空中楼閣

主にス キ ビ二次ブログです。
原作者様および、出版社様各所には一切関係はありません。
管理人は敦賀蓮至上主義の蓮キョのみの扱いになると思います。


アメンバー申請でのお願い!!


当ブログの限定は桃色を含みます。その為、18歳以上の常識あるスキビ好きの方のみとさせて頂いています。

申請にあたっておおよその年齢が分かる記述をよろしくお願いします。


子供の頃にどんなアニメが流行っていたか。どんなアイドルでも構いません。

それか何人、子供がいますでも結構です。

後、スキビのどんなところが好きなのかも一言書いてください。


それと分かる事柄をお願いします。



また、最低限のマナーは守って下さいますよう、よろしくお願いします。

最近、またこれらの事が守られてないように思えます。

(いきなり、年齢を記帳するのはかなり失礼ですよ?)



☆目次始めました。宜しければ、活用して下さい。


目次 Ⅰ    目次 Ⅱ    目次 Ⅲ


テーマ:

| 壁 |д・)・・・ご無沙汰しております・・・大嘘つきの悠璃でございます・・・(._.)
前回の更新から、早ひと月以上・・・・今年こそは真面目に更新をという宣言はいずこに・・・
そんな管理人でございますが、何卒!見捨てないでぇぇぇぇぇぇ!!



FACE DOWN 12




チリン、チリン・・・

軽やかな鈴の音を鳴らしながら仔猫は興味深々で部屋の中をよたよたとしたまだ覚束ない足取りで探検している。その後ろではある程度の距離を保ちながらキョーコが仔猫の後を付いて回っていた。
仔猫が止まればキョーコも止まり、その場にしゃがみ込んで仔猫の様子を眺めるという事をここ最近の行動だった。

最初、この光景を見たローリィ以下関係者は大変驚いた。

幼児化して以来、蓮が仕事で留守にしている間、キョーコはずっと部屋の中に作られたキョーコ専用の『箱庭』から出て来る事などなかった。それが仔猫を拾ってから少しずつ変化が見られる様になった。
初日には、初めての場所に警戒した仔猫はキョーコに付いて大人しく『箱庭』の中にいたのだが、そこは好奇心旺盛な仔猫の事。すぐに『箱庭』から出てしまった。最初キョーコは『箱庭』の中からずっと仔猫を呼んでいたのだが、戻ってくる気配のない子猫を心配した事と、蓮との約束を思い出して恐る恐るだが外の世界に足を踏み出したのだった。


蓮にとって仔猫を飼う事はある種の掛けだった。ずっと心を閉ざしていたキョーコが初めて蓮以外で興味を持ったのが仔猫だった。衰弱して暫く動物病院に入院していた仔猫をキョーコはずっと気に掛けていた事を知っている蓮は仔猫を飼う事でキョーコの自我が少なからず戻るのではないかと期待したのだ。
そのため仔猫を飼う事を決めた時、蓮は仔猫の世話をキョーコに一任する事に決めた。蓮もいろいろと手を貸してやるが、それはあくまでキョーコのサポートでだ。
キョーコと「『にゃん』の世話はキョーコちゃんがするんだよ?」と約束したのだった。


蓮としては仔猫を飼う事でキョーコに少しだけでも変化が出るのではないかと言う期待があったのだが、これは嬉しい誤算だった。

全然、大人しくしていない仔猫を追いかけキョーコはずっと出てこなかった『箱庭』から自発的に出て来て仔猫と遊ぶようになったのだった。遊ぶと言うには少し違うがキョーコは仔猫の後を付いて回るのがここ最近の行動パターンだったが、キョーコが自発的に『箱庭』から出て来た事は周囲を喜ばせた。
そんな周囲の思考など知らないキョーコだったが、蓮に教えられた通り、仔猫の世話を懸命にしている様子は中々微笑ましい光景だった。
仔猫に夢中とはいえ、やはり蓮が戻って来た時には一目散に駆け寄り、ぱふっと蓮にしがみ付く姿は変わりなかったのだが・・・・


キョーコの変化はそれだけではなかった。仔猫に釣られて外部(といっても部屋の中限定)に出る様になったキョーコは最初こそローリィやセバスチャンが様子を見に部屋に入って行くとささーっと物陰に逃げていたが、仔猫がじゃれ付いているのを見て徐々に顔を見て逃げ出す事は無くなっていった。それどころか脱走しようとする仔猫を捕まえてくれたセバスチャンにそろそろと近づいてぺこっとお辞儀をして仔猫を受け取る様になった。(が、受け取ったらあっという間に距離をあけてしまうのだが・・・)

何にしても蓮が一緒でなければすぐに隠れ、身体を丸めてじっとしているだけだった事を思えば大変な変化で、近しい者はその事を大変喜んだ。



数日経ったある日・・・

いつもの様に仕事の合間にキョーコの様子を見に事務所に訪れた蓮と社は社長室に入るなり、固まった。

ローリィのコスプレ趣味は今に始まった事ではない。お供を引きつれての事務所内パレードは日常的な事だったし、ローリィの日々の衣装が奇抜なド派手な物である事もLMEでは通常営業なのだが・・・
流石にゴジラの着ぐるみを着たローリィがお馴染みのテーマソングに合わせて『ガオゥゥゥ!!ガオゥゥゥ!!』と言いながら時折口から火を吐きながら歩いているのだ。
産まれた時からこの珍事に慣れているはずの蓮も固まってしまったのも無理はなかった。


「お疲れ様です。敦賀様、社様」
「あ・・・」
「おう!蓮、来てたのか!!」


固まったまま入口に佇んでている蓮と社に声を掛けたのは同じく恐竜の着ぐるみを着たセバスチャンだった。そこでようやく蓮達の来訪に気が付いたローリィが声を掛けた。


「は、はい・・・ところで・・・・その姿は・・・?」
「おお、これか?これはな~、彼女を喜ばせようと思ってなっ!!」
「「?」」


どういう意味なのか全く分からなくて顔を見合わせている蓮と社に豪快に(だが、キョーコを怯えさせない様に控えめに)笑いながら経緯を話してくれた。

「午前中に怪獣のアニメを見せたら、殊の外気に入った様子だったんでなぁ~。それで試しに着ぐるみを取り寄せて見たら興味を示したんだよ」


どうやらキョーコを喜ばせようとローリィなりの配慮だったらしいが、おそらく半分近くは自身の趣味によるものだろう。


「そうだったんですか、それはありがとうございます」


ようやく、今回のローリィの奇行の理由が分かった蓮がお礼を述べているとキョーコがとてとてと駆け寄り、蓮の腰に抱き付いて来た。


「れん」
「ただいま、キョーコちゃん」
「がおー」
「え?」


タックルするように突進して来たキョーコに揺るぐ事なく抱きとめて微笑んだ蓮だったが、キョーコの言葉に首を傾げた。


「がおー」
「がお・・???」
「う。がおー!」


キョーコが何を言っているのか分からず、オウム返しした蓮に頷いたキョーコはローリィを指差しながら再び吠えた。


「ああ、怪獣さんだね」
「う!」


それによりキョーコが言わんとする事に気が付いた蓮が微笑むと勢いよく頷いてから急に蓮から離れて元いた場所へと戻って行った。と思ったらすぐになにやらピンクの布を引き摺って戻って来た。


「れん、がおー」

「?それは何?」

腰を屈めてキョーコと目線を合わせた蓮にキョーコは持って来た布を差し出した。意味の分からないながら受け取ってみると何やら凹凸の様なものが見えた。広げて見るとそれがピンク色の恐竜の着ぐるみだった。ローリィがキョーコの分も用意していた様だ。


「・・・・これを着たいの?」
「う!」


着ぐるみとキョーコを交互に見ていた蓮がキョーコに聞くとキョーコが頷いた。
着てみたいものの、今のキョーコでは一人ではどうやって着替えたらいいのか分からず、とはいえローリィ達に手伝ってもらうのは怖かったキョーコは蓮が来るのをずっと待っていたらしい。


「クス、こっちにおいで」


こくりと頷くキョーコを『箱庭』へと連れて行き、着ぐるみを着せてやった。
リアル○ジラを模したローリィの着ぐるみとは違い、キョーコの着ぐるみはアニメチックな可愛らしいものだった。


「クス、可愛い怪獣さんだね」
「がおー」


どうやら『がおー』と言うフレーズが気に入ったらしいキョーコを連れて『箱庭』を出ると器用に着ぐるみのままでお茶をしていたローリィ達が口々に褒めた。


「おおー、可愛いじゃねぇか!」
「うわー、可愛いよ!キョーコちゃん」
「本当に・・・お可愛らしい」
「がおー」
「「「おおー、可愛い可愛い」」」


褒められているのが分かったのか、キョーコは若干蓮の後ろに隠れたまま、怪獣の手を模している両手を顔の横にあげて吠えて見た。
それに相好を崩しながら褒める一同に蓮は苦笑しながらずり落ちそうになっているキョーコのフードを直してやった。

飲み終えたカップをセバスチャンに手渡したローリィが再び隊列を組んでの行進を始めると、キョーコも蓮も周りをぐるぐると回り始めた。


「よしっ!野郎ども!!行くぞ!!」
「「「「おうっ!!」」」


暫く部屋の中を練り歩いていたローリィだったが、だんだん調子が出て来たのかお供を引きつれて部屋を出て行った。これから事務所をその姿ままで闊歩して、事務所内を阿鼻叫喚の嵐に巻き込むのは目に見えて明らかだったが、悲しいかなローリィの暴走を止められる者などこの事務所いには誰一人としていなかった。




事務所内がトップであるローリィによって阿鼻叫喚の嵐が吹き荒れる中、最上階にある社長室を訪れる者がいた。


「今日は何をしているんです?・・・ここにも怪獣がいるし」


入って来たのは奏江だった。どうも用事があって事務所に来た所、あの集団の洗礼に合ったらしい。最近のローリィの奇行の数々がキョーコを喜ばせようとしているものが多いため、今回もキョーコに関する事なのだろうと予測を立ててやって来たらしい。案内された部屋の中で蓮の周りをぐるぐると小さな行進をしているキョーコと仔猫に奏江は呆れた様に呟いた。いつの間にか怪獣の服を着せられてキョーコの後を付いて回っている仔猫に関してはキョーコの着ぐるみの尻尾にジャレついているだけなのだが。


「やあ、琴南さん。社長が見せた怪獣のアニメをキョーコちゃんが気に入ったらしくてね」
「・・・なるほど・・・それであの馬鹿騒ぎなんですね・・・」
「ははは・・・」


ころころと転がりながら仔猫とじゃれ合っているキョーコを見ながら蓮の真正面のソファーに腰を下ろした奏江は先ほど見た馬鹿騒ぎを思い出しながら溜息を付いた。同じ怪獣でもこちらの方が見ていて和んだ。


「そういえば・・・あの仔猫の名前決まったんですか?」
「ああ、“にゃん”(仮)だよ」
「・・・・なんで、後ろに(仮)が付いているんです?」
「仕方ないんだよ。キョーコちゃんが“にゃん”としか言わないんだから。彼女が戻ったら、改めて付け直すか考えるしかないね」


眉を顰める奏江の問いに、長い脚を優雅に組んでカップを口に運びながら静かに話す蓮に奏江はなるほどと納得してしたが、キョーコがいつ戻るのか分からないが、その間にその名が定着してしまうのではないかと奏江は若干思っていた。


蓮と社、奏江が話していると行進に満足したのかキョーコがとことこと蓮の傍へと戻って来て、ポンと蓮の膝を叩いた。
蓮が組んだ足を解くとよじよじとキョーコが蓮の膝ににじり登って来た。蓮も慣れた物で、キョーコが座りやすい様に補助してやりながら落ちない様に支えてやった。
暫くうごうごとしていたキョーコだったが座りやすい場所が見つかったようで蓮に凭れかかって甘えて来た。

ごろごろと喉を鳴らしている音が聞こえてきそうなキョーコに、蓮は目を細めて頭を撫でてやった。
蓮とてキョーコの精神が普通じゃない事は分かっているが、それでも最愛の少女に無条件で甘えられているのが嬉しくて蓮の相好は自然に崩れてしまうのは仕方ない事だろう。
そんな蓮の発するオーラに口の中のじゃりじゃり感を感じながらも眺めていた奏江が若干呆れながら口を開いた。


「・・・・ほんと、キョーコって敦賀さんの事が好きよねぇ・・・」
「ぅ?・・・」


相変わらず蓮の膝の上で甘えていたキョーコは、奏江の言葉の意味が最初分からなかったのか何度か蓮と奏江の顔を交互に見た後・・・


「う!」


こくりと頷いて蓮にぎゅーっと抱き付いた。
そんなキョーコの様子に奏江は『まー、素直な事』と呆れ、蓮の想いを知っている社は『良かったなぁぁぁ~、れぇ~ん~』と顔にでかでかとかにやにやしていたが蓮の顔を見た瞬間、仲良く絶句した。
それもそのはず、いつもどこか気障ったらしくクールな蓮がまるで乙女の様に顔を赤らめていたのだから誰しもそうなるだろう。

蓮はと言うと、気付かれた事に気が付き、慌ててそっぽを向いて慌てて戻したが既に時遅し・・・愕然とこちらを見ている社と奏江は目を見開いたままだった。


「うー?」
「ああ、大丈夫だよ。キョーコちゃん」


キョーコもキョーコでいきなり赤くなった蓮の顔に、先日熱を出した時を思い出したのか蓮が熱を出したのかと蓮の顔に手を当てて来た。そんなキョーコを安心させる様に風邪じゃないよと微笑んでやるが、キョーコは首を傾げながら蓮がしていたようにずっと蓮の額や頬をぺたぺたと触っていたのだった。



この後、この珍妙で珍しい光景を見た社と奏江にことある毎にからかわれる事になった蓮が頭を抱える事になるのだった。(そしてやり過ぎて闇の国の蓮さんを降臨させてしまい、恐怖に怯える事となるのも・・・お約束だった)




続く


ローリィの着ぐるみ→リアルゴ〇ラの顔だしバージョン、キョーコの着ぐるみはピカ〇ュウのピンクバージョンだと思ってくださいww

ローリィに至っては、口から時折、火を吐いて職員を更に慌てさせています。(と言う、裏設定があります)

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明けましておめでとうございます!

