トリップ逆ハー連載 9 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

※トリップモノです。

そういう非現実的な話が苦手な方はこの先へ進まれないようお気をつけください。

読んでからの苦情はご遠慮願います。


続きものとなっております。こちらから先におお見ください。⇒ 12345678



恋愛ビギナー 返り咲き!?





「これなら1時間目には間に合いそうだね。」

「え?もうちょっとここにいましょうよ!」

「だ~め。」




これ以上一緒にいたら私の心臓が持たない。

「せっかく堂々と遅れられんのに・・・・」と、ぶつぶつ言う切原君を引きつれ保健室を出た。


当たり前だけど廊下にはすでに誰の姿もなく静かだ。

そんな廊下を切原君と歩いていると、前方にやたら図体のデカイ男子生徒が見えた。


その男の子は、切原君を見るなり図体と同じデカイ声で怒鳴りつけてきた。




「赤也ではないか!!貴様、こんな時間にこんな場所でなにをしている!?」

「げぇっ!真田副部長!?」




ササッと私の背に隠れてしまった切原君に、真田副部長と呼ばれた子は大股でこちらに歩いてくる。



よほど怖いんだろうな。

副部長って事は部活の先輩か・・・。

あぁ。あの赤髪君達も部活の先輩なんだ。



そんな事を考えながら近づいてくる男の子の顔を見ていた私は、目の前までやって来た彼の顔を見てハッと息を飲んだ。




「真田先輩・・・?」

「花村先輩。真田副部長は確かにあんな顔してるッスけど、瑞希先輩と同級生ッスよ?」

「なにか言ったか赤也?」

「なんでもないッス!!」




そんな馬鹿な・・・・。

他人の空似?

それにしても似すぎてる。


『真田』って苗字も一緒なんて・・・・・こんな偶然あるはずがない。


まさか・・・・・真田先輩も次元移動してきた?

いやいや。そんな事がそうそうあるはずがない。

じゃぁ・・・・・親戚とか?




「えっと・・・親戚に立海の卒業生とかいたりする?」

「む?兄がここの卒業生だが?」

「お兄さん!?」

「兄を知っているのか?」

「い、いや・・・えっと・・・・・ごめん。私の勘違いだったみたい。」




嘘だぁ~!!!

この子真田先輩の弟!?

そう言えば10歳以上年の違う弟がいるとか言ってたような・・・・・?



見れば見るほどよく似ていて、あの頃の思い出がフラッシュバックする。



カッコよくて優しくて、憧れの先輩だった。

猛アタックの末にOKをもらい、約1年ほど交際を続けていた。


先輩が高等部に上がってしまい、なかなか会えない寂しさに耐え切れなくなって

私から別れを切り出したんだけど、本当に大好きで、1番純粋な恋愛をした相手だと思う。


真田先輩は私の初恋で、初彼で・・・・・・・・・・・・・私の全てを捧げた人だ。

まさかその先輩の弟とこうして同級生として巡り合うなんて・・・・・ありえない!!!




「それよりも赤也!もうHRの時間だというのになにをしている?」

「ベ、べつにサボリじゃないッスよ!真田副部長こそなにしてるんスか?」

「俺は職員室に頼まれた資料を持って行った帰りだ。さぁ、次はお前が答えんか!」

「か、髪にガムが・・・・・」

「ガムだと?」




驚きと懐かしさと、なんだかよくわからない感情で頭がぐちゃぐちゃな私の横で、相変わらずデカイ声で話す真田先輩の弟。


ちょっと静かにしてよ。

真田先輩はここまで声デカクなかったけどなぁ・・・・。


仕方なく切原君に代わって私が今までの経緯を説明すると、納得したのか大きく頷き、

すぐに「うちの部員が迷惑をかけた。」と、頭を下げだした。




「迷惑かけちゃったのは私だから。」

「いや。赤也の髪にガムをつけたのは、本当はお前ではないのだろう?」

「え?」

「丸井には後できつく言っておく。本当にすまなかった。」




そう言えば真田先輩もよく私の嘘を見抜いた。

どうしてわかったんだろう?


こんな風に「本当はお前ではないのだろ?」なんてずるくない?

キュンッてなっちゃったじゃん!


あぁ、ダメだ・・・・ドキドキしてきた。



真っ直ぐに私を見つめる瞳も真田先輩そっくりで、さらにドキドキは増し、全身が熱くなっていく。




「花村先輩!なにも真田副部長にまで顔赤くしなくてもいいじゃないッスか!」

「え?」

「ちぇっ。俺ん時より顔赤いし・・・・」




そんなに赤いんだ私。

両手で頬を押さえると、水で洗って冷たくなっていた手がすぐに温かくなった。


どんだけ赤面してるわけ?




「詫びにもならんが、教室まで送って行こう。」

「え?そんな・・・・いいよ。」

「いや。送らせてくれ。」

「えぇ!?俺が送るッス!」

「お前はさっさと教室に戻らんか!」

「イテッ!殴らなくてもいいじゃないッスか!!」




本当に賑やかな子だ。

だけど今はその賑やかさがありがたい。


できるなら一緒に教室まで着いて来て欲しいと思ったけど、切原君は「花村先輩またッス!」なんて走り去ってしまった。



あぁ・・・・二人きりにしないで・・・・・




「何組だ?」

「えっと・・・F組。」

「蓮ニと同じか。」




蓮ニって確か柳君の名前だ。

名前で呼ぶって事は仲がいいのだろう。

切原君も柳君の事知ってたし、柳君も同じ部活なのかもしれない。



べつにそんな事どうでもいいんだけど、何か考えてないとおかしくなりそうで、あれこれと頭に思い浮かべていく。

だけどどうしても彼に意識がいってしまって、気がつけば真田先輩のことを考えてしまう。



顔や声はそっくりだけど、真田先輩はもう少し背が低かったな。

時々しか見れなかったけど、笑うと幼く見えて可愛かった。


彼も笑うと可愛いのかな?

なんでテクノカットなんだろう?

違う髪形にすればもっとカッコいいのに・・・。




「む?なんだ?俺の顔に何かついているのか?」

「へ?あ、ごめん。なんでもない・・・・・。」




パッと目が合っただけなのに、大きく跳ね上がった鼓動。



このときめきは・・・・・ときめきやすくなってるからなのか、ただの懐かしさからなのか?

それとも・・・・・・もっと違う意味があるのか?



忘れていた懐かしき元彼とその弟の存在に、私は戸惑いを隠せなかった―――――


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真田やっと出せました!

元彼の弟ww


お兄さんとどれくらいの年の差なのかわからんのですが、6歳の甥っ子がおるって事は、

もし18歳の時の子やとしても24歳。

さすがに18はないと思うんですけどね・・・。