裁判所を通りかかって | シテキイシキロク  

本日横浜地方裁判所の前を通りかかったら、テレビカメラなど報道関係者が群がっていた。

何か注目される裁判があったんだなと思いつつもその時点では何の裁判かは分からなくて、家に帰ってからニュースを見てたら、どうやら三菱自動車タイヤ脱落事故についての裁判であったらしいと分かった。

五年前、横浜市瀬谷区で脱輪したタイヤが母子3人を直撃、29歳の母親が亡くなり2名の幼児も怪我をしたという事故です。

当時は近所で起きたことでもあったので注目しつつも「痛ましいなぁ」くらいにしか感じなかったのだけれども、その母親の年齢に近づいた今考えてみると、事故の悲惨さ、母親や家族の無念さが自分にとってもリアルになってきます。


当時、私は日課の様に深夜のJ-WAVEを聞いていたのだけれど、三菱自動車提供の「SOUL TRAIN」という番組でナビゲーターRYUさんが、必死に三菱の車のカッコよさなどを訴えてフォローしていたのを聞いて切なくなっていたのを思い出します。


三菱に発端した一連の欠陥隠匿事件、ミートホープにはじまった食品偽装問題など、こういうことが起こるたびにほんとうに悲しくなってしまう。そして、多くの人が同じ気持ちなんじゃないかなと思う。

まず第一に、当然ながら消費者を裏切るという行為が企業として許され難い。

崎陽軒の偽装は、ミートホープや赤福なんかと比べると大した偽装ではなかったけれども、それでも贔屓にしている人にしてみれば、多少の裏切られた感はどうしても否めない。崎陽軒を特別に思っている横浜市民神奈川県民は割と多いと思います。

裏切りの度合いが多かれ少なかれ自分にとって多少でも「特別」な存在の企業ならば、その裏切られた感じは殆ど「知人の誰かに」裏切られたのと近いような気さえします。


私が更に酷だと思うのは、そのメーカーの従業員に対して、であります。

例えば三菱だって、車を開発した人・製造している人・RYUさんの様に営業している人が沢山いるわけで、その一人一人は自分の仕事に誇りと歓びを持って努力を重ねているのかもしれない。

なのに、一部の上層部の人間の怠惰や欺瞞によって、みんなの努力が水の泡になるどころかマイナーイメージさえ植え付けてしまうのだから酷すぎます。

それまでプライドを持って「自分は三菱に勤めています!」と言えていた人が、突然同じ事象に対して後ろめたくなってしまう。ほんとうに悲しいことだなぁ、って思います。


社長とか、役員とか、部長とかって昔はそれだけで「偉い人」というイメージがあったけれど、最近はむしろその逆で「悪い人」というイメージが付き纏ってしまう。勿論、立派な人も沢山居るんだけれども。

本当の責任感とか社会性とか誇りって一体何なんだろう?と混乱してしまう。


仕事をする上で一番幸福なことって、尊敬できる上司にめぐり合うことじゃないかなって、近頃は考えています。