亀更新が更にグレードアップしてゾウガメ更新になってしまっておりますが、ブログを開始して3周年を迎えることが出来ました。

通年であれば、記念フリーを更新するのですが・・・いまだにやる気スイッチがオフになったままで・・・申し訳ありません・・・。今年こそはもう少し更新を早めるようにしたいと思いますので、どうか見捨てずお願いします。


と言う事で、今年最初の更新はFACE DOWNの続きです!!(ようやく出来ました・・・そして文書がおかしいですが、大目に見て下さいませ~)




FACE  DOWN 11




キャンピングカーに戻ってから落ち着く暇もなく、社は自分達の弁当を貰いに行くべく外に出て行った。本当は途中で貰って来る予定だったが、蓮を狙う女優達が出て来た為に予定を変更して一緒に戻って来たのだ。


社が再び出掛けた後、蓮はキョーコ用の昼食を用意した。
食欲は普通にあるキョーコの為に蓮が作ったのはミニおむすびだ。普通サイズの3分の1のサイズのコロンとしたおむすびは社が探して買って来た型に詰めて作ったものだ。その中身を変えて作った物が2つほど小さなお弁当箱に詰められていた。


それと飲み物を用意してキョーコの手をおしぼりで拭いてキョーコにおむすびを手渡していると社がトレイを持って戻って来た。トレイの上には湯気を上げている使い捨てのどんぶりが二つ乗っていた。


「ありがとうございます、社さん」
「ただいま~!今日は炊き出しやってたから貰って来たぞ!豚汁うどんだ!」
「・・・豚汁・・うどん?」


聞き慣れない料理名にキョーコの口元に付いた米粒を取ってやっている手が止まった。テーブルに置かれた白い器を覗き込むが、普通の豚汁にしか見えない。
首を傾げる蓮に、社は笑いながら説明してやった。


「うどんの汁の代わりに豚汁が入っているんだよ」
「ああ、そういう事ですか」
「ああ。スタッフが言うには、生姜を沢山入れているから温まるぞ~。あ、お前の分はこっちな」


と社が差し出したのは社の分よりも具だくさんな方だ。


「キョーコちゃんと食べな~」
「ありがとございます」


社はどんぶり他にお弁当も一つだけ貰って来ていた。それを見て蓮は素直にお礼を言い、自分の分のどんぶりと箸を持つと早速それを口に含んだ。成程、社の言う通り生姜が良く効いていて冷えた身体を温めてくれた。具材も一口大にされて柔らかく煮込んである。これならキョーコも食べやすいだろう。


「キョーコちゃん、あーん」
「あー」


まぐまぐとおむすびを頬張っているキョーコが口の中の物を飲み込んだ時を見計らい、蓮は具材の大根を箸で持ち上げキョーコに差し出した。
それに素直に口を開けたキョーコの口の中に入れてやるとまぐまぐと咀嚼するキョーコに微笑みが漏れる。


「美味しい?」
「う」
「良かったねー。キョーコちゃん、おうどんもあるよ」
「つー、つー?」
「そうだよ」


それからもおむすびの間に具材やうどん、豚汁などを含ませつつゆっくりと食事をさせる。途中、おむすびを止めてこちらと交換しようかと思ったが、キョーコがおむすびを離さなかった。
蓮と一緒に食べたと言っても、それでも豚汁うどんとむすび2つは今のキョーコには多すぎるため、むすびの一つは蓮が食べる事になった。(蓮は捨てようとしたが、社に命令されて食べる事になった。)




飯塚がキャンピングカーを訪ねて来たのは、蓮達がゆっくりとだが食事を終えた頃だった。


「お食事中、ごめんなさいね?」
「いいえ、大丈夫ですよ。食べ終えた所ですから。キョーコちゃん、飯塚さんだよ?病院にお見舞いに来てくれただろう?覚えてない?」


入って来た飯塚の姿に怯えた様に蓮の背後に隠れるキョーコに、蓮が柔らかな口調で諭すと少し考えた後、キョーコは思い出したのか微かに頷いた。


「こんにちは、キョーコちゃん。風邪を引いたんですって?大丈夫?身体、辛くない?」
「・・・・ぅ」


キョーコの怯えた様子に勤めて柔らかい口調で聞く飯塚に、キョーコは小さく頷いた。


「今日はね、貴女が風邪を引いたと聞いたから、いいものを持って来たの」
「・・・・・」
「敦賀君、キッチンを借りるわね」
「?あ、はい。どうぞ」


突然の申し出に首を傾げながら頷くと、飯塚は持って来ていたビニール袋から生姜やレモンにはちみつ、そしてガラスの空容器を取り出した。どうやら先ほど付き人に頼んでいたものらしい。
一同が見守る中、飯塚は慣れた手つきでガラスの容器に熱湯を入れ煮沸消毒をし、それが乾くまでの間に次の作業に移った。
取り出した生姜を薄くスライスし、軽く灰汁を抜くために水を張ったボールに付けた。


「・・・・」
「ん?どうしたの?」
「ぁー」


その様子をキョーコは蓮の陰に隠れてじーっと見ていた。それに気が付いた蓮がキョーコの顔を覗き込むと、キョーコは蓮の顔と飯塚の様子を交互に見ていた。

キョーコは蓮以外がキッチンに立っているのを見た事がなかった。そしてその蓮はというと、大分慣れて来たとは言え、お世辞にも料理が上手とは言えない。まだまだ包丁も不慣れでどこか危なっかしい蓮と違い、飯塚は手慣れた感じで生姜を薄くスライスしているのが不思議で仕方なかった。


「・・・気になるならもっと近くで見る?」
「ぅー・・・」
「大丈夫、俺も一緒に行ってあげるからね?」
「・・・う」


キョーコの意図するところに気が付いた蓮がキョーコの手を引いてもっと見やすい場所へ移動してやるとキョーコは蓮の背後から覗き込むように飯塚の手元をじーっと凝視した。それに気が付いた飯塚が振り向くとさっと蓮の背後に隠れてしまう。そんなキョーコに苦笑しながら飯塚は首を傾げた。


「あら、どうしたの?」
「いえ、キョーコちゃんが気になるらしくて」
「あら、そうなの?」
「ええ。何を作っているんですか?」
「これ?生姜のはちみつ漬けよ。こうして置くとはちみつに生姜のエキスが染み出ていろんな事に使えるの。喉が痛い時とかにもいいのよ。それに身体を温めるしね」
「へー、そうなんですか」


説明しながら飯塚は灰汁抜きした生姜をキッチンペーパーに並べて水分を取り、煮沸消毒したガラスの容器にそれを敷き詰めていった。それが終わると生姜が隠れるまではちみつを注ぎ込んでから蓋を締めた。


「ついでにレモン生姜はちみつも作っておくわね。こっちも美味しいのよ」
「ありがとうございます。助かります。良かったね、キョーコちゃん」
「ぁー」


くすくす笑いながら飯塚はレモンを同じくスライスし、余った生姜は今度はすりおろして搾り汁をはちみつの中に注ぎ入れた。


「これで完成よ。そうねぇ・・・1日位で飲めると思うけど、出来たら1週間くらい置くといいわね。時々、瓶をひっくり返して全体をよく混ざる様にしてね。生姜が見え始めたら冷蔵庫にいれて。それまでは常温でも大丈夫だから」
「はい、分かりました」
「お湯で溶くだけでもいいけど、紅茶とかに入れても美味しいわよ」


そう言いながら飯塚はバックから水筒を取り出すと、出してもらったカップに中身を注いだ。水筒に入っていたのは、飯塚が持参して来た紅茶だった。それに更にバックから小瓶を取り出してその中身を紅茶に入れてキョーコへ差し出した。


「これ、私がいつも持ち歩いているの。試しに飲んでみて?」
「ありがとうございます!キョーコちゃん、飲んでみようね」
「あー」


ずっと飯塚の作っているモノに興味津々だったキョーコは蓮に差し出されたカップに両手を伸ばした。そんなキョーコの反応に吹き出しそうになるのを堪えながら蓮は紅茶を少し冷ましてやってからキョーコにカップを手渡した。蓮がカップに息を吹きかけている様子に、中身は熱いものだと分かったのか、カップを両手で持ったキョーコもカップに息を吹きかけてからカップに口を付けた。


「あー」
「美味しい?」
「う!」


こくりと飲んでからぷはーっと息を付いたキョーコの顔はいつも通り無表情なのだが、蓮にはキョーコがそれを気に入ったのだと言う事が分かった。キョーコの顔を覗き込んで聞くと案の定、キョーコはこくりと頷き、カップを蓮へと差し出した。
どうやら、飲んで見ろと言っているらしい。


「くれるの?」
「う!」
「ありがとう・・・ん、美味しいね」
「あー」


一口飲んだそれは蓮にとっては甘すぎるものだが、程よい生姜のエキスと香りが口内に広がり確かに喉に聞きそうで、温まりそうだった。


「気に入って貰えたようね?」
「はい、良いものをありがとうございます」


キョーコにカップを返してやり、飯塚に改めてお礼を言うと飯塚も安心したのかにこにこしながら小瓶を蓮に差し出した。


「これもあげるわ。こっちがいい具合になるまで繋ぎとして」
「いいんですか?」
「ええ。家に帰ればまだあるから」
「ありがとうございます!」
「いいのよ。気に入って貰えて良かったわ。早く治るといいわね」
「はい」
「う」


にっこりって首を傾げる飯塚に頷く蓮をマネしたのか、キョーコもこくりと頷いた。

こうしてキョーコのお気に入りがまた一つ出来たのだった。




続く


今年こそ、サボらず更新・・・出来たらいいなぁ・・・・(元来のサボり魔・・・)でも、頑張りますっ!!

補足・・・キョーコが言っている『つー、つー』と言うのは、うちの甥っ子たちが幼児の時に言っていた麺類の事ですwそれをそのまま引用しましたw

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FACE DOWN 10


ローリィの機転と好意により、キョーコを連れてロケ現場へと向かう事になった蓮は出発する前に社達に外で待ってもらい、あれこれとキョーコの支度を始めた。
いつもの場所で寝ていてもらう予定だったキョーコはパジャマに着替えさせていた。だが例えずっと車の中で待っているといえど、外には変わりない。そのため、蓮はキョーコにパジャマを着替えさせた。とはいえ、苦しくない様にルームウェアに着替えただけなのだが。


「お待たせしました、社さん。もう入っても大丈夫ですよ」
「ああ、じゃあ出発しようか!お、キョーコちゃん、可愛いなぁ~。うさぎさんだね!」


蓮に促されて中に入って来た社はキョーコの出で立ちを見て、顔を和ませた。蓮がキョーコに着替えさせたのは、もこもことした暖かそうなフードつきのルームウェア。薄ピンク色のそのフードには長いうさぎの耳が垂れていた。
キョーコはフードから流れる耳を触りながら蓮に一生懸命何かを伝えようとしている。それに微笑みながら「可愛いよ」と伝えると満足したのか、大人しく蓮の横に座った。


「では出発致します」
「「お願いします」」


運転席に乗り込んだセバスチャンの言葉に頷くと、キャンピングカーはさほど揺れを感じる事なく動き出した。
キョーコ用のベッドはあるものの、運転中は危ないためキョーコを寄りかからせあれこれと世話を焼く蓮の様子を前列の対面式シートに仕事道具を出しがら少し切なさを感じながらも微笑ましく見ていた社は思い出した様に蓮に声を掛けた。


「そういえば、あの仔猫はどうするんだ?」
「仔猫って、キョーコちゃんが拾って来た仔ですか?」
「そうそう、そろそろ退院出来るって言ってただろう?飼い主探すのか?」


忙しい蓮が仔猫を飼えるはずもなく、今の状態のキョーコを抱えている状況では尚の事。社は元気になった仔猫は里子に出すのだとずっと思っていた。だから蓮の言葉に驚く事になった。


「いいえ、うちでちゃんと責任を持ちますよ」
「ほー、そうか・・・えっ!?蓮、今なんて?」
「ですから、あの仔猫はうちで飼いますよと・・・」
「・・・・大丈夫なのか?」
「ええ、何とかなると思いますよ。犬と違って、日々の散歩が必要な訳じゃありませんし。それに動物を育てる事によって自立心が育つって言うじゃないですか」
「・・・まあ、そうだが・・・大丈夫なのか?キョーコちゃんに仔猫の世話なんて・・・」
「大丈夫ですよ。あの仔を拾って来たのは他でもないキョーコちゃんですし。俺も出来るだけサポートやフォローもしますし」
「それもそうだな・・・分かった、俺に出来る事はやってやるよ」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」


