お産のためにお休みに入られる小学校の先生が、
学校にいらっしゃる最後の日に、してくださったお話です。
「ある国の王さまが、あるとき、ことばにきょうみをもちました。
にんげんは、どうやってことばをおぼえるのだろう。
そこで、王さまは、じっけんをしてみることにしました。
国中の、生まれたばかりの赤ちゃんと、お母さんをおしろに集めました。
そして、こんなめいれいをしました。
これからここで、赤ちゃんのおせわをしなさい。
そのときに、まもってほしいきまりがあります。
オムツをとりかえたり、おっぱいをあげたりすることは
ちゃんとやってください。
でも、そのときに、わらったり、だっこしたり、
ことばをかけたりしてはいけません。
お母さんたちは、赤ちゃんをたいせつにおせわしました。
まいにちオムツをとりかえて、おっぱいをあげました。
それから一年後、赤ちゃんたちはどうなったでしょう。
ひとりのこらず、なくなってしまったそうです。
にんげんは、愛情がなければ生きていけない生きものなのです。
みなさんは、今、生きていますね。
それは、みなさんが赤ちゃんのときに、
おとうさん、おかあさんがみなさんをだっこして、わらいかけて、
はなしかけて、たいせつにたいせつに、愛してくれたからなのです。
わたしも、おなかにいる赤ちゃんを、たいせつに、愛して、
そだてたいと思います。
赤ちゃんはなにもおかえしをしてくれないと思いますか?
そうではありません。
わたしが笑いかけると、赤ちゃんも笑いかえしてくれます。
そのときわたしもとてもしあわせなきもちになります。
そうして、わたしも愛をもらっているのです。
みなさんが、小学校にあつまって、
いろいろなお友だちといっしょにすごしているのは、
人をだいじにすることを学びにきているということなのです。
どうかお友だちを大切にしてください。
いのちを大切にしてください。」