イタリア映画祭、3作目は、「大陸」です。
ストーリーは、
漁業が衰退の一途を辿るシチリアの離島で、20歳のフィリッポは、漁師だった亡き父の後を継いだ。一方で、島から出て行くことを夢見る母は、観光業で当座の生活をしのごうとする。だが、フィリッポと祖父が海上で遭難していたアフリカ難民を救ったことから、事態は一変する。雄大なシチリアの海を背景に、未来に向かって生き抜こうとする人々を力強く映し出した本作は、昨年のヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞、本年の米アカデミー賞イタリア代表にも選ばれた。
というお話です。
日本でも、いままでの仕事である漁業や農業で食べていけなくなり、観光業を推進して、地域の利益を守ろうとしている場所が多いですが、この舞台の島も、同じように、漁師では食べていけずに、島民は観光業で食べていけるように、生活を変え始めたという時期なんですね。そんな必死で盛り返そうとしている島なのですが、一つ、大きな問題を抱えていました。
それは、不法滞在移民問題です。イタリアのシチリア島とその周りの小さな島々は、イタリアの南部からの距離よりアフリカの方が近いんです。チュニジアからだと、小さな船で渡れるような距離だと思います。そうそう、日本で言うと、北朝鮮から船で来るような感じかしら。移民は危険だ、という認識が強く、観光地としてやっと定着し始めた島で、危険な移民のニュースがデカデカと新聞などの載ると、観光地としてのイメージダウンになり、客が減ってしまうので、誰もが、移民に困っているんです。
ある日、主人公のフィリッポとお祖父さんが難民を見つけて、溺れているのを、そのままほおって置けずに、助けてしまうんですね。でも、法律では助けないで警察に通報する事と決まっていて、それを破ってしまった彼らは、船を差し押さえられてしまいます。確かに、法律では決まっているけど、目の前で死んでいく人を、そのまま放置するなんて、出来ませんよね。人を守る為の法律が、人の命を奪ってしまうって、おかしくありませんか?
漁師だったおじいさんは、漁師の教えに従い、海で溺れている人がいれば助けるのが当たり前だというのですが、警察は法律を振りかざし、まったく取り合いません。酷いでしょ。こういう現実って、結構、日常でもありますよね。なんだか、自分達が作った法律で、自分達が不自由になるって、おかしいよ。
イタリアとかスペインでは、社会問題になって、自分の国なのに、移民に仕事を奪われ、住むところを奪われ、移民と変わらないような貧困な生活を強いられている国民が増えてきて、国としての機能が低下してしまっているんです。その上、ギリシャの問題でユーロの価値が下がってしまい、今、問題が山積ですよね。
でも、これ、他人事じゃないんですよ。日本でも、不法滞在者が増えて、コンビニに行っても、日本人じゃない店員が多いでしょ。段々と不法滞在の人が日本人の仕事を安い賃金で請けてしまうので、日本人の職場が無くなり、デフレも進んでしまっています。日本のマスコミは、重要なことは報道せずに隠して、くだらない芸能ニュースばかり流しています。難民や移民、日本人もちゃんと考えて対策を練らないと、日本なのに日本人が住む場所が無くなりますよ。
この映画、日本公開は、まだ決まっていないようですが、単館系で公開して欲しいな。難民問題を日本人も考える時期に来ていると思うので、こういう映画は貴重だと思うんですよ。ぜひ、みなさんにも観て欲しいなって思いました。公開して欲しいなぁ。