最初は今の状態のキョーコに仔猫の世話をさせようとする蓮に驚いていた社だったが、蓮の考えももっともだと理解して頷いた。
そんな蓮と社の会話を黙って聞いていたキョーコが蓮の顔を見上げて首を傾げた。


「・・・・れん、にゃん?」
「そうだよ、キョーコちゃん。ずっと心配していたんだよね?退院したら、キョーコちゃんちゃんと“にゃん”のお世話出来る?」
「・・・う」


じっと蓮の顔を見ていたキョーコは蓮の言葉にこくりと頷いた。
そんな会話をしている内に車はロケ現場へと到着した。既にロケ隊は現場に来ているらしく、駐車場には何台かの見慣れたロケバスと撮影機材用の車が止まっていた。
セバスチャンはキャンピングカーを少し離れた場所に駐車して後部座席の蓮達に声を掛けた。
それに応じて支度をし始めた蓮をじっと―見上げていたキョーコの頭を撫でて寝かせつけた。


「いい子だね、キョーコちゃん。でも、キョーコちゃんが早く良くならないと“にゃん”を迎えに行けないから早く治そうね」
「う」
「だから、俺が戻るまでトイレ以外はちゃんとお布団の中で寝てなきゃだめだよ?」
「う」
「ここに飲み物を置いて置くから、飲むんだよ?」
「ん」


ごそごそと薄での布団の中で居心地の良い場所を見つけていたキョーコがぴょこんと布団から顔を出したのを見届けた蓮はキョーコの額に新しい冷却シートを張ってやり、最後にキョーコの頬にキスを落として社と共に車を降りて行った。




蓮がキャンピングカーから降り、ロケ隊と合流した蓮と社は周囲にいる共演者やスタッフに挨拶しながら監督へと近づいた。まずはこちらの事情でスケジュールを変更してしまった事を謝罪しなければならないからだ。


「おはようございます、監督。今日は突然申し訳ありません」
「おお、敦賀君!おはよう!!いやいや、大丈夫だ。時間通り来てもらえれば、こちらとしては問題ない。・・・それにしても、聞いてはいたが・・・・宝田社長は突然、妙な事を所属にさせるのかね?」
「・・・・ええ・・・まぁ・・・そうです、ね・・・」


歯切れ悪く聞く監督の問いに、蓮と社は普段のローリィの奇行の数々に「そんな事はないですよ」とはお世辞にも言えなかった。その犠牲に一番なっているのは、キョーコ達ラブミー部と蓮に他ならないのだから。ただ、今回ばかりは感謝しなければならないだろう。普段のローリィの奇行のおかげで突然の『課題』の為に本来のロケ隊と離れて行動する事に誰も不審に思う人間などいないのだから。
そんな事を蓮が考えているとは知らない監督は、歯切れの悪い蓮の言葉に噂が真実だと知り、気の毒そうに蓮を見つめて励ます様にポンと蓮の肩を叩いたのだった。



「おはよう、敦賀君」
「おはようございます、飯塚さん」


監督と簡単な打ち合わせをした後、衣装に着替えに行こうとした蓮に声を掛けたのは共演者である飯塚だった。2年前、『DARK MOON』で初共演して以来、何かと声を掛けてくれたベテランの女優だった。


「大変ねぇ、宝田社長に振り回されているんですって?」
「ええ・・・まぁ・・・」
「本当に、困ったものよねぇ~。今だって、貴方、大変なのに・・・」
「それが・・・熱を出しまして・・・」
「え・・・!?」


周囲に聞こえない様に呟いた飯塚の言葉に、声を潜めて言った蓮に飯塚は驚いて蓮を凝視した。
実は飯塚は今のキョーコの状態を知っていた。何故知っているかと言うと、キョーコが落下したビルに飯塚も仕事でいたのだ。そこで落下したのがキョーコだと知った飯塚は入院中も何度かキョーコの見舞いに来てくれており、自然にキョーコが精神を病んだ事を知って以来、キョーコの事を何かと気遣ってくれていたのだった。


「ね、熱って、どういう事!?」
「それが・・・」


心配して事情を聞く飯塚に蓮は昨夜の事を説明し、今朝のやり取りも簡単に説明するとようやく飯塚も安心した様に表情を和らげた。


「・・・なるほどねぇ・・・じゃあ、今日の『課題』って言うのはフェイクなのね?」
「そういう事です」
「分かったわ。・・・後でお邪魔してもいいかしら?実はそちらの社長から『課題』について頼まれている事があるのよ」
「?ええ、お願いします」


最後の方は周囲に聞こえる様に普通に言った飯塚の言葉にちょっと首を傾げた蓮だったが、それが飯塚の気遣いであり、飯塚がキョーコを見舞いたいのだと悟った蓮は微笑んで頷いた。
蓮の反応を見た飯塚は傍にいた付き人に何やら頼みごとをしているのを横目に、着替えの為にロケバスへと足を向けた。


その後、収録の合間に共演者達に『課題』の事を聞かれたが、ローリィの日頃の行いは業界内では有名で、更には蓮がローリィの秘蔵っ子である事は周知に知られているため、蓮がロケ隊とは違う車で来た事も長い撮影待ちの時にはキャンピングカーに籠る事もさほど不審がられる事もなかったのは幸いだった。

とはいえ、全員そうだった訳でもなく・・・蓮にご執心な一部の女優達のあからさまなお誘いを、内心イラッとしながらも普段通りスマートに交わして蓮がキャンピングカーに戻って来れたのは少し遅めの昼食休憩になってからだった。

キャンピングカーに戻ろうとする蓮と社だったが、目敏く見つけた女優達に声を掛けられてしまった。


「敦賀さ~ん!すごい車ですね!!私も乗ってみたいなぁ~」
「あー、ずるーいっ!!抜け駆けよっ!!ねぇ、敦賀さん!私もお邪魔してもいいですかぁ?お昼、一緒に食べましょうぉ?」


一応お伺いを立てている雰囲気だが、その実、既にお邪魔する気満々の女優達に内心うんざりしていた。こんな事はいつもなのだが、今日は絶対に付いて来られては困るのだ。何しろキャンピングカーにはキョーコがいる。その事は絶対に知られる訳にはいかなかった。

いつもならば、にこやかに雑談した後諦めてもらうのだが、車内には発熱で心細いのを我慢して待っているキョーコの事を思うとそんな気にはまったくなれなかった。


「・・・ごめんね。あの車は社長から貸し出されているものだから」
「それに蓮は社長から出された『課題』をしないといけないんだよぉ。その『課題』は関係者以外は見せられないものでね・・・」
「ええぇー、でもー」


そんな蓮の心情をきちんと把握している社も蓮を援護するのだが、尚も食い下がってくる女優くずれの女達に最後には恒例とも言えるブリザードを発動して女優達が凍り付いているのを横目に蓮は颯爽と彼女達の前から姿を消すのだった。


思わぬ時間ロスを取り戻すかの様に、キャンピングカーへ向かう蓮の足は普段より心持早い。だが走っているのではない。不自然にならないようにと気を使っているが、長いコンパスをフルに使っての歩行なので、いつも蓮と一緒に行動している社さえも付いて行くのがやっとの有様だ。


「大丈夫ですか?」
「あ、ああ・・・いい運動になったよ・・・」


そんな感じキャンピングカーに辿り付いた時には社は真冬にも関わらず、額に汗を浮かべ肩で息をしていた。キャンピングカーのドアの暗証番号を押しながら申し訳なさそうに聞く蓮に社は額の汗を拭きつつ笑顔で頷いた。


「お疲れ様でした。敦賀様、社様。キョーコちゃまはいい子でお待ちでしたよ」
「そうですか、ありがとうございます」


ドアを開けると中には今日、運転手として来てくれたセバスチャンが戻って来た蓮と社を迎えた。そのまま二人のコートを受け取ろうとするが、社は弁当を貰いに出掛けるので断ったため蓮のコートだけ預けてキョーコが待つキャビンのドアを開けて、思わず笑ってしまった。


蓮の言い付け通り、布団にくるまっているキョーコだったが、その恰好がおかしかったのだ。布団の中で四肢を丸めて首だけ出す姿はまるで亀の様。しかもフードに付いている耳が気に入ったらしいキョーコはご丁寧にフードまで被っているために味方によってはウサギが丸まっている様にも見えない事もない。のだが・・・蓮が戻って来て嬉しいのか、キョーコのお尻辺りにはふさふさした尻尾がぱたぱたと振っている様に見えたのは蓮だけではない。


「あはっ!キョーコちゃんって、猫科かと思ったら、イヌ科でもあったんだなぁ~」
「そうですね。ただいま、キョーコちゃん。いい子にしてた?」
「う」


蓮が声を掛けると相変わらずの無表情だったが、もぞもぞと布団から出て蓮に向かって両手を伸ばして、だっこをせがんで来た。
そんなキョーコの要望を応えてやるべく、キョーコの両脇に手を差し伸べ抱き上げ、膝の上に乗せてやるとすかさず蓮の首にぎゅっと抱き付いたのだった。



続く



またしても間が空いてしまいました・・・・ようやく10話目です。
作中に書いたキョーコの姿ですが・・・ピグでのペットがモデル(?)ですwそれがこちら
   ↓




そしてワタクシ事ですが・・・金曜日からワタクシの住む地域は大雪に見舞われました・・・(´_`。)
見る見る間に積もって行く雪・・・そしてワタクシは土曜日にちょいと私用があり、出かける予定になっていたのです(T▽T;)・・・

止めた方がいいと言われながらも『本誌買うんだっ!!』と意気込んで出掛けたのですが、道中は良かった。そう、道中はっ!!用事も済んでさあ、帰ろう!と思った時、親からの電話が・・・
『屋根の雪が落ちて車は家に入れないよー』との事・・・
なんですとっ!?Σ(・ω・ノ)ノ!と思いながら帰宅した我が家・・・電話の通り、入れませんでした・・・(;´Д`)ノ敷地内に入る坂道が屋根からの落雪で覆われ、車庫の入り口に関しては、こんもりと雪の山・・・その高さ、1m強・・・・確かに、これを掘るのは無理です。結局、車はどうにかスペースを開けて坂に放置しましたよ・・・(^▽^;)

で、今日車を救出しようと雪かきに挑んだのですが・・・落雪は更に続き・・・車庫前は180cmを超え・・・もはや、壁です!!∑ヾ( ̄0 ̄;ノ

しかもその雪の硬い事!!外に出ようと上ると屋根に手が届くほどで・・・とりあえず、坂道はどうにかしようとママさんダンプでせっせと雪かきしたのですが・・・終わらない・・・マジで終わらない・・・そうしているうちに再び屋根からの落雪・・・諦めました、はい・・・もはや、人の手でどうにかなる代物ではありません・・・明日、業者に頼んで除雪してもらいますです・・・
ちなみに積雪は60cm弱でしたwこれから3か月、この雪と付き合わないといけないが憂鬱です・・・(´・ω・`)

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・・・・・| 壁 |д・)お久しぶりです・・・・

さぼりにサボって、早2か月が経過していました・・・・(;^_^A その間、何度も書こうとしたんですが、今度は文章の書き方を忘れ・・・妄想が文章にならないと自体に・・・(・・;)

某街でお会いした方に心配までされてしまいましたが、私は元気です!!そしてごめんなさい<m(__)m>土曜日に更新出来ませんでした~~!!

ようやく出来ましたので投下します・・・・




FACE DOWN 9




この日、都内某所にある某高級マンションの最上階にある部屋の主である蓮は朝から忙しく寝室とキッチンを往復していた。


キョーコが体調を崩したのだ。


キョーコを預かる様になってから蓮はローリィの協力により、今までよりもずっと仕事量を抑え、出来るだけ時間を作ってはキョーコの様子を見に行き、夜も日付が変わるまでには全て終えてキョーコを迎えに行っていた。

昨日の蓮の仕事はドラマのロケだった。それが一日中という事と、その場所が郊外という事もあり、蓮は途中で抜け出す事も出来ずその日はキョーコの様子を見に帰る事が出来なかった。それに加えてこの日は機材トラブルから始まり、相次ぐ共演者達のNG続きで・・・誰が悪い訳ではなかった為、蓮の性格上急かせる事など出来るはずもなく・・・・
結局、この日の上がりは深夜を回ってしまった。


TV局で愛車に乗り換え、逸る気持ちを抑え社と共にLMEに戻った蓮はそこで見た光景に凍り付いた。キョーコが使っている部屋には小さいながらベランダがあり、そこからは駐車場に入る車が確認出来た。あろう事かキョーコは薄着のままベランダに出て蓮の帰りを待っていたのだ。

勿論蓮は撮影が延びて迎えに行くのが遅くなる事はTV電話で連絡していたし、TV局に着いた時も今から帰るからと連絡を入れていた。のだが、今のキョーコにはきちんと伝わらなかったらしい。TV局から戻る途中、事故により足止めされた事で更に迎えに行く時間が遅くなり、不安になったキョーコは蓮が戻るのをずっと外で待っていたらしい。


連絡はローリィ経由で伝えていたため、その時にはキョーコはいつもの『箱庭』にいた事は確認済みだった。だが、その連絡を入れた後、ローリィは用事があり社長室を留守にしなければならなくなった。蓮が留守にしている間、キョーコがトイレ以外で『箱庭』から出て来る事はなかったため安心していた事が裏目に出てしまった。

