悪人顔ジュニア 2 | 夢、成る瞬間

夢、成る瞬間

ダグラス・コマエ物語

 二段ベッドがずらりと並び、驚くことに冷房がちゃんと効いていた。
 この時故障のためか、一般客室の方は冷房すらかかっていない状態であったというのにである。

「おめえはここで寝ろ」
 ジュニアは一番奥の二段ベッドにぼくの荷物を置いた。

 カーテンまでついていて、もしかするとラモス号でここが最も快適な場所かもしれないと思い、心でジュニアに感謝をした。

 出航するまで乗組員たちは忙しく動き回っていたが、いったん船が港を出てしまうと、みんなどやどやと部屋に引き上げてきた。
 部屋の中は一瞬で喧騒に支配された。
 乗組員たちは買い込んだビールを片手に賭けトランプを始めた。

 タバコの煙がもくもくと上がり、隅の方でマリファナをやっているやつまでいた。みんな互いになにか怒鳴り合い、つかみ合いのケンカになりそうな場面も何度かあった。

 悪人顔ジュニア(ソロモン諸島ホニアラ 1997年)
 
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