メルカートの仕事で、
時々、在庫の補充をしていると、
後ろから、そっと近づいきて、
私を「ワッ!」と脅かそうとする輩がいる。
普段から、あまり、驚かない性格の私は、
その反応が、
あまりにも鈍くて、
「面白くもない」ヤツだと思われる。
全く驚かない訳ではないけど、
女の子特有の、
「キャ~」という黄色い声をあげられない。
若かりし頃は、さぞ、可愛げのないヤツに思われていたに違いない。
実は、私は、生まれた時から、目が悪い。
目が悪い自覚がなくて育ったために、
感覚で、察知するみたいなところがある。
不思議なもので、
メガネをかけなくても、
遠くから来る人間が誰なのか、
雰囲気で読み取る...
みたいなことが多々あった。
世の中は、常にどんよりと見えていて、
コンタクトレンズを初めて入れたときには、
世の中、こんなに明るいのか...
と感心したものである。
今は、常に、コンタクトレンズを使用しているから、
昔ほど、感覚がないだろうが、
周りを常に見回して、
後ろに居る人を察知するのもまた、
もしかしたら、職業柄なのかもしれない。
さて、人間が持つ、五感のうち、
一つがうまく機能しないと、
その分、他の感覚が発達するんじゃないか?
と思ったことがある。
小さい頃は、
大人が噂することが、良く聞こえていて、
人っていうのは、
その人がいない時や知らない時に、
なんやかんやいうものらしい...
と思っていたし、
お歳暮なんかで貰う高級ハムを食べた日には、
魚肉ソーセージやハムは、
「コレは、ホンモノじゃない!」
と、のたまったそうだ。
「下手に高級品を食べさせるもんじゃないわね。」
そう、お母ちゃんが嘆いていたことを思い出す。
五感にも、ちゃんとバランスというものがあるのかもしれない...