一方、蓮はと言うと事務所までの帰り道に事故に遭遇してしまった。その為道路は渋滞し帰りが大幅に遅れてしまったのだ。


この日は折しも東京上空に大寒波が覆っており、部屋に入って来た蓮に気が付き、抱き付いて来たキョーコの身体は既に氷の様に冷たくなっていた。

慌てた蓮はキョーコの身体を毛布でぐるぐる巻きにし、事情を知ったセバスチャンが作って来てくれた特製の生姜湯を飲ませ、落ち着いた頃にマンションへと連れて帰った。

マンションに帰ってすぐに温かいお風呂に入れ、念の為と社が買って来てくれた葛根湯をお湯で割って寝る前に飲ませたのだが・・・案の定、翌朝キョーコは熱を出した。



朝、起床してすぐにその事に気が付いた蓮は慌ててベッドから飛び降りた。
幸い部屋には以前蓮が風邪を引いた時にキョーコが買いそろえた看病するために必要な物は全て揃っている。それらの使い方を知らなかった蓮は携帯で検索して確認しながら揃えて、それに平行してキョーコの食事を用意しながらローリィに連絡を入れていた。


幸いこの日の蓮のスケジュールは前日同様、終日ドラマのロケ収録で9時にTV局に出向けば良かった。
そこでこちらの事情を知る医師に連絡を入れ、かい開診前に診察をして貰える事になり蓮はキョーコを連れて急いで病院に向かったのだった。


診察の結果、キョーコはただの風邪の初期症状と診断されて蓮は一先ず安堵して社との待ち合わせ場所である事務所へと向かったのだが・・・ここで問題が発生した。

いつもなら与えられている部屋の一角に作られたキョーコの『箱庭』で素直に蓮の帰りを待つのだが、今日はキョーコが熱を出しているという事もありローリィが気を利かせてベッドを用意してくれていた。蓮がいないと不安定なキョーコの為にベッドの周りを衝立を立てて目隠しをしてくれていた。そこにキョーコを寝かせ付けて後ろ髪を引かれつつ、仕事に出掛けようとしたのだが・・・いつもなら大人しく見送ってくれるキョーコが今日に限って蓮から離れるのを嫌がった。


「キョーコちゃん、ちゃんと寝てなきゃ」
「や、や、や・・・」
「キョーコちゃん、蓮はお仕事があるんだよ?」
「やーーー」
「キョーコちゃん・・・・」


蓮と社が何とかキョーコを落ち着かせて寝かせようとするが、キョーコは蓮にしがみ付いて離れようとしなかった。そうしている間も刻一刻、事務所を出なければならない時間が迫っていた。

いつもは不安そうにしながらも蓮に仕事が大事な仕事がある事は幼いながらに理解して我慢しているキョーコだったが、発熱と言うこれまでとは違う体調の変化にキョーコは戸惑い、蓮に置いて行かれるという恐怖がキョーコを襲っていた。


対して蓮もこんな状態のキョーコを置いて行くことに躊躇いがないわけじゃない。
キョーコの過去を多少知っている蓮はキョーコが幼い頃、実母が病気になっても看病して貰った事は殆ど無いだろうという事も何となく分かっていた。そして、それを抜きにしても蓮自身がこんな状態のキョーコを一人置いて行かなければならない事が嫌だった。

だが、今日の仕事は蓮主演のドラマの撮影であり、蓮が行かなければ集まった人達に多大なる迷惑が掛かる訳で・・・だからと言って今のキョーコを現場に連れて行けば、あらぬ噂が立てられキョーコが正気に戻っても復帰が難しくなるのは目に見えて明らかだった。
傍で見ていた社も蓮と同じ気持ちで、いやいやと首を振るキョーコをおろおろとしながら宥めていた。

苦悩する蓮と社に助け舟を出したのは、それまで3人の様子を静観しながらセバスチャンに何やら指示を出していたローリィだった。

どこかに電話をしていたローリィは電話を切ると相変わらず蓮にしがみ付いているキョーコに近づくと静かに声を掛けた。


「キョーコちゃん、蓮はお仕事があるんだ。ずっとキョーコちゃんに付いていてあげられない」
「あ―・・・」


いやいやと首を振るキョーコに、ローリィは声を更に和らげ続ける。


「・・・それでも良ければ、蓮に付いて行けばいい。でも、さっきも言った様に蓮はずっと君に付いている事は出来ない。それでもここよりずっと近くにいて、休憩中は様子を見に来てくれるよ。それで我慢できるかい?」
「・・・・・う」
「「しゃ、社長!?」」


問われたキョーコはじっとローリィの顔を見て、暫し考えた後こくりと頷いた。
これに驚いたのは蓮と社だ。キョーコを連れて行くのはやぶさかではないが、それにしても問題が多すぎる。

ロケは全員でロケバスで移動だし、それを断って車で行くにしても蓮の愛車の後部席は既にキョーコ専用として柔らかなラグやクッションなどで居心地良くしてはあるが、長時間横になるにしてはいかせん狭すぎる。更にトイレなどはどうするのか!?と蓮と社がローリィに詰め寄るが当のローリィに軽くあしらわれた。


「わーってるよ、そんな事はっ!だから今日はうちの車を貸してやる」
「え・・・社長の車・・・ですか?」
「・・・なんだ、不満なのか?」
「いえ・・・まさか、リムジンじゃ・・・」


蓮の呟きに社も顔色を変えた。ローリィの愛車は日本に数台しかないのでかなり目立つ。更に持ち主の趣味が反映された装飾のせいで悪い意味で目立ちまくりの代物だった。


「そういう事で、蓮っ!もうすぐ支度が出来るからそれまでに彼女の必要な物支度しておけよ」
「は、はいっ!ありがとうございます」


内心の動揺を隠し、言われた通りにキョーコに必要な物を鞄に詰め終えた時、退出していたセバスチャンが戻って来た。


「旦那様、、お車の用意が出来ました」
「おうっ!行くぞ、蓮」
「は、はい」


蓮がまとめた鞄と自分のコートと荷物を持とうとすると、横から社がそれを遮った。


「これは俺が持って行ってやるから、お前はキョーコちゃんを連れ行ってやれ」
「ありがとうございます。キョーコちゃん、おいで」
「ぁ・・・」


キョーコと蓮の荷物を手にした社にお礼を言い、自分のコートを羽織ると蓮はキョーコにコートを羽織らせ、その上からキョーコのお気に入りの毛布で包み抱き上げるとキョーコは蓮の首にぎゅっとしがみ付いて来た。
それに応える様に数回キョーコの背中をぽんぽんと叩いてやり、ドアを開けて待ってくれている社の後を追い、社長室を後にした。


セバスチャンに付いて辿り着いたのは数十分前に蓮が車を止めた地下駐車場。その普段車の出入りがない奥まった場所にその車はあった。


「これは?」
「ああ、何かに使うかもと思って買っておいた奴だ」


そこにあったのは普段、ローリィが愛用するは思えないほど普通過ぎる外見をしたよくTV局などで使うロケ用より小さい中型のキャンピングカーだった。


「中型だが、設備は充実しているぞ。トイレやミニキッチン、簡易だがソファーを倒してベッドにしてある。しかも完全防音だから外部には中の音は絶対に聞こえない」


ローリィは説明しながらキャンピングカーのドアを開けたが、その中にもう一枚ドアがあり外から中を垣間見る事は出来ない作りになっていた。


「住居スペースは完全に個室になっているから、ドアを開けた時に間違ってもキョーコ君の姿が見つかる危険性もない。もちろん、窓にも特殊シートが貼ってあるから覗く事は出来ん」
「そうですね、これなら安心出来ます」


ローリィの言う通り、キャンピングカーの窓と思われる場所を覗いても中の様子を見る事は出来なかった。


「TV局には俺からお前に課題を出したと言ってある。それをするために休憩なんかはコレに籠る事になる事も許可を取ってあるからな!」
「!!ありがとうございます!」


何から何まで手配してくれているローリィに感謝しながらキョーコを抱いて中へ乗り込んだ。
元々コの字型のソファーを一方に座席を集め、L字型になっていた。そのフラットになった場所にラグが引き詰められ、そこにキョーコが横になれる様になっていた。


「運転手としてセバスを付かせるから、お前は彼女に付いていてやれ」
「何から何までありがとうございます」
「今日一日、宜しくお願いします。敦賀様と社様がお仕事をされている間、最上様の事はお任せ下さい。不逞の輩を絶対にこの車には近寄らせませんので、ご安心を」
「よろしくお願いします」


こうして蓮はキョーコを連れて今日の仕事場へと出掛けたのだった。




続く



うん、文章がおかしい!!おかしいのは重々、本人が自覚しています・・・(-_-;)
キャンピングカーについては・・・完全な妄想です。描写はかなりいい加減なので、皆さまの想像力でカバーして下さいませ<m(__)m>

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こんにちはー

今日こそは更新をと思っていたんですが・・・結論から言うと無理です・・・(´_`。)


棚卸がまだ終わっていない事もありますが、3日の日に親不知を抜いて以降、なんだか喉が痛いなぁと思っていたんですよ・・・水さえ飲みこむのが大変なくらいに!最初は喉じゃなくて親不知を抜いた時の傷かなぁと思っていたんですけどねぇ・・・しかも、この数日頬がお多福か!?と言うくらいに腫れまくって(-_-;)ようやく引いたんですが、今度は頭が痛い~~。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

いつもの片頭痛か?と思ったら、頭全体が痛い・・・・これは風邪を引いたなと思った時は手遅れで・・・熱が出ました・・・微熱程度なんですけどねぇ~。ワタクシ、めったに熱を出さない体質なんですよ。だから少しの熱でダウンしてます・・・・と言う事で、本日の更新は諦めました~~ごめんなさーい!!

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こんばんはwいつもこんな辺境のブログに足を運んで下さり、ありがとうございます<m(__)m>


まずは業務連絡から

ただ今、3名の方のアメンバー申請を保留にしております。頂いたメッセージでは認証致しかねます。(というよりしたくありません)再度、アメンバー申請についてをお読み下さい。

大人なのですから、最低限のマナーくらい出来ますよね?こちらとしても、気持ち良く認証したいのでよろしくお願いします。




FACE DOWN 8




蓮が仕事に行っている間、キョーコは基本一人で『箱庭』の中に入り、貰ったウサギのぬいぐるみを抱いてっぼんやり時間を過ごしていた。
10時にセットされたアラームが鳴ると、今朝蓮が作って持たせてくれたお粥や野菜スープなどを食べる以外はトイレの時しかその場から動く事はなかった。




この日、そろそろお昼になると言う時間。この部屋の空調は完璧だったが、ずっと部屋に籠りきりのキョーコの為にセバスチャンが日に数回、部屋の換気のために少しだけ窓を開けていた。その僅かな隙間から聞こえて来た声にキョーコは顔を上げた。


「蓮様~~!!」
「やあ、マリアちゃん。こんにちは」
「こんにちはですわっ!」


聞こえて来た蓮の声にキョーコは窓際ににじりより、外を見ると待ち人である蓮の姿を見つけた。



「ただいま、キョーコちゃん。いい子にしていた?」
「ぁー・・・」
「ん?どうしたの?」
「れん・・・」
「?」


さほど時間をおかず現れた蓮に『箱庭』から這い出てきたキョーコは両手を蓮に向かって伸ばして来た。これまでキョーコがそんな事をして来たのは初めての事で、蓮は首を傾げながら近づくとキョーコは尚も両手を伸ばして来た。
キョーコの意図に気が付いたのは蓮に付いて来たマリアだった。


「蓮様、もしかしてお姉様は抱っこをして欲しいのではありません?」
「え?抱っこ?」
「ええ」


今のキョーコの行動はいつも自分が蓮に甘えている時に似ているとマリアは子供の直感で感じたのだった。
マリアに促されるまま、尚も両手を伸ばしているキョーコの両脇に手を入れて抱き上げてやるとキョーコは嬉しいのか蓮の首に手を回してぎゅっと抱き付いた。


「あー」
「キョーコちゃん、抱っこして欲しかったの?」
「う」
「そっか」


どうやらキョーコは窓からマリアが蓮に抱っこしてもらう様子を見ていたようだ。蓮に抱き上げてもらえばいつもより目線が高くなり、それにその腕の中の気持ちが良い事を知っているキョーコはああすれば蓮に抱っこしてもらえるのかと試したのだった。試みが成功して蓮に抱っこして貰えたキョーコは嬉しくてたまらないのか、足をぱたぱたと振って喜びを表している。


「そうだ。マリアちゃんがね、キョーコちゃんにって絵本を持って来てくれたんだよ」
「ぅ?」
「そうでしたわ!私が小さい時に買ってもらったものなんですけど・・・」


そんなキョーコをあやす様に蓮は身体を緩やかに揺らしてキョーコに話しかけた。首を傾げるキョーコに、その様子を微笑ましく、そして切なく見ていたマリアが持って来た袋の中身を出して見せた。
それはマリアがもっと小さい時にローリィや両親から貰った絵本の数々。だが、大人に囲まれて育ち、人よりずっと早熟していて更には早い段階から可愛いものよりも怪しげな物の方に興味を持ってしまったマリアにはそれらは幼稚以外の何物でもなく、こんなのは夢話にしかならないと冷めた目で申し訳程度に一度だけ目を通してそれらを本棚の隅の方に収めて忘れ去っていたのだ。

それをこの間、蓮がキョーコに絵本を読み聞かせている光景を見かけたマリアはある事すら忘れていた絵本の存在を思い出し、沢山ある中からキョーコが好きそうなメルヘンたっぷりの持を厳選して持って来たのだった。


