クーデターで退避して以来だったが、実は今回、ホームページ公開後初めての客を迎えることになっていた。
と言っても、たったの二人である。
クーデターが起こるまでは口コミで人が集まるようになっていたが、その流れも完全に途切れてしまった。危険度もレベル三とあっては物事が以前の状態に戻るにはだいぶ時間がかかりそうだった。
二人だけとは言え、危険度レベル三でも来てくれるのだ。これまでの紆余曲折を考えるとそれでもうれしかった。
「祝福されてるね」
モニカが無邪気に言った。
これは真実の話で、うちに来ることになっていた客は“祝福”であった。つまり、祝と福の二人だった。
ドルフィン・センター(2001年)