をしていたのだ。まさにキョーコの好み通りの可愛らしい代物だった。


「ね、それにして正解だっただろう?」
「はいっ!!でも、あまりに可愛すぎて食べるのが勿体ないです・・・」
「クスクス。そんな事言ってないで、早く食べたいと冷めちゃうよ?それにアトラクションを楽しむ時間だって、無くなるよ?」
「あっ!そうでした・・・うぅぅ・・・どこから食べよう・・・」


蓮に言われてようやくナイフとフォークを手にしたキョーコだったが、そのあまりにも可愛らしい形に再びナイフを入れる事が出来なかったが、ようやく意を決してパンケーキにナイフを入れ一口口に入れた。


「・・・おいふぃ~~!!生地もミルクと卵がたっぷりで、すっごくふわふわしているし、この生クリームも甘さ控えめで!」
「本当だね。これなら、俺でも大丈夫だよ」
「うちでもこんな可愛いパンケーキ出来ないかな~」


パンケーキの可愛さに加え、その味の良さにキョーコは頬を抑えほにゃ~と笑った。そして、家でもこんな可愛いパンケーキが作りたいと思った。


「出来ると思うよ?来る前にショップがあっただろう?もしかしたら、こんな型があるかもしれない」
「本当ですか!?」
「うん、後で探してみようか?」
「はい!」


また一つ、楽しみな事と思い出が出来た事が出来てキョーコはホクホクと嬉しそうに残りのパンケーキを頬張った。



「さってと・・・予約時間まで時間があるけど、どこ行きたい?」
「うーんと、カップと・・・あっ!木馬っ!!久遠さん!木馬に乗りましょ?」
「えっ!?俺も!?」


蓮が驚くのも無理はない。何せ、蓮の身長は190cmもあるのだ。その体格であの木馬に乗る事にひどく滑稽な感じがしたのだ。
だが、言ったキョーコは大きな瞳をきらきらさせて期待に満ちた目で蓮を見ていた。


「うんっ!私、夢だったの!一緒にメリーゴーランドとか乗るって!久遠さんなら、絶対に似合うわっ!白馬の木馬!!」
「・・・・分かったよ・・・」
「やったー!早く早く!!」
「クスクス。そんなに引っ張らなくても木馬はなくならないよ」


キラキラとしたキョーコの瞳に蓮が敵うはずもなく・・・承諾した蓮の腕を取りキョーコは嬉しそうに木馬の乗り場へと引っ張っていった。
そんなキョーコに渋々頷いた蓮もだんだん楽しくなり、笑いながらキョーコに付いて行った。母国にいた時に、乗馬の経験のある蓮は様になっていたがいかせん蓮の体格には木馬は小さ過ぎた。そのため、些か不恰好になってしまったのだが、隣の木馬に乗るキョーコがとても楽しそうだったのでそれも小さな事だった。


実を言うと、この日キョーコの同級生が何人かこのテーマパークに来ていたのだが、今日のキョーコは蓮の手によって美少女に変身しているため、誰一人これがキョーコだと分かる人物はいなかった。それどころか、美貌を誇る蓮と並んでも見劣る事なく、美男美女の二人を遠巻きで羨ましそうに眺めていたのだが、これは蓮とキョーコの知らぬことだった。


そして、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので・・・気が付くと辺りは夕闇に包まれていた。


「はぁ、もうこんな時間なんですね・・・」
「そうだね。楽しいと時間もあっと言う間だ」
「はい・・・あの・・・後、パレードだけでも見たいです・・・」


時間を気につつ、キョーコは蓮をちらりと見ておずおずと頼んだ。翌日、仕事がある蓮に我儘を言ってはいけないと分かっていたが、以前TVで見たナイトパレードがあまりにも綺麗だったのが忘れられなくて、どうしてもそれを自分の目で見たかった。
そんなキョーコの小さな我儘を蓮は優しい笑顔で頷いた。


「最後の花火はいいの?すごく綺麗だって、聞いたよ?」
「え・・・でも・・・久遠さん、明日も早いんじゃ・・・」
「クス、大丈夫だよ」


そう言うと蓮はキョーコの手を引き、歩き出した。


「・・・久遠さん、ここって・・・」


キョーコは連れて来られた場所に戸惑いながら隣にいる蓮を見上げた。
たしか自分はパレードを見たいと言ったはずだ。だが、蓮がキョーコを連れて来たのは通りに面したレストランだった。
戸惑うキョーコを気にせず、蓮はキョーコを促してそのレストランの中に入ってしまった。そして、通されたのは2階のテラス席で・・・・


「・・・久遠さん、ここって・・・」
「この時期だからちょっと肌寒いかもしれないけど・・・ここからパレードが見れるんだよ」
「!!そうなんですか!?」
「うん、外だとキョーコちゃんあまり見えないんじゃないかと思ってね」


そう、長身の蓮なら人山の向こうからでもパレードは見る事は可能だが、キョーコは人だかりの頭しか見えないだろうと思案した蓮の気遣いからだった。


「・・・ありがとうございます。すごく、嬉しいです」
「うん。ほら、言っていたら始まった様だよ」
「わっ!」


食事が運ばれ、ナイフを持った時遠くからわっと歓声が上がり、パレードが始まった事を蓮達に教えた。食事を楽しみながらもわくわくしながら待っていると、ついにその時は来た。


「あー!来ましたよ!久遠さん!!」
「うん、綺麗だね。クスクス、キョーコちゃん、落ちないでね?」
「落ちませんよっ!」


テラスの手すりから身を乗り出してやって来たパレードを見入っているキョーコに蓮は茶化す様に言うと、キョーコは一瞬むくれたがそれも長くは続かず、再びパレードに目を奪われていた。



楽しみにしていたパレードも終わり、帰り際にアーケードにあるショップで念願のキャラクターの型を見つける事が出来た。
帰宅ラッシュが始まる前にとゲートを抜け、駐車場にやって来た時、閉園の合図でもある花火が盛大に打ち上がった。


「綺麗・・・」
「うん、また来ようね」
「・・・本当ですか?」
「うん、今度は海の方にも行きたいね」
「はいっ!」


蓮からの嬉しい約束に、キョーコは満面の笑みを浮かべて頷いたのだった。




続く