「沢山あるね。・・・これなんて、キョーコちゃん好きそうだな」
「ぁー」


テーブルに並べられたのは昔から有名な絵本の数々。中にはキョーコが大好きなお姫様や王子様、妖精などが出て来るものもたくさんあった。
その中から蓮は選んだのはくまのキャラクターが描かれた絵本だった。
それを手に取ると腕の中のキョーコが声を上げて手を伸ばした。


「クスクス。じゃあ、お昼を食べた後に読んであげるね」
「ぅー」
「え?今読むの?」
「う!」


蓮の言葉に珍しく異を唱える様に首を横に振るキョーコに、蓮は首を傾げると今度は頷くキョーコに蓮は困った様に社を見た。


「クスクス。蓮、読んでやれよ。準備なら俺がしておいてやるからさ」
「・・・すみません、社さん。お願い出来ますか?」
「任せておけって」


結局、お昼の準備を社がしている間に少しだけ読んであげる事にした蓮がキョーコの横に座ろうとしたのだが、キョーコは蓮の足の間に移動した。驚いた蓮だったが、考えてみればこっちの方が絵本を見やすいのだと気が付きキョーコの好きな様にさせてやることにした。




「あの絵本、面白かった?」
「ぅ」
「じゃあ、また読んであげるね」
「ぅ」


食事が終わり、約束通り絵本を最後まで読み聞かせてやった蓮は運動と称してキョーコを中庭に連れ出していた。この状態のキョーコの存在を知られるわけにはいかないが、事務所の中とは思えないほど広い中庭には通常業務している社員たちから見えない場所があった。そこは許可が下りなければ入れない場所で、所属タレントでも知っているのは限られる場所だった。ここならば誰の目を気にする事なくキョーコを散歩させる事が出来るのだ。


「寒くない?」
「う」


キョーコのマフラーを直してやり、先に進もうとした時いきなりキョーコがしゃがみ込んだ。


「キョーコちゃん?」
「ぁー」
「?ああ、花か・・・可愛いね」
「う」


この中庭には、冬でも咲く花々が沢山植えられていた。キョーコの視線の先にあったのもその一つ。花壇に植えられた色とりどりの小さな花弁のビオラやパンジーがあった。しゃがみ込んでそれを見つめているキョーコに合わせて蓮も屈んでキョーコのしたい様にさせてやる。


「っ―・・・やぁーーー」
「キョーコちゃん!?」


暫くその場でビオラを見ていたキョーコだったが、散歩の続きをするべく蓮に手を引かれて中庭の散策した。
突然、中庭に吹き荒れた冷たい木枯らしに驚いたキョーコは、顔にそれが当るのを嫌がり、ボタンを留めていない蓮のコートの中に入って来たのだから蓮が驚くのも無理はない。
だがキョーコはそんな蓮を気にする事なく、もぞもぞと温かな懐に入り込んで行く。


「大丈夫、ただの風だよ?」
「ぅー」


そうキョーコを落ち着かせようとしても、ぴゅーぴゅーと響く音が嫌なのか、キョーコがそこから出て来る気配はなかった。


「あ、いたいた。おーい、蓮―!」
「社さん?どうしました?」


蓮がどうやってキョーコを出そうか考えていると、スケジュールの確認に行っていた社が蓮達を追って中庭にやって来た。すぐに蓮を見つけて駆け寄った社だが、一緒にいるはずのキョーコの姿が無い事にすぐに気が付いてきょろきょろと視線を彷徨わせた。


「あれ・・・キョーコちゃんは?」
「いますよ、ここに」
「?ここって、どこ・・!?なんでそんな所に!?」


蓮の指差す場所にキョーコの姿はなく、首を傾げる社に抑えていたコートの前を少し開いて中を見せるとそこに亜麻色の頭があるのを見つけて社は驚いた。


「風を嫌がって、入り込んでしまったんですよ」
「はーん、そういう事か」
「ところでどうしたんですか?」
「ああ、そうだった。ちょっと確認して欲しい事があったんだよ。ちょっとだけ来てくれ」
「分かりました。キョーコちゃん、ちょっとここで待っててくれる?それとも一緒に行く?」
「・・・・ぁー」


コートを開いて中を覗き込んで蓮がキョーコに問いかけるとキョーコは少し考えてからある場所を指差した。そこは先ほどキョーコが見つけたビオラが咲いている花壇だった。


「あそこで待ってる?」
「う」
「分かった、すぐに戻るからここでお花を見ててね?」
「あ」


キョーコが再びその場所にしゃがみ込むのを見届けて蓮は社と共に一旦建物の中へと入って行った。社が蓮に確認させたかったのが閉じていない書類の束だったため、風の強い外では見せる事が出来なかったのだ。窓からキョーコの姿が確認出来る事を場所でその書類に目を通し始めた。


「あれ・・・キョーコちゃん?っ!!」


それらをざっと目を通しながらキョーコが気になって何気なく外を見た蓮はそこにいたはずのキョーコがいない事に気付いた。慌てた蓮が社を置いて急いで外に出た蓮が当りを探し始めた。すぐに社も異変に気が付き、すぐさま蓮の後を追おうとした時、背後から声を掛けられた。
キョーコがここで散歩していると聞いて様子を見に来た奏江だった。


「社さん、一体何があったんですか?」
「琴南さん!?キョーコちゃんがいなくなったんだ!」
「なんですってっ!?」


走り出しながら説明した社に、奏江も眉を吊り上げて社の後を追った。


「キョーコちゃん!!どこだっ!?」


7ここはセキュリティーは完璧だが、それも万能な訳ではない。セキュリティーをかいくぐた何者かに攫われたのではないかと蓮は気が気がではなかった。


「れん・・・」
「キョーコちゃん!?良かった、ここにいたのか・・・」


キョーコはすぐに見つかった。冬だと言うのに、青々とした葉の陰から出て来たキョーコの姿に安堵の溜息を付いてキョーコに駆け寄った。

「キョーコちゃん、どこに行ったのかと思ったよ」
「敦賀さん!キョーコ、いたんですか!?」
「蓮!キョーコちゃんは!?」
「れん・・・・にゃん・・・」
「え?」


社と奏江が後を追って来たが、キョーコは蓮を見た後再び自分の腕を見た。事故以来、蓮の名前以外のちゃんとした言葉を発した事のないキョーコが口にした言葉に蓮は驚きながらも何を指しているのか分からず首を傾げた。

そんな蓮に近づいたキョーコの白いコートの胸元が汚れている。何を付けたのだろうと顔を近づけた蓮の耳にミーと微かな泣き声が聞こえた。
良く見ると汚れだと思っていたそれは、薄汚れたまだ生後1か月になるかどうかの小さな子猫だった。外傷などは見当たらないが、その仔猫は素人目から見ても衰弱が激しいのはすぐに分かった。


「この子、そこにいたの?」
「う」


花壇の前でしゃがみ込んでいたキョーコは今にも消えそうなくらい小さな泣き声を聞いた。いつもなら蓮がいる時でも一人で行動する事のないキョーコだったが、何故かこの時は勝手に身体が動いた。鳴き声のした方を見ると、植木の下に白い塊があるのを見つけたのだ。
蓮がキョーコに買い与えた本の中で、動物の写真集があった。沢山の動物の赤ちゃんなどが載ったその本はキョーコのお気に入りでよく見ていたため、キョーコはそれが仔猫だとすぐに気が付いてそばで見ようと近づいたのだった。だが、見つけたその仔猫がぐったりしているのを見たキョーコは蓮なら何とかしてくれるはずだと思ったのだ。


「そっか・・・社さん!」
「なんだ?って、仔猫じゃないか。・・・母猫とはぐれたのか?」
「多分・・・しかもすごく衰弱しているんです。確か、この近くに動物病院がありましたよね?」
「ああ!


頷いた蓮は仔猫を受け取ると躊躇なく自分の首に巻いていたカシミアのマフラー外してそれで仔猫を包み込んだ。キョーコの事を差し引いても、元来自然とか動物などが好きな蓮はこの仔猫をこのままにしておける様な性格はしていない。そんな蓮の事を知っている社はすぐに近くの動物病院を調べてくれた。

マフラーを巻いた仔猫をキョーコに手渡し、蓮はそのキョーコを抱き上げて駐車場へと急ぐ。いつもは出来るだけキョーコを歩かせようとする蓮だったが、今の様に急を要する時は蓮がキョーコを運ぶ方が早い。


「キョーコちゃん、ちゃんと仔猫を抱いているんだよ」
「う」


長い脚をフルに使い、駐車場に向かう蓮の腕の中でキョーコはいつも蓮がしてくれるようにマフラーに包まれて震えている仔猫を自分のコートの中に入れてやっていた。




キョーコが拾った仔猫はやはり母猫とはぐれてしまったらしく、かなり衰弱していた。もう少し見つけるのが遅かったら、助からなかったかもしれないと言う獣医の説明に蓮と社はほっと安堵の溜息を付いた。
その仔猫は昨夜降った雨に当たったらしく、かなり衰弱していた。その為仔猫が元気になるまでその病院で入院する事になった。


「キョーコちゃん、帰ろう?」
「・・・にゃん・・・」


仔猫を獣医に任せて戻ろうとキョーコを促すが、そんな事は全く分からないキョーコは仔猫を置いて行く事を嫌がった。蓮はそんなキョーコと目線を合わせてゆっくりと説明してやった。


「ここは動物の病院なんだよ。あの仔猫はね、すごく弱っているんだ。だから、ここで元気になる様に治療してもらうんだよ?」
「・・・・」


ふかふかのタオルに包まれて入院室へと連れて行かれる仔猫をじっと見ていたキョーコはやがてこくりと頷いた。


「ここは24時間体制だから、帰りにでもまた見に来よう?」
「ぅ」


蓮の腕をぎゅっと掴んで頷くキョーコの中で起きた小さな変化に蓮は嬉しかった。これまでキョーコは蓮と蓮が与える物以外に興味を示さなかったキョーコが初めて蓮以外に興味を示した。ちょっとだけ寂しい気持ちもなくはないが、それ以上にキョーコの中に芽生えた変化に少しずつ元のキョーコに戻ると信じているもののやはりどこか不安があった蓮の中にも期待が大きくなったのだった。


そしてもう少し、様子を見ようと決めたのだった。



続く


今度の水曜日の更新は難しいかも・・・・です。なぜなら四半期に一度の棚卸が1日にあるから・・・(T_T)

遅くなる事間違いなし!!の状態のため、無理そうです。

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ちょっと、FAEC~が書き終わらなかったので、お久しぶりのワイルド~です。これも駆け足で行きたいのですが・・・何分、書くのが遅い!!集中力があっちへ行き、こっちへ行き・・・一体、何をしていたんだだろうと日々、気が付くと日にちをまたいでいるにもかかわらず、一行も書けていない日もあったりで(しかも、キーボードの調子が悪いし・・・SDGが押しても出ない・・・何度も押してようやく出る・・・(T_T))

こんなカメの更新ですが、気を長ーくしてお待ちくださいませ<m(__)m>


では、どうぞ!!



ワイルド アット ハート 26




7月に入り、鬱陶しい梅雨が過ぎて後少しで夏休みに入る頃、キョーコは少々窮地に陥っていた。


「ほんと、キョーコちゃんって肌が綺麗だわ~。普段あまり化粧をしていないせかしら?ファンデーションの乗りもよくてぇ」
「そ、そうですか?」


ここは都内某スタジオ。キョーコは先月から専属をしているアルマンディーのモデルの仕事でやって来ていた。そして今いる場所はキョーコに与えられた楽屋で、キョーコは今数人のヘアメイクやスタイリストに囲まれて撮影準備の真っ最中だった。
そんな中での会話で・・・・


「そうよ!!本当よねぇ~。ね、キョーコちゃんって彼氏いるでしょ」
「ぐっ!????な、な・な・な・な何を・・・」


いきなり確信を突かれたキョーコは動揺を隠しきれず思わずどもってしまった。キョーコより数年・・・否、10年以上女をしているスタッフにはそれだけで分かってしまった。


「やっぱりいるのねっ!!ね、ね、どんな人?キョーコちゃんの彼氏!!」
「知りたーい!!同級生?それとも年上!?かっこいい?背は高い!?」
「え?え?・・・」


まだいるともいないとも答えていないにもかかわらず、キョーコより随分年上の彼女達はヒートアップして行く。それに付いて行けずおろおろしているキョーコに一人が目をチェシャ猫の様にしながら目を白黒させているキョーコの顔を覗き込んだ。

ねぇねぇ、キョーコちゃんと彼氏って・・・どこまで行っているの?」
「ど、どこ・・・?」


最早キョーコに恋人がいるものと決めつけて話を進めるスタイリストのお姉様方にキョーコは聞かれた意味が分からず首を傾げた。そんなキョーコを余所にその場にいた全員の目が輝いた。


「あー!それ私も知りたーい!!」
「私も~!!ねぇねぇ、キョーコちゃんもう済んだの?」
「す、すんだ?って何を・・・?」
「いやだぁ~!キョーコちゃんてば、初心なんだからぁ~!!
「Hよ、H!!は・つ・た・い・け・んwwwww」
「!!!!???」


あまりにも赤裸々な質問に目を白黒させていたキョーコは瞬間湯沸かし器の様に顔を真っ赤に染めた。


「もう済んだの~?」
「@※&#$“!?は・は・・・」
「「「「は?」
「破廉恥よ~~~!!」
「破廉恥っ!!良いわ~、その言葉!!」
「キョーコちゃん、可愛い~~」


居たたまれなくなって咄嗟に叫んでしまったキョーコだったが、それで怯むお姉様方ではない。寄ってたかって聞き寄るお姉様達にキョーコはどうしていいのか分からなくなってしまった。

キョーコには付き合い始めて7か月になる恋人はいる。言わずと知れた蓮だ。その蓮とは今だキス止まりだ。その要因は年よりも幼いキョーコにある事もキョーコは自覚していた。そんなキョーコの為に蓮は少しずつ慣らして行ってくれている事にキョーコは感謝していた。
蓮に大事にされている事も自覚しているキョーコだったが、その優しさにもう少しだけ甘えたいと思う気持ちも大きかった。が、それと同時に申し訳ないと思う気持ちもキョーコの中に確かにあった。


「やっぱ、初めては大事だよねぇ」
「そりゃそうでしょう~!!」
「っよねぇ~、初めての相手って重要じゃない?下手な男だったら・・・」
「「「「さっいあくよねぇ~」」」」


キョーコを置き去りにますますヒートアップしてくお姉様方の内容はますます際どくなっていく。


「キョーコちゃんっ!」
「は、はいっ!」
「いい事?流されちゃだめよっ!?」
「え?なが・・・?」
「だーかーらーっ!女の子だって、言うときには言わないとダメ!男の身勝手で何の用意もないまま・・・って事よ!ゴムだけはきちんとさせるのよ!?」
「?????ご、ゴム・・・??」


保健体育の授業くらいの知識しかないキョーコにはお姉様方の会話に付いていけない。そんなキョーコに気が付いた一人がくわっ!っと怖い顔になった。


「避妊よっ!避妊!!避妊は男の義務なのよっ!!」
「%$#&@!?ひ、避妊って・・・・//////」
「まっ!真っ赤になっちゃってっ!!かっわいい~www」
「いいわっ!ちゃんと教えてあげる」
「えっ!?いえ・・・あの・・・(助けて~、久遠さーん~~!!)」




それからも際どい話は続き・・・キョーコのキャパが越えそうになった時、ふんわりとキョーコの耳を塞ぐ物があった。


「・・・それくらいにしてもらえませんか?この子は本当に純粋なんですから」
「「「きゃっ!つ、敦賀さん!」」」


突然現れた蓮にそれまでヒートアップして自分の体験談まで披露していた女性スタッフは慌てふためいた。

今日の撮影は当然蓮も一緒だった。違う楽屋で着替えていた蓮はキョーコより一足先に支度が整い、先にスタジオへと向かう途中にキョーコの楽屋があったのだが・・・その中から聞こえる赤裸々な体験談の数々に慌て楽屋に入ると真っ赤な顔で今にも失神しそうなキョーコが力なく椅子に座っていた。

それを見た蓮は長い足を最大限に活かし、楽屋を横切るとこれ以上キョーコに聞かせない為にキョーコの耳を己の両手で塞いだのだった。

塞ぎたくとも塞ぐ事が出来ずにいたキョーコは、突然自分の代わりに聴覚を遮ってくれた暖かな手が助けを求めていた蓮の手だと分かり、キョーコはようやく息を付く事が出来た。

一方、突然の蓮の乱入に驚き気まずい思いをしていたスタッフに蓮は溜息交りに見ると全員が目を反らした。


「まったく・・・」
「・・・キョーコちゃんの反応が楽しくて、つい・・・」
「ついって・・・」
「それにこの程度の話題なら、キョーコちゃんも学校の友達とかとしない?」
「え・・っと・・・」


蓮に睨まれておどおどしていたスタッフだったが、言い訳がましく言ったスタッフの言葉にキョーコは目を泳がせた。
女性スタッフの言う通り、キョーコの通う高校でも先ほどの様にあからさまではないものの、その手の話題が男子のいない場所では多々行われていた。

その多くは誰彼が初体験をしたらしいとか、彼氏としましたと何故か報告してくる女生徒まで出てくる始末・・・イベントがあった時や冬休みや春休みの様な長い休みが明けた後に集中していた。中にはこの夏に脱少女・脱少年するのだと息巻く生徒までいる。

それを聞くともなしに聞こえてくる話を聞く度にキョーコは居たたまれなくなり、付き合い始めてもままごとの様な交際に付き合わせている蓮に申し訳なくなってしまっていたのはここだけの話だ。


「それに、キョーコちゃんも予備知識もなしに挑んだりして、後悔しても遅いんですよ?」
「それは・・・そうですけど、それにしてもあまりあからさまな話題は彼女には逆効果です」
「ぅ・・・」
「・・・すみません・・・」


涙目のキョーコを見て、流石にやり過ぎたと反省したスタッフはしおしおと謝り、その場はそれまでとなった。




「はぁ~・・・」


いつも以上に疲れた仕事の後、蓮と暮らすマンションに帰ったキョーコは夕食の支度をしながら今日女性スタッフに言われた事を反芻して思わず溜息を付いた。
赤裸々な体験談の中に、忠告もあった。お姉様曰く・・・


『早々に身体を許すのも男を付けあがらせるけど、あんまり待たせると彼氏に飽きられたり浮気される可能性があるわよ』
『そうよねぇ・・・あんまりお預けを食らわせるのも可哀そうだものねぇ~』


『飽きられる』『可哀そう』その言葉がキョーコの胸に刺さった。

蓮も健全な20代の青年な訳で・・・しかも、蓮程の美形だ。過去にそういう付き合いをした女性がいないはずがない。というか、女性の方が放っておくはずがない。過去に蓮と付き合っていたであろう女性の陰を思うと胸の奥がズキリと痛むが、初めて出会ったのはキョーコがまだ6歳の時。しかも数日の事。それから再会するまで10年も空いているのだから仕方ないと思う。

それに蓮は再会してずっと自分が気になっていたと、初恋だったのだとキョーコに告白してくれた。それだけで十分だと自分を納得させて来た。ともかく、だから『お付き合い』というもの自体が初めてのキョーコとは違い、蓮にはそういう経験もある訳で・・・そんな蓮に我慢をさせているのではないかと気になりだした。


「キョーコちゃん!お鍋吹いてるよっ!」
「へっ?きゃああああ!!あつっ!!」
「キョーコちゃんっ!?」


料理の途中だという事を忘れて思考の小部屋に入り込んでいたキョーコは慌てた蓮の声にはっとなり、こちらへと意識を戻した。そして目の前の惨状に目を剥いた。コンロに掛けていた鍋は噴き零れ、サラダ様にむいていたレタスはいつの間にか一玉丸ごとボウルの中に浮かんでいた。
慌てて鍋の蓋を取ろうとしたキョーコは熱くなった鍋の蓋とその中の湯気のあまりの熱さに蓋を取り落としてしまった。
それに慌てたのは蓮だ。急いで手を抑えるキョーコの元へと駆け寄ると、赤くなった手を取ると流水に浸した。


「す、すみません・・・」
「大丈夫?」
「はい・・・」


ひりひりと痛む箇所を冷たい流水に浸していると、徐々にだが痛みと赤身が引いて行く。


「これくらいでいいかな?念の為、冷却シートを張っておこうね」
「うぅ・・・すみません・・・」
「それにしても・・・珍しいね、キョーコちゃんが料理で失敗するなんて。・・・何か考え事でもしていた?それとも・・・心配事?」
「あぅ・・・・」


キョーコをダイニングの椅子に座らせ、火傷した箇所に冷却シートを張っていた蓮の質問に、キョーコは顔を赤らめて言いにくそうに目を泳がせた。そのキョーコの様子に蓮はピンと来た。


「もしかして・・・昼間の事を気にしてる?」
「うっ・・・」
「やっぱり・・・気にしなくてもいいって言ったのに」
「・・・だって・・・」


蓮の言葉にうにゅーっと顔を歪ませたキョーコの身体を抱き寄せた。


「他の人がどうであれ、俺達は俺達のペースで進んで行けばいいんだよ?無理なんてしても絶対後から無理が生じてしまう可能性が大きくなるんだよ?」
「それは・・・そうでしょうけど・・・」
「それに、俺は全く無理をしている訳でも我慢をしている訳ではないよ?」
「え・・・だって・・・」
「俺は元々、そっちの方は淡泊な性質なんだ。もちろん・・・その味を知ってしまえば・・どうなるか分からないけどね?」
「はぅ//////」


キョーコの手の甲にキスをしてウインクをして見せる蓮の言葉のその意味を本能で悟ったキョーコは顔を真っ赤にして挙動不審に陥ったのは当然の事だった。
本音を言えば蓮とて、次の段階に進みたいと思う気持ちもあった。だが、ようやく自分とキスする事に慣れて来たキョーコに無理強いする事も憚れる。キョーコの唇の甘さに夢中になり、つい深い大人のキスをしてしまい、キョーコが目を回してしまった苦い記憶もあった。自分の男の事情より、まずはキョーコを大事にしたいと蓮なりの配慮でもあった。


「それより、グアムに行く準備は出来たの?」
「はっ!そうでした!!」


取りあえず、キョーコの意識を別に向ける為に蓮の言葉にキョーコは違う意味で慌てていた。
実は8月に入ってすぐ、キョーコはアルマンディーの仕事でグアムに行くことになっていた。もちろん、蓮も一緒にだ。撮影旅行自体になれている蓮はともかく、海外は初めてのキョーコはいろいろと準備に手間取っていた。


「滞在は3日でしたよね?だったら、3日分の着替えでいいですよね?」
「うーん・・・突然、雨とか降ったりする事もあるから・・・余分に持って行くのが無難かな?まあ、向こうで買う事も出来るけど・・・」
「いえ、お金が勿体ないので」
「気にしなくてもいいのに・・・」
「ダメですっ!!」
「ちぇ・・・」


夕食後、キョーコと蓮はじゃれ合いながら必要な物を書き出す作業をした。いろんな物をキョーコに買ってあげたい蓮と、まだまだ甘える事に不慣れなキョーコ。どこまでも平行線な二人だったが、いつも折れるのは蓮の方だった。


「とりあえず、必要な物はパスポートと財布だよ。それがあれば何とかなるから」
「はい」
「後はそうだな・・・こっちよりも日差しは強いから、日焼け止めは忘れずに。ちょっと大目に持って行った方がいいね」
「はっ!そうですね!!日に焼けるのはダメですよね!」
「クス、それもそうだけど・・・あまり気負わなくても大丈夫。自然体でいけばいいんだから。日に焼けすぎるのも良くないけど、少々なら大丈夫だよ。健康的で」
「私、あまり焼けないんです・・・真っ赤になっちゃって」
「そうなんだ。だったら気を付けないとね。ああ、スキンケア用品も持って行かないと」
「そうですね」
「後は・・・あ、水着も持って行けばいいよ」
「え?」


思い出した様に付け足したされた言葉にキョーコは驚いた。キョーコとて、初めての海外。しかも南の島のリゾート地。空き時間に海で遊びたいと思う気持ちもないわけではなかった。しかし、仕事で行く以上、そんな浮かれた気持ちではいけないと早々に諦めていた事だった。だが、仕事の先輩である蓮は笑いながらそれを勧めてくれた。


「せっかくグアムに行くんだよ?少しくらい遊んでも誰も怒らないよ」
「でも・・・お仕事だし・・・」
「大丈夫、アルにはキョーコちゃんは初めての海外だって事は伝えてあるから」


それを聞いたオーナーであるアル・マンディ―も自我を通した自覚があるのか、海で遊ぶ事を勧めてくれたのだ。


「だから、少しなら遊べるよ。皆それを楽しみに頑張ろうって事になっているんだ」
「そうなんですね!嬉しい!!私、海で泳ぐのって初めてなんです!!」
「え・・・?そう、なの?」
「はい・・・ずっと、お手伝いでしたし・・・」
「そう、なんだ・・・だったら、思いっきり楽しもう?帰国したら俺も連れて行ってあげる事は難しいと思うから」


初めて夏の海に行くと喜ぶキョーコに、キョーコのこれまでの保護者達に少しからず怒りを覚えながら蓮は努めて明るく言った。帰国してからも連れて行ってあげたいが、売れっ子の蓮にその時間が持てるかどうかは怪しく、蓮は申し訳なさそうに眉を下げた。


「そんなっ!気にしないで下さい!!あ、でも・・・」
「ん?どうした?」
「・・・水着、持っていないんです・・・」


今度はキョーコがへにょっと眉を下げた。これまで必要なかったため、あるのは学校指定のスクール水着だけだ。


「なんだ、それなら買いに行けばいいよ。ほら、友達とね。夏休みとか約束とかしてないの?」
「ぁ・・・」


実は奏江達から夏休みに海やプールに行こうと誘われていた。だが、ずっと仕事をしている蓮を見ていると、自分だけが遊ぶ事は躊躇われていたのだった。キョーコの反応から予測は当っていると踏んだ蓮は苦笑交じりに微笑んだ。


「あるんだね?俺に遠慮しないで行っておいで?学生の時しか出来ない事もあるんだから」
「・・・・いいんですか?本当に?」
「いいから、行っておいで?でも、あまり羽目を外さない事。ナンパとかも気を付けて」
「はいっ!」
「水着はそうだなぁ・・・2・3着はあってもいいと思うよ」
「・・・そんなに必要、ですか?」
「うん。俺が見たいからw」
「はぅ/////わ、分かりました・・・モー子さん達に選んでもらいます////」
「うん、楽しみにしてる」
「はい・・・」




後日、奏江達と一緒に水着を買いに行ったキョーコは結構な金額のする水着に尻込みしたものの、楽しみにしていると笑う蓮を思い出して思い切って3枚の水着を購入したのだった。




続く

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FACE DOWN 7




「いい、キョーコちゃん。この中に今朝のお粥が入っているから、この音がなったら食べるんだよ?」
「ぅ・・・」


慣れない手つきながら朝食を作り始めてから数日、ようやく形になって来た蓮は残ったそれを魔法瓶に入れて事務所に持って来た。
相変わらず、蓮以外に怯えるキョーコは蓮がいない時に、セバスチャンが用意してくれた食事には手を付ける事はなかった。分刻みのスケジュールを熟す蓮は昼と夕方に1時間程度顔を出す以上の時間を捻出する事はかなり難しい。だが、一日の摂取量が通常の1食に満たないキョーコの体重は目に見えて減って行く現状を打破するために蓮はある事を試してみる事にした。
それが自分が作った物を持たせる事だった。


「ここをこう・・・回すと蓋が開くからね?やってみて」
「ぅ・・・」
「そうそう、上手だね~。中身は熱いから気を付けるんだよ?」
「ぅ」


丁寧に使い方を教えてやると、基本賢いキョーコはすぐに使い方を覚えた。頷くキョーコの髪を撫でてやり、時計のアラームを10時と15時になる様にセットして、ちゃんと出来るか心配しながら社に急かされるまま仕事へと向かったのだった。



「蓮!こっちこっち!!」


そして運命(?)の10時・・・生憎、撮影中だった蓮の代わりにキョーコの様子を遠隔操作で見ていた社が戻って来た蓮を満面の笑みで手招いた。


「社さん、どうでしか!?」
「見て見ろって」
「・・・・良かった・・・」


見せられたのはキョーコの様子を録画していた映像・・・そこには抱いていたぬいぐるみを脇に置き、教えられた通り魔法瓶から中のお粥を食べているキョーコの姿が映っていた。


「上手に食べているぞ」
「そうですね。これで少しは安心出来ますね」
「ああ、そうだな。それにしても、お前がこんなに面倒見のいい奴だったとは新発見だな」
「まあ・・・彼女の事ですからね」
「だろうな!」


いじられるのを覚悟で視線を反らしながらごにょごにょと言い訳する蓮に、社はにたぁ~と笑いながらもそれ以上何も言わず保父して奮闘している弟分を全力でサポートする事を決意を新たにするのだった。





「キョーコちゃん、お散歩に行こうね」
「ぁー」


仕事の合間に事務所に戻った蓮は、キョーコと一緒にお昼を取った後、これまた日課となりつつあった散歩へと出掛けた。散歩と言っても事務所内にある中庭を歩いたり、時間の無い時には屋上まで階段で登り降りするだけだった。だが、蓮のいない時には『箱庭』の中でじっとしているキョーコに少しでも運動させるための苦肉の策だった。とりあえず、出来るだけ歩かせるために蓮はこの日もキョーコを連れ出すのだった。


蓮に手を引かれながらポテポテと歩くキョーコからは、事故前姿勢も良く颯爽と歩いていたキョーコの面影は微塵も感じられない。
その事に胸を痛ませつつ、蓮はうさぎのぬいぐるみを片手で抱き蓮に付いて来るキョーコの手を握り締めた。そんな蓮を不思議そうに見上げるキョーコに微笑み掛け、蓮はキョーコの歩幅に合わせて歩いた。今日は生憎の雨模様だったため、目的地は屋上入口に設置されている自動販売機だ。エレベーターではなく、非常階段を使って目的地に着いた蓮はキョーコに飲みたい飲み物を購入すると元来た道を戻って行った。


「あ、いたいた。おーい、蓮―」
「社さん、事務は終わりましたか?」


蓮がキョーコを連れて階段から降りて来た時、ちょうど社が非常階段を覗き込んだ。そこに蓮の姿を見つけ、社は手を上げた。

蓮がキョーコの世話をしている間、たいてい社は溜りに溜まった事務作業をしている事が主だった。だが最近、蓮のスケジュールはそれまでとは違いかなりゆとりを持っているため社の事務作業もかなり片付いていた。


「ああ、かなり片付いたよ。って・・・なぁ、キョーコちゃんの歩き方・・・・ちょっとおかしくないか?」
「え・・・?」
「ほら、なんだか歩きにくそうじゃないか?」
「・・・・・・!キョーコちゃん!ちょっとごめん!!」


社に指摘されて蓮はキョーコから少し離れてその歩き方を見た。確かに社の言う通り、キョーコは右足を少し歩きにくそうにしていた。いつもキョーコのテンポに合わせて歩いているのだが、コンパスの違いからどうしても蓮の方が半歩前に出てしまう。それゆえ、気が付かなかったのだ。
急いでキョーコを抱き上げ、廊下に置かれているソファーへキョーコを座らせると履いていた靴と靴下を脱がせた。


「・・・・・」
「うわっ、痛そう・・・」


どうやら今日の靴が合わなかったらしい。キョーコの右足の踵は肉刺が潰れて血が滲んでいた。


「キョーコちゃんっ!どうして言わなかった・・・」


驚いて声を上げる見上がる蓮にキョーコは無表情のままで見下ろしている。その顔を見て、蓮ははっとして唇を噛みしめてキョーコを抱きしめた。

キョーコは言わなかったのではない。分からなかったのだ。
キョーコが失ったのは、感情だけではなかった。キョーコは痛覚も失っていたのだった。

最初、蓮はその事に気が付かなかった。
毎日のお風呂や着替えの時には極力キョーコの身体を見ない様にしていたから気付かなかったのだ。
蓮がその事に気が付いたのは最近の事だった。記憶を失ってからキョーコは注意力が散漫しているのか、よく物に躓いたりしている事は知っていた。だから蓮はキョーコの足元に危険な物がないか注意していたのだが、先日マンションでキョーコが家具の角に足を強か打ち付けた。慌てて駆け寄った蓮はそこでキョーコの異変に気が付いたのだ。打ったのは足の脛と小指・・・どんなに鍛えられた人間でも悶絶する人間の急所と言われる場所だ。しかしキョーコは涙を見せる訳でもなく、痛がる素振りも見せず駆け寄った蓮を見上げただけだった。

その様子に不審に思った蓮がキョーコの手を少しだけ強めに握ってみた。次に手に平を抓って、みたりしたのだが、結果は同じ事。キョーコは痛がる素振りも見せずに蓮を見上げていただけだった。そこで蓮は慌ててキョーコの服を捲り、足や腕を確認した。するとそこには大小様々なぶつけて出来たであろう青痣が無数にあるのを発見した。その時になってようやくキョーコが痛覚さえも麻痺している事が判明したのだった。


「れん?」


ただぎゅっーっと抱き締めるだけの蓮を首を傾げるキョーコの声で蓮はようやくキョーコを抱く腕を解いた。


「ごめん、早く気付けば良かったね」
「う?」
「蓮、とりあえずキョーコちゃんの手当てを。その間に俺が代わりの靴を買って来るから」
「そうですね。すみませんが、柔らかそうな素材の物をお願い出来ますか?」
「分かっているよ。ああ、金ならいいって。俺からのプレゼントだって。それくらいはさせてくれよ。大事な妹なんからさ」


懐から財布を出そうとする蓮を押し止め、社は持って来た救急箱を蓮に手渡して新しいキョーコの靴を買いに事務所を後にした。


「キョーコちゃん、足の手当てしようね」
「ぁー」


キョーコを抱き上げると腕に乗せた。所謂子供抱きにしたのだが、当のキョーコはいつもより高い目線が嬉しいのかパタパタと足を振っている。


「痛かったね。ごめんね、気付いてあげられなくて・・・」


キョーコの足の手当てをしながら蓮の胸に後悔の念が募った。


「ぁー・・・れん」
「ん?」
「れん」
「なあに?キョーコちゃん」


俯いたままの蓮の髪を引っ張り、キョーコは何度も蓮の名前を呼んだ。ようやく顔を上げた蓮に両手を伸ばすキョーコを膝の上に抱き上げるとキョーコはぎゅーっと抱き付いて来た。
あやす様に身体を揺らしながら背中を叩いてやっているとキョーコから軽い寝息が聞こえ始めても蓮はキョーコを降ろす事なく、ゆっくりと背中を叩いてやった。




その後、社が買って来てくれたのは暖かいムートンブーツだった。靴屋で散々悩んだ末、これからもっと寒くなる事と、キョーコの傷に障らない物を選んだ末の結果だった。




「れん」
「どうしたの?キョーコちゃん」


キッチンで洗い物と明日の朝食の下ごしらえをしていた蓮は呼ばれて振り返ると、キッチンの入り口にうさぎのぬいぐるみを抱いたキョーコが立っていた。


「ビデオを見ていたんじゃないの・・・危ないっ!!」


濡れた手を拭いている蓮の元に近づこうとしたキョーコが転びそうになった。間一髪で蓮が支えて事なきを得たが、キョーコが部屋の中で転ぶのは珍しい事ではなかった。
このマンションは全部屋床暖房が入っているが、それだけでは心もとないのでキョーコには暖かいモコモコとした靴下を履かせていた。だがそれフローリングでは良く滑るのだ。足元の覚束ないキョーコはパタパタとするスリッパが苦手だった。どうしてもすぐに脱げてしまい、ちょっとした段差に足を取られてしまうのだ。


「ふぅ・・・ああ、そうだ。忘れていたよ。ちょっと待っててね?」
「れん・・・」


間一髪でキョーコを抱き上げた蓮はダイニングの椅子にキョーコを座らせると思い出した様に玄関に向かった。付いて来ようとするキョーコを制してすぐに目的のものを手に戻って来た。


「お待たせ、キョーコちゃん。ここに座って?」


制されたものの、やはり付いて来てしまったキョーコの手を引きダイニングの椅子に座らせると持って来た袋を開けてその中身を出した。


「ぁー」
「うん、可愛いでしょ?」
「う!」


蓮が買って来たのは足首まですっぽりと覆うルームシューズ。だが、ただのルームシューズではなく、つま先にはうさぎの顔が掛かれており、長い耳まで付いていた。その耳が動く度にぴょこぴょこと動くものだった。それをキョーコに履かせると、キョーコは抱いていたウサギのぬいぐるみとシューズを交互に見て足をぴこぴこと動かしてした。それに合わせて動くウサギの耳にキョーコは立ち上がって歩いてみた。やはりキョーコに合せて動く耳に嬉しくなったのかキョーコはぴょんぴょんと飛び跳ねた。
あの日以来、キョーコがここまで激しい動きをしたのは初めての事だった。久しぶりに見た活発的なキョーコに暫く見守ってた蓮だったが、やがて・・・


「ストップ。キョーコちゃん、ここじゃあ危ないからね?遊ぶのなら、広い所で遊んで。俺はもう少しここで用事があるから」
「・・・ぅ」


ぴょんぴょんと跳ねているキョーコを抱き上げて、目線を合わせた。元気なキョーコが見られるのは嬉しい事だったが、いかせん場所が悪かった。この部屋のキッチンは通常の家のキッチンよりは広々としているが、包丁やコンロなどの危険な物が多かった。シューズの底には滑り止めが付いているが、それも万能ではない。万が一キョーコが転んだりしてそれらに当たったりなどしたら大変な事になってしまう。
キョーコは蓮から離れる事を渋る様に暫く蓮を見上げていたが、言われた通りとぼとぼとリビングへ戻って行った。




たしっ! ぴこ


「ぁー」


たしっ! ぴこ


「ぅー」


残っている洗い物と明日の下ごしらえを手早く終えた蓮がリビングに戻るとキョーコは一人、リビングの中を歩き回っていた。
一歩一歩確かめる様に足を踏んでは、足元の耳が揺れる様が楽しくて仕方ないのか何度も繰り返しては小さく声を上げていた。


蓮と暮らし始めてキョーコは、表情こそ無表情のままだが少しずつだ恐怖以外の感情が戻ってきているようだった。


「ご機嫌だね、キョーコちゃん」
「れん」


蓮に気付いたキョーコがぴこぴことウサギの耳を揺らしながら駆け寄り、抱き付いて来た。


「ぁー」
「クスクス、そんなに気に入ったの?」
「う!」
「そっか、良かったよ」
「あー」


抱き上げられたことで宙に浮く形になった足をぶらぶらさせるキョーコに蓮は微笑みながらつるつるしたキョーコの丸みの残るキョーコの頬に口づけを落としたのだった。




続く



やっぱりウサギなのは、部屋のウサギが可愛いせいw
可愛いチビキョを目指しているんですが・・・中々描写がうまく行かきません・・・そこは皆様の想像力をフルに使って変換して下さい<m(__)m>

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いつもこの最果ての地の当ブログにおいで下さり、ありがとうございます。


今日はアメンバー申請をされている方、もしくは今からしようかと悩んでいらっしゃる方へのお願いです。

いつも必要事項などの不備などの申請は放置していますが、最近少し多い様なので・・・・


申請前にこちら  をご確認下さい!!


基本、申請されてから半日から1日で認証しております。それ以降になっても認証されない場合は何らかの不備、もしくは当方が嫌な気持ちになった時です。


まず不備ですが・・・・

 年齢確認は大まかでも構いません。ですがっ!!(ここ重要)大まかでも構わないですが、昭和生まれですとか○○才ですとかは却下と致します。その時流行った事、アニメ、芸能人、もしくは時事を記入して下さい。それがなければ申し訳ありませんが、不可とさせていただいております。

 

 後、スキビのどこが好きかも抜けている方もいらっしゃいますので、この2点は必須でお願いします。


もう一つは・・・・

これはどちらのマスター様のブログでも言われている通りです。

そちらとのやり取りはほとんど申請時の時だけです。そしてほとんどの方が初対面なのです。

そんな方からいきなりフレンドリーなメッセージを貰って喜ぶ人がいるでしょうか?(いるとしても少数だと思いますよ?)

やはり顔が見えないからこそ、最低限のマナーをお願い致します。出来ますよね?お互い、大人なのですから。



面倒くさいとか思われる方は、申請をされない事をお勧めいたします。
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FACE DOEN 6




「おはようございます、社長」
「おお、来たか。キョーコちゃんもおはよう」
「ぁー」


蓮がキョーコを預かって数日、毎日蓮は仕事の前に事務所へ寄る様になっていた。そこでキョーコを預けてから社と合流するのだ。


いつもの様に手を繋いで現れた蓮とキョーコの様子にローリィは、これでキョーコが正気ならどんなに良いだろうと密かに嘆息した。
キョーコが自分の想いを自覚してからは10ヶ月あまり。自分を卑下しすぎるキョーコは自分の想いが一生届かない物として始めっから諦めていた。そんな中において、自分の闇を何とか克服出来た蓮がようやく行動に移し始めた事で亀の歩みながら少しずつだが二人の距離が縮まった矢先の事故だった。


(中々、上手く行かないものだな・・・ドラマやゲームの様に・・・)


挨拶して隣室へと向かう蓮達の後を何気なく付いて行ったローリィはそこでふと違和感を感じた。


「・・・珍しいな、蓮。お前がそんなに着込んでいるなんて」


基本、蓮はあまり着込む事がない。車移動が主だし、寒がりではないからだ。それでなくとも蓮の仕事は室内が主なのだ。たくさんのライトの光が当てられるセットの中は異様な程厚いのだ。
その蓮がジャケットの下にタートルネックと更にシャツを着ている事にローリィは驚いたのだ。


「ああ、これはここで脱ぎますよ」
「?」


ローリィが蓮の言葉に首を傾げていると、蓮はキョーコの靴を脱がせルームシューズに履き変えさせ、着て来た上着を脱がせるとキョーコに自分が着て来たシャツを脱いでキョーコに着せかけた。


「・・・何をしているんだ?」
「見ての通りですよ?俺が着ていた物を着たがるので・・・少しは不安が薄れるんじゃないかと・・・」
「・・・そういう事か」


キョーコには長すぎる袖を手が出る様に追ってやっている時にもまだ折る前の袖をぶらぶらして遊んだり、袖を鼻元に持って行って匂いを嗅いだりしている。なるほど蓮の言う通り、ここに来ると留守番させられる事を分かっているらしいキョーコの瞳はいつも不安げに揺れるのだが、今日は少しだけ落ち着いている様に見えた。


「じゃあ、行ってくるからね?お昼には一度戻ってくるから」
「ぁー・・・」


立ち上がった蓮にキョーコは抱えていたウサギのぬいぐるみをぎゅーっと抱き締め、蓮を見上げてこくりと頷いた。


「いい子だね、キョーコちゃん」


そんなキョーコの頬にキスを一つして蓮は髪を引かれる思いで仕事へと出掛けるのだった。





キョーコが事務所で蓮の帰りを待っている頃、蓮は待ち時間の楽屋で何やら真剣な表情で雑誌を見ていた。それが台本を覚えている時と同じ様に真剣な様子にちょっと席を外していた社は楽屋に戻るなり、少しならず驚いた。


「なんだ、蓮。珍しいな、お前が楽屋に置いてある雑誌を読むなんて」
「・・・そうですか?」
「・・・そんなに真剣に何を読んで・・・!?」


顔も上げる事なく集中している蓮に、どんな事が芝居とキョーコ以外には殆ど関心がないこの朴念仁の琴線に触れたのだろうと気になり、蓮の背後からその雑誌を覗き込んだ社はその雑誌のタイトルに驚愕した。
それは『オレ○ジページ』や『レタス○ラブ』などの主に主婦層に人気がある雑誌だったのだから驚くなと言うほどが無理な話だった。

おまっ!何を読んで・・・」
「何って・・・見ての通りですが?」
「・・・料理でも始めようとしているのか?お前がぁ~?はっ!熱でもあるのかっ!?」


いつもキョーコと一緒に口を酸っぱくして言い聞かせていたにもかからわず、蓮の食生活は気を抜くとすぐに粗雑なものへと戻っていた。そんな蓮が進んで料理を覚えようとしている事が信じられない社は熱でもあるのかと蓮の額に手を当てて熱を測り始めた。


「やめてください。熱何てありませんから。これには訳があるんですよ」
「訳~?」


事の次第はキョーコだった。
あれ以来、めっきりキョーコの食は細くなり、普段の蓮よりも食べる量が激減していたのだ。一人分の4分の1を食べればいい方だった。

料理の出来ない蓮の代わりにセバスチャンや社が調達して来たものも蓮と一緒でなければ口にしようともしないキョーコの為に社は事務所の全面的なバックアップの元、時間を捻出して来たが、蓮達がいくら気を付けてもいつもの4分の1しか食べないキョーコの体重は激減して行くのが現状だった。

その現状を打破しようと蓮がまず考えたのが料理をする事だった。日々追われている蓮だったが、朝食くらいなら出来るのではないかと目に付いた雑誌を食い入るように見ていた訳だった。


「・・・なるほどなぁ~。確かに朝食なら・・・」
「そうなんですよ。ただ・・・」
「・・・だよな・・・」


問題は蓮の料理の腕だ。殆ど料理をした事がない蓮の腕は未知数・・・否、一度キョーコに振る舞った『マウイオムライス』に至っては最早料理とも言えない未知の代物だった。


「ちゃんと食べれるものを作りたいんですけど・・・」


実は昨夜早く帰る事が出来た蓮は見よう見まねでお粥を作ってみたのだ。だが、塩加減などまったく分からない蓮は塩を入れ過ぎてしまった。その塩っ辛いお粥はとても食べられる物ではなく、慌ててキョーコを止めようとしたのだが、キョーコが嫌がり盛られたお粥を全て食べてくれたのだった。


「そっか~、キョーコちゃん、お前のお粥なら進んで食べてくれたのか~」
「そうなんです。いつもは俺が口まで運ばないと食べてくれないのに。だから、もっと食べられるものを作りたいと思って・・・」
「そうだなぁ・・・まずは基礎からだな、お前の場合は・・・」


と言っている間に、付けっぱなしにしてあったTVでちょうど簡単に出来るという中華粥の作り方をし始めた。社の話もそこそこにそれを真剣に見ている蓮は手帳を出してメモまでし始めた。


「お待たせしました、敦賀さん!スタジオにいらして下さい~」
「・・・・はい・・・」


だが無情にも番組の途中でスタッフから呼び出しが掛かってしまった。仕方なく立ち上がった蓮だったが、意識はまだTVに向けられている蓮の手帳を社が引き取った。


「後は俺が書いて置いてやるからお前は仕事をして来い。後で初心者でも分かる料理の本も探してきてやるから」
「!!ありがとうございます!」
「いいって事よ!きっちり仕事して来いよ!でないと戻る時間がなくなるぞ?」
「分かってます」


後を社に任せて蓮は気合いを入れ直し仕事へと向かうのだった。



その後、蓮が仕事をしている間に社は約束通りに初心者用の料理教材を探して来てくれた。それどころか、今日の現場の近くにディスカント・ショップが近くがあったため、いろいろと便利グッズまで買って来てくれた。


「でな?これが中々便利なんだよ!!これを引くと中の野菜が切れるんだよ!!」
「・・・それって、フードプロセッサーでいいのでは?それならうちにも・・・」
「それが違うんだよ!!フードプロセッサーだと、あっとみじん切りになるけどこれなら好きな大きさに調整出来るんだ!ほら、スープとかならある程度は大きさがあった方がいいじゃないか」
「ああ、それもそうですね」


蓮が料理をする事は賛成だが、初心者の蓮が料理中に怪我でもされたら目にも当てられない。スケジュールはいつもよりもずっと緩やかな物だったが、それでも社のスケジュール帳は毎ページ真っ黒なのだ。
そのために社が買って来たのはフードプロセッサーと同じ野菜などを細かくするための道具だが、それは紐をひく手動タイプのものだった。
他にも本だけでは中々理解出来ないだろうと、料理のDVDもいくつか購入して来てくれた社に感謝しながら蓮はそれらを早速休憩中に目を通したのだった。





「キョーコちゃん、何か欲しいものある?買ってあげるよ?」


早速翌朝から実行しようと、仕事帰りにマンションの隣にあるセレブ御用達のスーパーにやって来た蓮はカートを引きながら隣でちょこちょこと付いてくるキョーコを覗き込んだ。カートを引いているため、手を繋ぐ事は出来ないのでキョーコの手はカートを引く蓮の腕に回っている。


「ぁ・・・」
「欲しいものがあったら教えてね?」
「ぅ・・・」


首を傾げるキョーコにそう言って笑うとキョーコは分かっているのか小さく頷いた。そんなキョーコの反応を気にしつつ、蓮は予め必要な物をメモして来た紙を見ながらカートの中へと品物を入れて行った。


「・・・れん」
「ん?何?」
「ぁ・・・」


キョーコが反応を示したのは冷凍品売り場に来た時だった。掴んでいる蓮の腕を引き、小さく呼ぶキョーコの顔を覗き込むとキョーコは一生懸命ある場所に行こうとしている。


「ん・・・アイス?アイスが欲しいの?」
「う」
「いいよ、どれがいい?」


キョーコが興味を示した場所を理解した蓮はカートをそちらに引き、キョーコを連れて行ってやる。興味がある所に走って行ってしまう通常の幼児とは違い、蓮以外が怖いキョーコは蓮が行かないと自分から動く事はほとんどないのだ。


キョーコがアイスクリームに興味を示したのには訳があった。昼間蓮がいない時にずっと『箱庭』の中でじっとしているキョーコが退屈だろうとローリィが『箱庭』に小型TVを設置してやっていた。蓮がいない間ローリィは幼児が好きそうな童話やアニメなどを流してやっていたのだ。
それにはTVでやっていた物も含まれており、編集されていないそれには当然CMも入っていた。その中にアイスのCMもあったのだ。
意味も分からず見ていたキョーコだったが、その中の一つに琴線が触れたらしい。


「どれがいい?」
「ぁー」
「っ・・・・それ?それがいいの?」
「う」


こくりと頷くキョーコが選んだものに蓮は驚きを隠せなかった。キョーコが選んだ物は蓮にも見覚えがあった。それは良く差し入れとかでもらう高級な物ではなく、寧ろ庶民的なアイス。
いつもなら蓮が口にする事はないだろうソレを蓮が何故知っているのかというと昔、本当に幼い頃のキョーコから分けて貰ったものだからだ。
そう、キョーコが選んだ物は蓮にとっても懐かしい味の『パ○コ』だった。


「分かった、じゃあここに入れて?」
「ぅ」
「いい子だね。後は・・・いいな。キョーコちゃん、会計して帰ろうね」
「ぅ」


言われた通り、カートにそれをそっと入れたキョーコの頭を撫でてやり買い忘れがないか確認した蓮はキョーコを促して会計を済ませて隣の部屋へと帰って行った。


「ぁー」
「これはお風呂から上がってからね?」
「・・・ぅ・・・」


部屋に戻り、買って来た物を冷蔵庫に入れようとキッチンへ入った蓮を追ってキョーコもやって来た。出されたアイスを取ろうとしているキョーコに蓮がそう諭すと不服そうにしながらもキョーコはこくりと頷いた。


「クス。いい子だね、キョーコちゃん。さてっと、お風呂に入ろうね」
「・・・ぁ」
「そうだよ。ほら行こう」
「ぅ・・・」


その後二人にお風呂に入り、キョーコの髪を乾かし終えた蓮は約束通り冷凍庫からアイスを出してきてやった。


「はい、キョーコちゃん」
「ぁー」
「クスクス、冷たいね」
「ぅ!」
「え・・・くれるの?」
「う!」


手渡されたアイスを袋から出してキョーコに手渡てやると、キョーコは少々苦労してソレを二つに割ると、その片方を蓮に差し出した。
驚く蓮が聞き返すと、キョーコはこくりと頷き中々受け取らない蓮にもう一度「んっ!!」と蓮に付きつけて来た。


蓮の脳裏のあの夏の日の思い出が鮮明に蘇った。暑い京都の夏、木漏れ日がきらきらと木々の葉を輝かせたあの水辺・・・・

『はい、コーン!!すっごく冷たいよ!!』

太陽の光に反射してキラキラと輝く川の水と同じ様に、キラキラと輝くキョーコが差し出した初めて見る日本のアイス。その時のキョーコが重なり、蓮は自然に笑みが漏れた。


「ありがとう、キョーコちゃん。あ、取れる?取ってあげようか?」
「ぁ」


ようやく受け取ってくれた蓮に満足したのかキョーコは自分の分の蓋を開けようと奮闘している様子に気が付いた蓮が一先ず自分の分をテーブルに置き、キョーコからアイスを抜き取って飲み口を開けてやった。


「美味しいね」
「ぅ!!」


ちゅうちゅうと凍っているソレを吸いながら食べているキョーコの横で蓮も久しぶりにそれを口にしたのだった。蓮には少々甘いはずのソレは過去の思い出と相まって優しく懐かしい味がした。




続く



高級スーパーに『パ○コ』があるのか!?という突っ込みはしちゃイ・ヤww

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